いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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カテゴリ:蓄音機( 23 )


2016年 03月 06日

いつかはクレマン、ついにクレマン

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DF盤を聴くようになってから、クレマン使い約2名の先達から折に触れて、
「フランス盤にはピエール・クレマンですよ~」、
と悪魔の囁きを吹きかけられ続けて来ましたが、
「いや~、タンノイの虚飾に満ちた美しさがいいんですよ~」、
と強がりを言っていたものの内心おだやかでなく、「いつかはクレマン」と思っていたのですが、なかなか出物が無く、有っても手の届かないのが多く、去年やっとL7Bヘッドを入手することができました。
早速それをクレマン使いの先達のクレマン・プレーヤにセットして聴かせていただいたのですが、残念ながらダンパーが硬化しているのか、音が歪みます。

そこでゴルフ院長に無理を言って、ヘッドのメインテナンスと専用アームの製作をお願いしました。
それが先日完成してブツを受け取り、ついにクレマン使いの一端に連なることができました。感慨無量であります。

早速、コラーロの奥にセットして鳴らしてみました。最初は歪み気味でしたが、針圧を調整したり、針先の角度を微調したりしてかなり良くなりました。
またアームの置く位置に敏感で、インサイドフォースで流れたりしましたが、これも何とかクリアしました。まだ流れるレコードもありますが。

まず聴いたのは、マルセル・メイエルのラモー3種(DF, ALPHA DB, EMI Reference)で、いずれもフランスプレスです。
以前、タンノイ・バリレラで比較試聴した時は、DF盤が最も美しいという予定調和的な結果になりましたが、クレマンでは果たしてどうなるか、というところが興味の的です。

まず、1950年代半ばのプレスのオリジナル盤、
DF 98  (210g)
[DF 98 1C5, XPARTX 26508, M6 165042]
[DF 98 2C3, XPARTX 24162, M6 160688]
3種の中では一番硬質、ソリッド、ドライで、明晰な音がします。
でも美しいかというと、それとはちょっと違う感じです。
 
次に、たぶん1960年代のプレスだと思われるアルファ盤、
ALPHA DB79  (133g)
[98 1 21, M6 245676]
[98 2 21, M6 245677]
DFより細く、薄く、繊細な音です。ピアノがチェンバロのように響きます。
またDFには無いしっとり感もあり、これは美しいと言っても良いでしょう。
 
最後に、おそらく1970年代後半のプレスだと思われるEMIリファレンス盤、
EMI 2C151-10493  (135g)
[10493 MA21, M6 334517 3]
[10493 MB21, M6 334518 3]
DBとよく似ていますが、それより太く、力強いピアノのアタック音が聴けます。
3種の中では一番HiFiと言えるかもしれません。でも美しさはなくフツーの音です。

という訳で、今回はアルファ盤がベストという結果になりました。

1950年代の初期プレスより、1960年代の再プレスの方が良いとは、うれしいような、ちょっぴり残念なような気がしますが、これはクレマンの虚飾の無さに由来するのでしょうか。
以前、クレマン使いの先達からお借りしたE25を聴いたときも、レコードに入っている音を足したり引いたりせずに引き出す正直なカートリッジだという印象でした。

あるいは、タンノイは1950年代生まれですが、クレマンL7Bは1960年代生まれなのかもしれません。
同時代ならではの相性がありますからね。
まあ、これはピアノでの比較ですから、ほかのレコードでどうなるかはわかりませんが。

いずれにしても、ゴルフ院長には、今回も大変お世話になりました。厚く感謝の意を表します。
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by ibotarow | 2016-03-06 14:48 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)
2015年 05月 19日

ドンドンよく鳴るHMVのラッパ(字余り)

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これは3年ほど前に入手して、さて鳴らそうと思って、コイルの抵抗を当たってみたら、ボイスコイルとフィールドコイルが200Ωの抵抗でつながっていたので、このまま電圧をかけるのは危険だと思ってほっぽってありました。

542等の普及型電蓄に入っていたものです。ハム打消しコイルと思われるコイルが巻いてありますから、800のような高級機に入っていたものとは違うようです。
型番は不明です。ご存じの方がおられたら教えてください。
それから、フィールドコイルの片方がフレームに落としてあったのですが、これは落とすのが普通ですかね?

