2012年 01月 09日
このところ手抜き記事が多いが、1939年に、このアルバムが誕生した経緯はゲルハルトの電気録音その2に記した。 アルバムの構成は、 GR16, 17: ブラームスの「ジプシーの歌」8曲、 GR18: 同じくブラームスの「死は涼しき夜」、「恋人のところへ行く道」、「 テレーゼ 」の3曲 GR19, 20: シューベルトの「街」、「ディテュランボス」、「エレンの歌Ⅱ」、「子守唄」の4曲 GR21: ヴォルフの「月がひどい不満をぶちまけ」、「おまえの恋人をこがれ死なせる気なら」の2曲 である。 いずれも録音はすばらしい。ゲルハルトの豊かな声と精妙なニュアンスがよく捉えられている。 録音順リストを再掲すると、 12th October, 1939, Abby Road, London, acc. by Gerald Moore (78 rpm) (white label private recordings) Zigeunerlieder Op. 103 (Brahms): GR16 [OEA8303-1] No.1: He, Zigeuner; さあ、ジプシーよ No.2: Hochgeturmte Rimaflut 高く波打つリマの流れよ GR16 [OEA8304-1*, 2] No.3: Wiss ihr; 知っているかい No.4: Lieber Gott, di weist 神さま、おわかりですね GR17 [OEA8305-1] No.5: Brauner Bursche; 褐色の若者が No.6: Roslein dreie in der Reihe 三つのバラが GR17 [OEA8306-1*, 2] No.7: Kommt dir manchmal in den Sinn; 思い出すかい、ときどきは No.8: Rote Abenwolken 赤い夕べの雲が GR19 [OEA8307-1*, 2] Die Stadt (Schubert) 街 GR19 [OEA8308-1] Dithyrambe (Schubert) ディテュランボス(酔歌) 20th October, 1939, No.3 Studio, Abby Road, London, acc. by Gerald Moore (78 rpm) (white label private recordings) GR20 [OEA8311-1] Ellens zweiter Gesang (Schubert) エレンの歌Ⅱ(憩え漁師よ) [OEA8312-1] Wiegenlied (Wie sich der Auglein (Schubert) 子守唄 GR18 [OEA8313-1*. 2] Der Tod, das ist die kuhle Nacht (Brahms) 死は涼しき夜 GR18 [OEA8314-1*, 2] a) Der Gang zum Liebchen; 恋人のところへ行く道 b) Therese (Brahms) テレーゼ [OEA8315-1, 2] Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben (Wolf) 月がひどい不満をぶちまけ GR21 [OEA8316-1] Und willst du deinen Liebsten sterben sehen (Wolf) おまえの恋人をこがれ死なせる気なら 8th November, 1939, No.3 Studio, Abby Road, London, acc. by Gerald Moore (78 rpm) (white label private recordings) GR20 [OEA8312-2] Wiegenlied (Wie sich der Auglein (Schubert) GR21 [OEA8315-3] Der Mond hat eine schwere Klag' erhoben (Wolf) Und willst du deinen Liebsten sterben sehenは、1907年に、ニキシュの伴奏で吹き込んでいるので比べてみた。 まず1939年のを78回転で聴いて、次に1907年のをゲルハルトのラッパ吹込み(その1)中の数値に従って74回転で聴いた。 ピッチはこれでもだいぶ違うが、同じピッチに合わすには後者を66-67回転くらいにしなければならず、これでは胴間声になっていまう。元々のピッチが違うようだ。勘ぐれば、1939年は高い音が出なくなったのでピッチを下げたのだろうか? 74回転で聴く1907年は言うまでもなく声が若い、可憐と言ってもよい。音から次の音へ移るときのポルタメントが美しい。 ニキシュのピアノの音が要所要所で光っている。意外にも録音もそんなに遜色ない等々。 それに対して1939年は、声に貫禄がある。表現の幅が広い。強弱の幅も広いがこれは録音システムの違いかもしれない。 どちらを取るかと言われれば、もちろん1907年であるが、これは1939年を否定するものではない。 ピッチも違うし、別人の別の曲だと思えばよいのである(笑)。 このアルバムは、「みずほの部屋」さんのブログ[1]でアルバムの写真を拝見して欲しくなり、入手してみると、こんなはずではなかった、デザインが違う。ボクのほうがダサい。題名も違う。何だ、New Slectionとは?わざと中身がわからないようにボヤカシているのだろうか? Reference 1) ゲルハルト: http://blogs.yahoo.co.jp/sp76rpm/12265392.html
by ibotarow
| 2012-01-09 09:12
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Comments(4)
ご無沙汰してました。
ゲルハルトの1939年録音アルバム、素敵ですね。アルバム付きを見たのは初めてです。さすがですね。
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ibotarow at 2012-01-09 20:34
アノニマさん、
以前のURLが繋がらなくなったので、どうされたのかなと思っていましたが、今は繋がるようです。お元気そうで何よりです。 このアルバムですが、みずほの部屋さんのアルバムと全然違うデザインで戸惑っています。中身はホンモノなのですが。
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みずほの部屋
at 2012-01-14 11:40
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やっとパソコン繋がって‥ミクシー見たら‥ゲルハルトのブログがあるって書いてあり‥いま辿り着きました(笑)気がつきませんでした。
わたしのアルバムは昨年亡くなられたHさんから譲っていただいたと思います‥多分?。正直‥このレコードも長いこと聴いてなくて‥腰を据えてじっくり聴いてみたいレコードの一つです‥しんみりとした時‥笑。 アルバムのデザインは‥どっちが先か判らんですし‥いぼたろうさんのは他のアルバムとの統一性があっていいんじゃないでしょうか。。
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ibotarow at 2012-01-14 13:14
このアルバムは200セット余りが、ロンドンとニューヨークのディーラーを通じて頒布されたそうで、それでデザインが2種類あるのかもしれません。
どちらがどちらかわかりませんが、New Selectionというタイトルは、明らかにドイツ歌曲という匂いを払拭したかったんじゃないでしょうか。 |
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