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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2011年 04月 11日

オルソフォニック・ドライバー?

オルソフォニック・ドライバー?_d0090784_2213327.jpg

先日、怪しげなものを落札してしまいました。
ダイヤフラムはオルソフォニック・サウンドボックスのオリジナルだそうです。

オークションの説明文に曰く、
The sound has the same full bass, forwardness and smooth range as the orthophonic sound box.
The only slight difference you may notice is that the treble a tad less brilliant than with the soundbox.
Something you can adjust with the treble control.

これは、サウンドボックスの前カバーを外し、トンボ、スパイダーなどを取り去ったダイヤフラムに、トランジスタラジオのスピーカーのコーン紙を切り取ってボイスコイルを直付けしたものと思われます。


と、ここまで書いて到着を待っているところに、大震災が東日本を襲いました。

それ以来、亀が甲羅の中に首をすくめるように逼塞していました。
まだまだ避難所生活の人も多く、放射能汚染もじわじわと広がっている現状ですが、1か月を迎え、ようやく続きを書こうという気になってきましたので、おずおずと再開したいと思います。

さて件のドライバーは震災直後の15日に到着しました。
それ以来、エージングを兼ねて、もっぱらこればかり聴いています。

見てくれは、思ったとおりかなりズサンな造りで、ダイヤフラムを固定していると思しきエポキシ系の接着剤が周辺部からはみ出しているし、周りのリング状の部分はなんとダンボール紙です。

音は、聴き慣れた蓄音機の音とは大きく異なります。
上の説明文では、高音の輝かしさに少し欠ける、と書いてありましたが、輝かしさなんて全く感じられません。
その代り、低音は今まで使っていたウエスタンのドライバーや、サウンドボックスより豊かです。

その結果、HMV163からまるで普通のスピーカーのような、凡庸な音が聴こえる、という何とも不思議な体験をすることになりました。

高音が軟弱なので、復刻CDの声楽は、みんな鼻が詰まったような声になるのですが、細かいニュアンスはよく出ます。
またラッパ吹き込みのピアノ伴奏や、オーケストラ伴奏の特に木管の音などが、妙な実在感をもって聴こえます。

今まで、蓄音機の鮮烈な音を電気再生で出すことを唯一無二の目標にして、昔のスピーカーにこだわってみたり、マグネチック・ドライバーを付けたり、あれこれ模索してきましたが、それは見果てぬ夢かもしれません。
それに対して、この怪しげなドライバーは、蓄音機とは似ても似つかぬ寝ボケた音ですが、上に述べたような取り柄もあり、これに慣れてしまうと、これでもいいのかな、と思い始めています。

堕落でしょうか? いいえ誰でも。

by ibotarow | 2011-04-11 06:58 | 蓄音機 | Comments(4)
Commented by アノニマ at 2011-04-12 17:37 x
面白いですね。
というか、ずいぶん大胆な工作ですね。
フレームの開口部を塞いでダイヤフラムに負荷をかけてみたら?と、野次馬的に思ってしまいました。
Commented by ibotarow at 2011-04-13 05:47
なるほど、面白そうですね。
でも何で塞ごう、なるべく硬いものがいいのでしょうけど・・・
Commented by アノニマ at 2011-04-13 10:28 x
とりあえず固めの紙を両面テープで貼って、変化を聴いてみてはいかがでしょうか?
Commented by ibotarow at 2011-04-16 18:13
アノニマさん、

今日、塞ぐ紙の寸法を測ろうとして外し、今までのウエスタンを付けたところ、
おお、これこれ、やはり蓄音機からはこういう張りのある音が出なくちゃ、
と、元にもどってしまいました(笑)。
したがいまして、負荷を与える実験は当分先のことに・・・


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