先日、意を決して、配線を全部外し、単独で抵抗を当たってみると、
ボイスコイルは、20Ω、
フィールドコイルは、2.3kΩ
ですが、フィールドコイルは途中にタップが出ていて、 それぞれの端との抵抗は、2.1kΩと200Ωでした。
この200Ωの端がボイスコイルにつながっていたようです。
このタップの意味は何でしょうね?

それはともかく、それぞれのコイルの間には導通がなくなりましたので、フィールドコイルに直流をかけると、100Vで、約40mA流れました。

とりあえず裸の状態で、ボイスコイルに、ステレオ誌の付録アンプをつなぎ、このところのお気に入りの、オークレールのバッハ:ヴァイオリン・ソナタ全集[1]、

Johann Sebastian Bach (1685 ~ 1750):d0090784_18363860.jpg
CD 1
Sonata No.3 in E BWV.1016
Sonata No.6 in G BWV.1019
Sonata No.1 in B minor BWV.1014
CD 2
Sonata No.5 in F minor BWV.1018
Sonata No.4 in C minor BWV.1017
Sonata No.2 in A BWV.1015

Michele Auclair (1924 ~ 2005) [vn]
Marie-Claire Alain (1926 ~ 2013) [org]

Recorded: XII. 1956 & I. 1957, Eglise, Deauville
(Hoerpfer-Ermann organ of the Eglise in Deauville)
Producer: Antoine Duhamel
Balance engineer: Daniel Madelaine
Original LP: Les Discophiles Francais DF 209-210

を鳴らしてみると、幸いビリ付きも歪みもなく、すっきりした、でも高域に色付けのある魅力的な音でした。
バッフルなしでは、さすがにオルガンの低音は聴こえませんが、ヴァイオリンは十分聴けます。

オ―クレールは実に可憐な演奏です。 オルガンは鍵盤を押してから音が出るまでにヴァイオリンより一瞬の時間遅れがあるようで、その辺が、なんかほのぼのとした雰囲気を醸し出しています。

しばらくこのままエージングをします。

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by ibotarow | 2015-05-19 18:43 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)
2015年 03月 09日

赤胴クンでベートーヴェン作品1を

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「猪口才な小僧め、名を、名を名乗れ!」
「赤胴、鈴之助だあ!」
〽剣をとっては 日本一に
(以下略)
で始まるラジオドラマがありました[1]。
いや~、なつかしいですねえ、小学校低学年の頃、家に一台しかないラジオにかじりついて聞いていました。
余談ですが、当時のボクは「日本一に」を「日本一二」と聞いて、日本で一番か二番だという意味かと思っていました。
ウィキペディアによると、このラジオドラマが放送されたのは、1957年1月7日 - 1959年2月14日だそうです[2]。

それと時を同じくして、海の向こうのタンノイ社では、ステレオカートリッジの開発が進められていました。
最初のモデル、Vari-Twinが登場したのは1959年です[3]。
1959年のHiFi Year Bookから、スペックを拾ってみると、

Magnetic stereo cartridge.
Diamond stylus ½ thou.
Output voltage 7 mV per channel.
Range 30-15,000 c/s ±1.5 dB.
D.p. 4 gm.
Load imp. 100,000 ohms.
Price £9 19s. (U.K. purchase tax £4 0s. 5d.)

タンノイの技術者が上のラジオドラマを聞いていたかどうかは不明ですが、奇しくもボディーの色は真っ赤です。
これをもってVari-Twinを、赤胴鈴之助クンと呼ぶゆえんです。

先日、ebayにこのVari-Twinが出ました。
白ボディーのVari-Twin mk.IIは時々見かけますが、mk.Iに相当する赤はめったに見ません。
でも、今さらステレオレコードを集める気もないし、それに45-45方式のステレオはモノラルに比べて非常に無理のある、危なっかしい方式だと思っています。

とても買えない値段でしたが、make offerが付いていましたので、どうせダメだろうけど、ダメだったらどなたかにお知らせしようと、思い切って値切ってみたら、それが通って買うはめになってしまったのです。
通った値段もボクにとってはかなりの高額でしたが、給料をもらっているうちにしかできない買い物だと思うことにしました。

というわけで、赤胴鈴之助クンが我が家にやってくることになりました。
これにふさわしいシェルを用意しなくちゃと、オルトフォンSH-4ピンクを購入し、ワクワクして待っていました。

