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2009年 04月 18日

ジュール・ブーシュリのモーツァルト

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復刻CD[1]の解説によると、Jules Boucherit(1877-1962)は、最初、ヴァイオリンの先生であったお母さんからヴァイオリンを教えられた。
1890年からパリ音楽院の、3歳年上のアンリ・マルトー(1874-1934)の先生でもあったJules Garcinのクラスに入った。
1892年に15歳でパリ音楽院の一等賞を得た。
ちなみに3歳年下のジャック・ティボー(1880-1953)は、1897年に17歳で一等賞を得ている。
ブーシュリはまた、マサールの弟子であったLefortについて学んだ。

1894年から、彼はコンセル・コロンヌの独奏者をティボーと分け合った。
パリ音楽院を卒業して、Louis Diémer(1843-1919)からプロの演奏家になるにあたってのアドヴァイスを受けた。彼らは親友になり、パリで多くのリサイタルを行った。またヨーロッパ中を回った。

1921年、肺疾患のため健康を害し、演奏活動を断念した。
しかし、その少し前の1919年10月に、フォーレを助言で、パリ音楽院のヴァイオリンの教授になった。彼は30年以上そこで教え、第一級のヴァイオリン教師として認められた。

彼の生徒は、
Michéle Auclair(1924-2005), Lola Bobesco(1919-2003), Ivry Gitlis(1922-), Christian Ferras(1933-1982), Ginette Neveu(1919-1949), Manuel Quiroga(1892-1961), Henryk Szeryng(1918–1988), Henri Temianka (1906-1992), そして後にブーシュリ夫人となったDenise Soriano(1916-2006)等々である。

下記に、ケリーのCAT3[2]によるディスコグラフィーを示すが、15面14曲すべてが、1906年28歳のZonophoneパリ吹込みである。
Zonophoneは1903年にG&Tに買収されたので、実質的にはフレンチG&Tである。
録音技術者は、マトリクスのサフィックス"o"から、サラサーテと同じWallcuttと思われる。
また、レーベル上にピアノ伴奏者の名前は無いが、Louis Diémerと言われている。
これらのうち、237902/3と237913/4の2枚が、Disque pour Gramophoneレーベルでも発売された。

さて、このほど入手したのは、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番の第3楽章Tempo di Minuettoである。
長年の間、彼のモーツァルトの解釈は高く評価されてきた。
しかし1910年頃まで、レコード会社は、ディスク片面に入るアンコールピースだけが市場だと思っていたようだ。バッハのプレリュードやアリアは、その頃は、このジャンルだと見なされていた。
おそらくブーシュリは、前例の無いモーツァルトの協奏曲のこの楽章の吹き込みを強く主張したのであろう。

今まで何遍も復刻CDで聴いてきた曲であるが、今オリジナルSP盤を聴いて、改めて驚く。
何という躍動感あふれる、弾むリズムの心地良さであろうか。


Jures Boucherit Discography (Zonophone 1906, Paris)        ○: [1]

5499o X-87900 Le cygne (Saint-Saëns)
5500o X-87901 Gavotte ancienne (Jean-Marie Leclair) ○

5502o X-87902 Romance (Louis Diémer),
5503o X-87903 Tambourin (Jean-Marie Leclair)

5506o X-87904 Hejre Kati (Hubay) ○

5508o X-87905 Berceuse (G Faure) ○

5592o X-87906 Thais: Méditation (Massenet) 237902 ○
5593o X-87910 Danse mauresque (Lefort) 237913
5594o X-87907 Poème hongrois No 4 (Hubay)
5595o X-87908 Caprice scherzando (Louis Diémer) ○
5596o X-87909 Poème hongrois No 6 (Hubay)
5597o X-87911 Nocturne de Chopin (transcrit par Sarasaté) 237914
5598o X-87912 Aria (Bach) ○
5599o X-87913 Menuet du Concert k219 (Mozart) 237903 ○

6021o X-87912X Aria (Bach)

なお、クレイトンには、モーツアルトのディヴェルティメントNo.17が載っているが、カタログ番号が上のモーツアルトのメヌエットとバッティングしており、マトリクス番号もないし、ケリーにも見あたらないので割愛した。

References
[1] The Great Violinists Vol. XXIII, SYMPOSIUM 1349 (2007)
[2] Alan Kelly, HIS MASTER'S VOICE / LA VOIX DE SON MAÎTRE, The French Catalogue, CAT3 (2005)
[PR]

by Ibotarow | 2009-04-18 09:13 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(4)
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Commented by ソフィアザール at 2009-04-18 10:59 x
おはようございます

レーベルぎりぎりまでの録音ですね
拝読してメヌエットだけとは
残念ですね
無いものねだりで
全曲を聴きたくなりますね(笑)
ご紹介ありがとうございました
Commented by ibotarow at 2009-04-18 13:52
お早いお越し、ありがとうございます。
第3楽章とて10インチ片面に入るはずも無く、前半のみで、中間部のトルコ風行進曲はカットされています。
でも、メヌエットだけでも録音してくれて大満足です。
Commented by エピクロス at 2009-05-02 17:03 x
初めまして、エピクロスです。

とても落ち着いた雰囲気のブログで、一目見て好きになりました。
わたくしは、日本で大流行した卓上型のヴィクトローラしか持って
おりません。骨董市などで買ったSPなどで小曲を楽しむ
程度です。今まで一番感激したのは、パーロフォンに入れられた
ハイドンの弦楽四重奏曲でした。

語学にも堪能で、ディスコグラフィーまでお作りになる
イボタロウさんとは比べようもありませんが、今後宜しく
お願い致します。
Commented by ibotarow at 2009-05-02 20:49
エピクロスさん、こんばんは。

拙ブログおほめにあずかり光栄です。ありがとうございます。

卓上型のヴィクトローラ、いいですね。
実家に日本ヴィクターのたしか1-81がありまして、子供の頃、童謡なんかを聴いて育ちました。


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