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2007年 05月 16日

ゲルハルトのラッパ吹込み(その1)

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エレナ・ゲルハルト(1883-1961)のラッパ吹込みは、mr.hmvさんにいただいたRC誌のゲルハルト特集号[1]によると、全部で16セッションある。
それらは、
a.ニキシュとの1907年ベルリン録音および1911年のロンドン録音(1-6)
b.1914年のザイドラー・ヴィンクラーとのベルリン録音(7-10)
c.1915年-1917年のVictorおよびColumbiaのニュ-ヨーク録音(11, 12)
d.1923年と1924年のAeolian Vocalionのロンドン録音(13, 14)
e.1925年のHayes録音(15, 16)
に大別される。





ここでは、まず、ニキシュがピアノ伴奏したセッション1から6を紹介する。
最初の1907年G&Tのベルリン・セッションでは、10インチ8面、12インチ2面が吹き込まれ、そのうち、10インチ6面、12インチ1面が、1908年になって"pre-dog"として発売された。ロンドン発売の盤には異なるカタログ番号がふられた(左から2列目)。"Nachtgall"、"Die Quell"、" Fäden & Knabe und Veilchen"は未発売である。
[3536 r]は彼女の吹込みではないらしい。また、[317 s]には、同じ番号で、ヴァイオリンとクラブサンのオブリガートによる違う曲(Morgen?)があるらしい。
"Heimweh"と"Und willst du deinen Leibsten sterben sehen"は、後にIRCCによって再プレスされた[2]
また"Ich hab'ein kleines Lied erdacht"と"Wie solten eir & Neue Liebe"もIRCCから出された。
ケリーのディスコグラフィー(CD-ROM版)[3]によると、マトリクス番号のサフィックス"r"と"s"は、M. Hampeの録音であるが、MAT107に入るべきリストは、現在まだ公開されていない。
また、マトリクス番号のサフィックス"h"と"i"は、W. S. Darbyの録音であり、MAT104に収録されている。

1. November 1907, Berlin, acc. by Nikisch (78 rpm)
2-43178, 3760 [3535 r] Der Frund (Wolf) ○
2-43179, 3761 [3537 r] Der Schmied (Brahms) ○
            [3538 r] Nachtgall (Brahms) ○
2-43180, 3762 [3539 r] Ich hab' ein kleines Lied erdacht (Bungert) IRCC208 ○
2-43181, 3763 [3540 r] a) Wie solten eir (R. Strauss);
                   b) Neue Liebe (Hinaus ins Weite) (Rubinstein) IRCC208 ○
043104, 03113 [317 s] Vervorgenheit (Wolf) ○

2. Nov./Dec. 1907, Berlin, acc. by Nikisch (74 rpm)
2-43182, 3764 [5167 h] Heimweh (Wer in die Fremde) (Wolf) IRCC11 ○
            [5168 h] Die Quell (Carl Goldmark)
2-43183, 3765 [5169 h] Und willst du deinen Leibsten sterben seh'en (Wolf) IRCC11 ○
            [589 i] a) Fäden (Erich K. Worff);
                  b) Knabe und Veilchen (Erich K. Worff)

次の1911年Gramophoneのロンドン・セッションは、6月28日、30日、7月1日の3セッションに分かれる。
10インチ11面、12インチ10面が吹き込まれ、そのうち10インチ9面、12インチ7面が発売された。
"Wohin?"は3テイク、"An die Musik"、"Du bist die Ruh'"、"Mondnacht"は2テイクあり、それぞれ後のテイクが発売された。"O liebliche Wangen"は未発売である。
[3]によると、マトリクス番号のサフィックス"e"と"f"は、W. C. Gaisbergの録音であり、MAT103に収録されている。

3. 28th June, 1911, London, acc. by Nikisch (80 rpm)
       [ab 13717 e, ab 13718 e] Wohin? (Die schöne Müllerin) (Schubert)
2-43401 [ab 13719 e] Ich grolle nicht (Dichterliebe) (Schumann) ○
       [ac 5104 f] An die Musik (Schubert)
       [ac 5105 f] Du bist die Ruh' (Schubert)
       [ac 5106 f] Mondnacht (Liederkreis)(Schumann)