それが先日到着して、そそくさとシェルに取り付け、さて何を聴こうかとしばし思案し、取り出したのが40年ほど前に現役盤で入手したDF740.003です。
曲目は、ベートーヴェン ピアノ三重奏曲 
第1番変ホ長調 Op.1-1 [74003 1 21, M6 209095] (1959 April 6 - 11)
第2番ト長調  Op.1-2 [74003 2 21E, M6 210170] (1959 April 9 - 11)
録音は1959年[4]、発売は1961年のようです[5]。

演奏は、Trio Hongrois: Georges Solchany, piano - Arpad Gerecz, violin - Vilmos Palotai, violincello
ピアノのジョルジュ・ソルシャニー (1922-1988)は、ブダペスト生まれ。
ブダペスト音楽院でエルンスト・ファン・ドホナーニに、1946年パリに出てマルグリット・ロンに師事しました。[6]
ヴァイオリンのアルパド・ゲレッツ (1924-1992) は、ブタペスト近郊のドゥナケシ生まれ。
1948年スイスに移住、指揮者としても活躍しました。[7]
チェロのヴィルモシュ・パロタイ (1904-1972)もブタペスト生まれで、ブレーメン・オーケストラの首席チェロ、ハンガリー弦楽四重奏団のメンバー。[8]

なお、このトリオは、ベートーヴェンのピアノトリオ全11曲を録音しています。
モノラル盤とステレオ盤のカタログ番号の比較を示します。
Beethoven Trios n° 1 & 2: 730.032, 740.003
Beethoven Trios n° 3 & 4: 730.034, 740.004
Beethoven Trios n° 5 & 6: 730.035,740.005
Beethoven Trio n° 7 Archiduc: 730.036, 740.006
Beethoven Trios n° 8, 9, 10 & 11: 730.033, 740.007

このDF740.003のステレオレコードこそ、ボクにディスコフィル・フランセ盤の魅力を植え付けた、最初の記念すべきレコードなのです。
当時、これをオルトフォンSPUで聴いた時の感激は忘れることはできません。
シックなジャケット、鮮明な録音、若々しい演奏もさることながら、
青春の輝き、ときめき、甘酸っぱさなどが、若きベートーヴェンの自負心と綯い交ぜになった曲の初々しさに感銘を受けました。
この時以来、一番好きな曲はと聞かれたら、ベートーヴェンの作品1だと答えることにしています。

さて、期待と不安にうちふるえながら赤胴クンの針を降ろしました。
あれっ、何かおかしい。ピアノが中央に定位するはずですがボヤケています。左右の位相が逆のようです。
赤胴クンは3本足でアース共通なので、ここで位相をひっくり返すことはできません。スピーカーの片方を逆に繋ぎました。
今度はピアノが中央、ヴァイオリンが右、チェロが左に無事定位しました。
これは何年か前、さる先達の赤胴クンを聴かせてもらったときもそうでしたから、赤胴クンの標準仕様のようです。
その後、先達はカートリッジ内部の配線を入れ替えて位相を正常にされたそうですが、ボクはオリジナルのままで行こうと思います。スピーカー端子を差し換えればいいだけのことですから。

それで、位相が合った赤胴クンの音ですが、、ピアノは玉を転がすようにコロコロと美しく、ヴァイオリンとチェロはツヤのある音で心地良く響きます。
ナローレンジのせいもあるのでしょうか、音楽が一体感を持って鳴り、作曲者の意図、演奏者の熱気が伝わってくるような求心力のある再生音は、他のカートリッジでは得られない貴重なものだと思いました。

今、舞い上がっている最中なので、話1/10でお聞きください。

References
[1] https://www.youtube.com/watch?v=63ABhXW2fZs
[2] http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E8%83%B4%E9%88%B4%E4%B9%8B%E5%8A%A9
[3] http://www.soundfountain.com/amb/ortodeccatan.html
[4] discovering music archives
http://www.dismarc.org/index.php?form=search&db=0
[5] http://data.bnf.fr/documents-by-rdt/13849216/1990/page1
[6] http://blog.livedoor.jp/e86013/archives/2006-03.html
[7] http://dbserv1-bcu.unil.ch/persovd/composvd.php?Code=G&Num=7266
[8] j-m_CELLO DIRECTORY - Vol VI - 1946 - 1975 - Historical Cellists
http://www.j-music.es/incs/f_dir_descarga.php?f=j-m_CELLO%20DIRECTORY%20-%20Vol%20VI%20-%201946%20-%201975%20-%20Historical%20Cellists.pdf&id=6
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by ibotarow | 2015-03-09 21:55 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)
2014年 08月 28日

コラーロ2010レストア事始め

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発端は、2年前の「暑気払いの会」でした。
バチモンプレーヤにEMIを付けてDiscophiles Français盤をお聴かせしたのですが、
お一人から、もうちょっといいプレーヤ使いなさいよ、と言われたのです。

元より異存はありません、でもLPもSPもかけられて、しかも回転速度調整機構付きというのは中々ありません。
コニサーのtype Bは速度調整できますが、±4%なので、G&T初期やパテはかかりません。それにハンマートーンは業務用という頭があるので、リビングには入れたくありません。
コラーロはデザインは好感が持てるものの、速度調整機構がないので選択外だったのですが、For parts or not workingの2010が安く出ていたので、最低価格で入札しておいたら、誰も手を出さなかったのです。
これが来たのが去年の11月。アームはコニサーSAU2のステレオアームに変更されていました。
それからしばらく段ボールに入ったまま、床の間で埃をかぶっていました。
その後、marcoさんからコラーロのオリジナル・アームをいただいたのが今年の3月、
このアームはシェル前面にターンオーバー用の半円形の切り欠きがあるのです。
ボクはこれを見て、このアームにタンノイのターンオーバー型モノカートリッジを付けたいと思いました。
と言いながら、さらに何か月かが過ぎ去り、8月4日から4日間休みが取れたので、いよいよ重い腰を上げざるを得なくなりました。
以下、MIXIに書いた日記を転載します。

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by ibotarow | 2014-08-28 20:10 | 蓄音機 | Trackback | Comments(3)
2014年 01月 20日

クレマンのアンコロールはおいしい

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先日、”さる先達”からクレマン・アンコロールが送られてきました。
もちろんアンコを巻いたロールケーキではありません。クレマンのSP用カートリッジです。
ただ借りているだけですのでご心配なく。

アンコロールのつづりは"incolore"、無色(銀色)です。LP用のルージュに対応する色ですね。
本体に"L5"の手書き刻印がありました。シングルコイルだと思います。

d0090784_1827022.jpg梱包を開けて、まずカンチレバーに驚きました。針の裏が厚いんです。切削加工でしょうか?
針圧は錘をいっぱい後ろにさげて約8g。
QUAD22のMIC端子入力で、スピーカーはマルコーニフォンご本尊。

さっそく、その辺にあったラッパ吹き込みと電気吹き込み盤を10数枚聴きました。
しばらくSPレコードを聴かなかったので、以前の印象を忘れてしまったのですが、
総じて言えることは、
電気録音により良く合うようです。
美しいものはますます美しく、そうでないものはそれなりに。
正直なんでしょうね。

ラッパ吹き込みは、状態の良いものは非常に美しいんですが、
傷んだレコードには冷淡なようで、ノイズが耳障りですし、ひずみっぽさが気になります。
また、録音の貧しさがそのまま出ます。
ここは、デッカ・ゲンコツのナローレンジの深情け?に一歩譲ります。
しかしゲンコツはニードルトークが大きく、蓋が欠かせませんが。

それから電気録音盤は、ストレートのMIC端子より、モノラル端子の78回転用イコライザ経由の方がしっくりいくようです。
特にヴァイオリンの艶や潤い、また女声ではしっとり感が増すような気がします。

しかし、最初に聴いたレコードは英盤がほとんで、あとは伊盤、米盤等で、仏盤はありませんでした。
その後、”さる先達”やmarcoさんが、さかんにクレマンとフランス盤の相性の良さを言われるので、数少ないパテや仏コロムビア、仏オデオン等の電気録音盤を聴きました。

なお、針圧は初めは8gでしたが、”さる先達”のアドバイスで15gにすると、よりしっかりした実在感のある音になりました。
またスピーカーは初めマルコーニフォンでしたが、高音のレンジ不足を感じてGECに変えると音の厚みは少し薄くなりましたが、がぜん高音のしなやかさ、繊細さが増しました。
今までGECでSPレコードをかけると、、録音帯域の貧しさが如実に出ると感じていたのですが、アンコロールは不思議にそんなことはありません、ピッタリだと感じます。

先ずパテのマヌエル・キロガ「ホタ・アラゴネーザ」「ロンド・デ・ルタン」1927年録音、
いいですねえ、細かいニュアンスがよくわかります。またピチカートが生々しい。