4. 30th June, 1911, London, acc. by Nikisch (80 rpm)
2-43405 [ab 13721 e] Wohin? (Die schöne Müllerin)(Schubert) ○
2-43400 [ab 13722 e] Ständchen (R. Strauss) ○
2-43397 [ab 13723 e] Verborgenheit (Wolf) 
043202 [ac 5112 f] An die Musik (Schubert) ○
043201 [ac 5113 f] Du bist die Ruh' (Schubert) ○
043198 [ac 5114 f] Wiegenlied (R. Strauss) ○
043203 [ac 5115 f] Sapphische Ode (Brahmas) ○

5. 1st July, 1911, London, acc. by Nikisch (80 rpm)
2-43402 [ab 13733 e] Wiegenlied (Brahmas) ○
       [ab 13734 e] O liebliche Wangen (Brahmas)
2-43406 [ab 13735 e] Der Freund (Wolf)
2-43398 [ab 13736 e] Der Schmied (Brahms)
2-43399 [ab 13737 e] Ich hab' ein kleines Lied erdacht (Bungert)
2-43404 [ab 13738 e] Vergebliches Ständchen (Brahmas) ○
043199 [ac 5116 f] Ich grolle nicht (Dichterliebe) (Schumann)
043200 [ac 5117 f] Mondnacht (Liederkreis)(Schumann) ○
043204 [ac 5118 f] Schmerzen (Wagner) ○

1911年10月23日に、再びニキシュとのベルリン・セッションがあり、前のセッションで未発売だった"O liebliche Wangen"の10インチ1面が発売された。この時、彼女は赤ラベルの地位を得た。ラベル上にニキシュの名前は無いが、第1次大戦前のドイツ・グラモフォンのカタログには彼の名前がある。
[3]によると、マトリクス番号のサフィックス"ak"は、G. Dillnuttの録音であるが、MAT113に入るべきリストは、現在まだ公開されていない。

6. 23rd October, 1911, Berlin, acc. by Nikisch (78 rpm)
2-43403 [606 ak] O liebliche Wangen (Brahmas) ○

リストの○印は、東芝の復刻CD[4]の収録曲である。
実は先日、あるオークションに、ニキシュ伴奏の"Der Schmied"、"Wohin?" 、"Ich grolle nicht"、"Sapphische Ode"の4枚のビニールプレスが出品された。どれか1枚でも、と思ったがことごとく届かなかった。だから写真は無い。

最後に、ゲルハルトが最初の録音について興味ある感想を残しているので紹介する[5]。
「自分自身の声を聴くということについて、私がどれだけ多くのことを学ばねばならなかったかを述べるのは、私にとってほとんど不可能なことです。
レコードを出すために録音を経験するようになったとき、私が述べた意見に関して、ガイスベルグやHMVから来た技術者らを喜ばせたことを、今でも思い出すことができます。
リートのレコードは、その時、録音技術者や録音の機械にとって、全く新しい経験でした。
ほとんどすべてのピアニッシモは増強され、もっとも親密に歌うべきフレーズは、トランペットのように鳴り響かせられました。
私がこれらのフレーズをソフトに歌ってきたことを指摘して、このことについて驚きを表明したとき、彼らはこれらの部分を強化しなければならないと答えました、なぜなら、レコードを買ってくれる人々は、より大きな声を期待するからだと。
しかしながら、それらは急速に改善されました。そしてブリキのジョウゴを通して歌われるレコードのいくつかは、美しいトーンとフレーズを持つようになりました。
しかし、これらはその時、私がいかに経験不足だったかということも示しています。
結局それらは成功裡に終わり、私はHMVと密接な関係を持つようになり、今もなお続いているのです。」

Reference
[1] Alan Kelly & Ian Cosens, "Elena Gerhardt - A Discography" The Record Collector, Vol.32, Nos. 8,9&10 (1987) 183-189.
[2] http://ibotarow.exblog.jp/3740482.
[3] Alan Kelly, "Structure of the Gramophone Company and its Output", CD-ROM (2000).
http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page158.html
[4] エレナ・ゲルハルトの芸術 ARND-2007・8 (1993).
[5] Linda Austwick, "ELENA GERHARDT-A Biographical Sketch", The Record Collector, Vol.32, Nos. 8,9&10 (1987) 171-176.
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by ibotarow | 2007-05-16 13:06 | 女声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
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