次に、ニノン・ヴァランの「インドの歌」1928年録音、
肉付きの良い声で、しっかり安定しています。たい焼きの隅々までアンコの入った感じです。

次は、仏コロムビアのバリエントス/ファリャの「7つのスペイン民謡」1927-28年録音、
これはあまり良くないというか普通ですね。パテに比べると鈍い音です。

次は仏オデオンのイヴ・モンタン「セシ・ボン」1948年録音、
蓄音機ではもっと浮き浮きしたはずむ感じでしたが、まじめな落ち着いた感じです。

以上がフランス盤で、次は米コロムビア盤
エネスコの「ヘンデル4番ソナタ」1929年録音、
滑らか、今まで聴いたエネスコの中で最もHiFiの再生音。

次は独エレクトローラ盤
フリダ・ライダーの「神々の黄昏、終曲」1928年録音、
これはオーケストラの絃がさわやかで、細かい楽器まで聴こえ、声に距離感があり、まるでLPを聴いているようです。

最後は英HMV盤、
ヨーゼフ・ハシッドの「タイスの瞑想曲」「ウィーン奇想曲」1941年録音、
これはいいんですが、以前のもっと清潔感あふれる印象が薄れたような気がします。あたりまえの音になってしまいました。

以上、ボクの駄耳では、フランス盤との相性は、そう言われるとそうかなという程度でした。もちろん悪くはありませんでしたが。
1920年代の電気録音はほとんどウエスタン・エレクトリックの録音システムなので、国別、レーベル別の音の違いはLPほど現れないのかもしれません。
今回聴いた中では、一番良かったのは独エレクトローラで、次が米コロムビアした。これは単に録音の良し悪しに比例しているだけだと思います。

クレマン・アンコロールは、LP用のクレマン・ルージュでも感じましたが、
レコードに入っている音を足したり引いたりせずに正直に再生するカートリッジだと思いました。
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by ibotarow | 2014-01-20 18:46 | 蓄音機 | Trackback | Comments(2)
2013年 12月 15日

クレマン・ルージュで仏盤を聴く愉悦

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ピエール・クレマンのE25rougeを試聴する機会を得ました。
さる”悪い人”が、いつもタンノイで仏DF盤を聴いているボクを哀れに思し召して、貸してと言わないのに送られてきたのです。まったく悪い人です。

ピエール・クレマン、まずどんな種類があるのかと調べてみたところ、下に示すカートリッジ一覧表[1]を見つけました。
今まで、赤がLP用で銀がSP用くらいしか知らなかったのですが、それほど単純ではなさそうです。

ボディーの色は赤と銀のほかに、金、黒、青等があります。Anthracite(無煙炭)って何色だと思いましたがチャコールグレーのようですね。
コネクターにA, B, Cの3種類あり、違いは止めネジがAマウントは上にあり、Bマウントは横にあります。
78回転用は、AタイプではE25N(銀), L6N(黒), L6B(銀)等があり、BタイプではL7N(黒), L7B(銀)等があります。
LP用は、AタイプではE25M(赤), L6M(金), L6B(赤)等があり、BタイプではL7M(Anthracite), L7B(赤)等があります。

paletteとはカンチレバーのことのようで、Xタイプは大カンチレバーに太軸、Yタイプは小カンチレバーに細軸です。軸とは発電用の磁性体でしょうか?
L6M, NとL7M, NはXタイプ、L6BとL7BはYタイプです。

E25M, Nは1コイル、L6, 7は2コイルのようです。
Porte Pointeはスタイラス・チップの大きさでしょうか?
V: Porte pointe grand modele 78 T
Z: Porte pointe grand modele microsillon
W: Porte pointe petit modele 78 et micro
だそうです
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さて、さっそくDF盤を何枚かとHM盤を1枚聴いてみました。
はからずもモーツァルトばっかりになりましたが。

先ず、リステンパルトのジュピター(DF138)
タンノイより高音のレベルは低いものの、高低のバランスはこちらの方がニュートラルな感じです。
またタンノイより出力は大きく、切れ込みの良い音です。
クレマンに比べると、タンノイは軽い、薄い、美しい音に聴こえます。
タンノイは化粧した音ですね。

次に、ピエルロのオーボエ協奏曲とオンニュのファゴット協奏曲(DF730.039)
オーボエは鮮明で、滑らかです。
ファゴットは力強く、リードの高調波がよく聴こえます。
両者とも独奏楽器がオーケストラから浮き上がります。

それから、ボベスコ/カッポーネの協奏交響曲(DF730.037)
オーケストラのさわやかな絃とスケール感が感じられます。
ヴァイオリンが浮き立ち、ヴィオラとの音色差が明瞭に区別できます。
でもボベスコの嫋々とした美しさはタンノイの方が上か?

さらに、クラウスのグラスハーモニカ五重奏曲(DF20016)
タンノイではこの世のものとは思えないくらい美しかったチェレスタが鉄琴の音に聴こえます。
言い方を変えると、こちらの方が正しい音?

最後は、グレーリング/コッホの二重奏曲(HM30615)
溌剌とした演奏で、タンノイで感じたひ弱な感じはありません。
ハルモニア・ムンディとの相性はディスコフィル・フランンセより良い感じです。

今までピエール・クレマンは、ヒップホップDJがスクラッチしたら似合いそうな色と形から、とんでもないアバンギャルドな音がするに違いないと思っていました。しかしそれは見事に裏切られました。
いつも聴いているタンノイ・バリレラの方がずっと派手です。
クレマンは、レコードに入っている音を過不足なく引き出す真面目なカートリッジだと思いました。

最後に、貴重な機会を与えていただいた”悪い人”に厚く感謝申し上げます。 情が移らないうちに早々にお返しいたします。

Reference
[1] http://www.lencoheaven.net/forum/index.php?topic=10583.90
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by ibotarow | 2013-12-15 21:35 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 04日

まる子ちゃんがやって来た

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デッカXMSオリジナルの音の再現をめざして作られたプレーヤーです。
構成は、緑カバー茶ゲンコツ+専用アーム+コラーロAC47ターンテーブル+STUDOPHONEケースです。
ふたの上には銚子のTさんも真っ青の音響調整板?が乗っています。これでゲンコツのニードルトークは完全に遮断されます。
marcoさんに作っていただいたので、まる子ちゃんと名づけました。

来たのはひと月ほど前ですが、最初は人見知りがはげしいというか、なかなか本領を発揮しませんでした。
今までの金色カバーの茶ゲンコツを付けたバチモン・プレーヤーの方がきめ細やかな、しっとりとした音を奏でていたのです。

ゲンコツの個体差だろうと思ったものの、ゴルフ院長作のアダプターはそう簡単にヘッドが交換できないので、同じ個体で比較できません。
ところが最近、院長にコイルを巻いてもらった赤ゲンコツを付けたとたん、がぜん良く鳴りはじめました。

ここで3つのゲンコツのスペックをまとめると、
 ボディ  カバー  直流抵抗  アーム 
1 茶   金     30Ω    バチモン
2 茶   緑     数kΩ    デッカ 
3 赤   銀     13Ω    デッカ 
で、
針はすべてMUSONIC製SP用を使って比較しています。
1と3はQUAD22のMIC端子に入れていますが、2は出力が大きいので、RADIO端子です。

コイルのインピーダンスが小さいほうが良いのか、あるいはイコライザー段のEF86を通すほうが良いのか、理由はわかりませんが、今は満足できる音で鳴っています。
それに、ヘッドが赤のほうが、茶色一色よりおしゃれな感じがして気に入っています。

それでは、ターンテーブルの差はどうなんだ?と聞かれると、同じヘッドで比較しない限りボクの駄耳ではよくわかりません、と答えるしかありません。
marcoさんはすごいですね、あんなに詳細にガラードとコラーロの差を聴き分けられるなんて。

今後じっくり時間をかけて、まる子ちゃんの良さを見つけて行きたいと思います。
marcoさん、このたびはたいへんお世話になりましてありがとうございました。
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by ibotarow | 2013-05-04 12:52 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)
2012年 12月 08日

DECCA ffss 78 rpm

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右の図は、DECCA ffssのコイル結線図です。これを見てボクは、黄色と赤、あるいは黄色と緑から出力をとれば縦振動盤が再生できるんじゃないかと思いました。 d0090784_17161588.jpg
それ以来、78回転用のffssを探していましたが、先日リーズナブルと思われる価格で落札できました。
ここまではルンルン気分だったのです。

ところが、落札してからハタと気づいたのですが、78回転用に果たして縦振動用のコイルは入っているだろうか?
入っているとしても結線されているだろうか?
どちらも望み薄ですね(笑)。

さて、ブツが到着して早速、普通の横振動レコードをかけてみると、これがいいんですよぉ~。
なにがいいって、ナローレンジ、上がスパッと切れてる。 聴感上のS/Nが良いということですかね。
もちろんフィルタをいじくれば同じような効果が得られるかも知れませんが、 何もしないでこの音が得られるのは今まで経験したことがありません。
しかも、高域に潤いがあるというか色気があるというか、魅惑の音色でラッパ吹き込みも電気録音も同じように楽しめます。
こういうのをhighly sophisticatedっていうんでしょうなあ。
ここ当分これに首ったけで、縦振動云々はいずれそのうち。

その後、いろいろ聴いて、欠点もわかりました。
機械的な構造の故ですが、ご存知のようにffssヘッドは針を糸で引き止めています。
そのため、アームの質量にもよりますが、横方向の共振周波数がうちの場合2~3ヘルツになります。
レコードが平坦な場合は何の悪影響もありませんが、そりがあった場合、しかもそりの周期と共振周波数があった場合、目に見えてヘッドが揺れ、その結果、再生音がドップラー効果でまるでビブラートをかけているように揺らぎます。もっとひどい場合は溝を跳び越えます。
というわけで、これを使おうとすると、反り直しが必須のようです。面倒だなあ~。
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by ibotarow | 2012-12-08 17:30 | 蓄音機 | Trackback | Comments(2)
2012年 06月 29日

縦振動MCカートリッジ その2

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ゴルフ院長より重量級アームをお借りしました。
先日、ソフィアザール邸でのゲンコツの会で、うちで散々苦労した縦振動カートリッジがこの重量級アームでいとも簡単にトレースするのを見て、うちでもできるか試してみたくなったのです。

普通のアームはオーバーハングに作ってあるのでインサイドフォースが発生します。逆にアンダーハングになるようにセットすればアウトサイドフォースが発生します。ゴルフ院長のアームは「どこでもアーム」で、アームベースが移動できるようになっているため、サイドフォースが最小となる位置にセットすることができる、というわけです。

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サイドフォースが最小になる条件は、アームの方向が溝の接線方向に向くようにセットしたときです。このとき針先の引っ張られる方向とアームによって引き戻される方向が逆方向で一直線となって、サイドフォースはゼロになります。
しかしながら、図のように最外周でこの条件が満足するようにセットすると、内周に行くにしたがって外向きの力が発生します。
図中、赤の力は溝との摩擦によるものなので、溝の接線方向に発生します。レコードの中間の位置では、この赤の力はアームの方向の黄色とアウトサイドフォースの緑色に分解され、黄色は青とつり合います。そしてアームと溝の接線のなす角、つまり黄色と赤のなす角をθとすると、緑のアウトサイドフォースは[赤の力xsinθ]となります。これで合ってるでしょうか?

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それで今日、今まで一番トレースするのが難しかったティボーのハバネラを、まずこの条件でかけてみました。
最初はうまくトレースしますが、あと3割というところで、すべって戻って来てしまいます。
アームベースをちょっとターンテーブルに近づけてオーバーハング気味にしてみると、最初はインサイドフォースで内側に流れます。
なんとか折り合いの付く位置はないかと、アームベースをいろいろ微調整してみましたが、結局、アームが接線方向になる前後5cm幅くらいしかトレースしません。
なかなかやっかいなレコードです。

その後、音楽人さんからゴルフ院長作、重量級ロングアームをお借りすることができました。
アーム長が長いほど、サイドフォースは小さくなります。もし無限大の長さを持つアームがあると、リニア・トラッキングと等価になり、サイドフォースはゼロになります。
ゴルフ院長にお借りしたショートアームでは針先から回転軸までの長さは24cm、ロングアームは27cm、この長さの差がトラッキングに与える影響を調べました。
アームベースがプレーヤボードの外に飛び出すといけないと思って、真鍮の丸棒の台を用意したのですが、幸い院長のアームベースは偏芯構造なのでボードに乗りました。
針圧はショートアームと同じ15gにして、アームベースの位置をいろいろ微調した結果、ターンテーブル回転軸からアーム回転軸までの距離が29cmのときにもっとも広範囲をトレースすることができました。
しかし、ティボーのハバネラの約8cmある溝の全範囲をトラッキングすることは、ロングアームをもってしても困難でした。
この範囲をさらに広げるためには、最初は内側に流れるようにオーバーハング気味にして、インサイドフォース・キャンセラーを軽くかけるのがいいかな、と思います。

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これで重量級どこでもアームによるパテ縦振動盤再生の実験を終わります。
貴重なアームを貸していただいたゴルフ院長、音楽人さんに厚くお礼申し上げます。 どうもありがとうございました
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by ibotarow | 2012-06-29 18:23 | 蓄音機 | Trackback | Comments(4)
2012年 04月 14日

縦振動MCカートリッジ

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ゴルフ院長の最新作です。 直径1mmほどの金色の短い円柱2本がそれより細い銀色の円柱で繋がれた構造で、盤面に垂直に置かれた円柱に被さるようにコイルが配されています。針の上下振動は細いロッドでコイルに伝えられます。
発電機構は最初、真ん中の銀色の円柱が磁石かと思いましたが、よく考えるとこれでは発電せず、金色の円柱が磁石で反発磁界を形成しているようです。つまり2本の磁石を同極同士向かい合わせに配置すると、磁界がまるでブラックホールの降着円盤のように薄く放射状に広がり、コイルがその円盤を上下に切るように振動すると発電する仕掛けです。

最初、なにも考えずにレコードに針を下ろしたところ、強烈なインサイドフォースで内側に流れます。もともとプレーヤ付属のバネ式?キャンセラーがあるのですが、め一杯にしても内側に流れるのです。そこで、tetrodeさんのマネをして錘式インサイドフォース・キャンセラーを付けてみました。
その結果、モーリス・ルノーのカルメン「闘牛士の歌」はすんなりかかるようになりました。
でもティボーのサンサーンス「ハバネラ」が難物で、これはSHUREも真ん中以降しかかからなかったものですが、外周の2割ほどが滑ってかかりません。これをかけるために、院長にお願いして、もっと針圧をかけられるように調整してもらうことにしました。重針圧で溝に押さえつけようというコンタンです。

しばらくして、ゴルフ医院からくだんのカートリッジが丈夫な体になって退院してきました。 回転シェルのツノもずいぶん成長して長くなったようです。 音楽人さんに「ヘラクレス・オオクワガタ・スペシャル」と命名されてしまいました。
ルノーとティボーのパテ盤をお送りして調整してもらっていたのですが、
「10~15gで2枚とも完奏しました」
とのことで、早速、うちのバチモン・アームに付けて試してみました。

インサイドフォース・キャンセラの錘をさらに増やし、針圧を調整した結果、 13gで、難物のティボーがなんとか最初からトレースできました。 錘の重量に対する最適針圧があるようで、もう少し錘を増やして針圧を増やすとさらに安定する気がしますが、とりあえず、この条件でほかのレコードも聴いてみると、 盤によってインサイドフォース発生量が違うようで、どうも難物ティボーに合わせると、ほかの盤はアウトサイドフォースで外側に流れるのが多いです。

幾何学的配置はいっしょなのに、なんでこうも違うのか、つらつら考えてみました。
そもそもなんでインサイドフォースが発生するかと言うと、針先が溝によって引っ張られる方向と、それを引き戻そうとするアームの回転軸の方向が180度、つまり逆向きで一直線ならちょうど打ち消しあうのですが、角度があると内側か外側に向く力が発生します。
では、溝によって引っ張られる力は何で生ずるのかを考えると、溝との摩擦ですね。この摩擦の程度が違うとインサイドフォースの発生量も変わるということになります。
ということで、溝がつるつるしている盤ではインサイドフォースの発生量も小さいということになるんではないかと思いますが、これで合ってますかね?

結局、難物ティボーは針圧13g、プレーヤ付属のインサイドフォース・キャンセラー最大。
この条件で外に流れる盤に対しては、まずインサイドフォース・キャンセラーをゼロ。
それでも流れる場合は、針圧を増やす。
針圧を増やすと摩擦が増えインサイドフォース発生量も増えるので、外側に流れ難くなる。
この方法で、針圧15gまでで、手持ちの全てのパテ盤をかけることができました。

全てといっても14枚しかないんですが、その内10枚がティボーです。
音色は今までのSHUREと歴然と違います。SHUREは良くも悪くもごまかしてそれらしく聴かせるのに対し、ヘラクレスはごまかしが全然ないので、傷んだレコードからは聴くに耐えない雑音を発します。
それに、録音帯域の狭さがモロに出ます。パテ盤がシリンダーからダビングされたことが丸わかりです。

でもその中から聴こえるティボーのヴァイオリンのなんと凛と響くことか・・・ピンと張りつめた細身の輝かしい音は、おそらく今まで誰も聴いたことがない世界だと思います。

ゴルフ院長、この度はたいへんお世話になりましてありがとうございました。
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by ibotarow | 2012-04-14 06:36 | 蓄音機 | Trackback | Comments(0)