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カテゴリ:男声_電気録音( 2 )


2006年 08月 29日

アレッサンドロ・ボンチの電気録音

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昨日、アレッサンドロ・ボンチ(1870-1940)の電気録音盤が2枚届きました。
mr.hmvさんからいただいたRC誌のディスコグラフィー[1]によると、ボンチは1926年にミラノで次の7面のレコードをコロムビアに録音し、その内6面3枚が発売されました。データは左からマトリクス番号、イタリア盤カタログ番号、英国盤カタログ番号、曲名、共演者名です。
BX69, GQX10224, D.14681, UN BALLO IN MASCHERA: La rivedro (w. Rettore, Baccaloni and Menni)
BX70-2, GQX10148, D.18010, UN BALLO IN MASCHERA: E scherzo (w. Rettore, Baccaloni, Menni and Rubadi)
BX71, GQX10148, D.18010, UN BALLO IN MASCHERA: Di tu se fedele (w. Rettore)
BX72, Unpublished but believed to be "Ma se me forza perditi"
BX73, GQX10223, D.14680, UN BALLO IN MASCHERA: Non sai tu (w. Pagliarini)
BX74, GQX10223, D.14680, UN BALLO IN MASCHERA: O qual soave (w. Pagliarini)
BX75, GQX10224, D.14681, LE VILLI (Puccini): Torna ai felici di

最後の録音だけプッチーニの「妖精ヴィルリ」ですが、残りはヴェルディの「仮面舞踏会」からです。以前入手した復刻CD[2]には、これら6面すべてが収録されていて、旧吹き込みとは一線を画する音質であったため、常々オリジナル盤を聴いてみたいものだと思っていたのですが、このたびD.18010とGQX10223を格安で入手できるチャンスに恵まれました。

1926年といえばボンチ56歳ですが、声の衰えはあまり感じられません。それよりも、ラッパ吹き込みに比べてピントがキリリとあったような再生音は予想以上にすばらしいものがあります。もっとも、声とバックのオーケストラのバランスはラッパ吹き込み時代と同じで、声が前に引き立つように録音されているのは面白いなあと思いました。

録音機材は、当時完成したばかりのウエスタン・エレクトリック(WE)製で、テニスボール型真空管が立ち並び、その間にはサビ一つ無いトランスが多数鎮座していたことでしょう。ちなみに、WE製電気録音システムを最初に導入したのは、ヴィクターではなくてコロムビアでした[3]。
よく電気録音最初期の録音はあまり出来が良くないと言われます。事実クライスラー/ブレッヒのベートーベンなんかは弦の音がかなりキツイですが、上のレコードは、ボンチの明るく迫力のある声が見事に捉えられていると思いました。オーディオ的な言い方をすれば、80年間封じ込められていた出来立てホヤホヤのウエスタン・サウンドが聴けるのです。ウソだと思われる人は拙宅に聴きに来てください。

参考
[1] Tom Hutchinson, "Alessandro Bonci", The Record Collector Vol.11, No.7 (July 1957) 153-162.
[2] http://mixi.jp/view_diary.pl?id=11485824&owner_id=419787
[3] 補足すると、WEはもちろん各社へテスト盤を送ったのですが、ヴィクターの要人は誰も関心を示さなかった。ところがブリティッシュ・コロムビアの社長はこれを聴いて驚愕し、あわててWEに電報を打ち、私が行くまで誰とも契約しないよう頼みました。当時、大西洋を船で渡るのに1週間かかったそうですが、一日千秋の思いだったことでしょう。1週間後WEに着いた社長は、特許を売ってくれるよう懇願したのですが、特許は使用許可は与えるが、売らない、しかも使用許可もアメリカ人にだけだと言われました。そこで引き下がる社長ではありません。彼は何と、かつての親会社であるアメリカン・コロムビアに契約を結ばせ、後に会社ごと買収するという奇策を講じて、電気録音技術を自分のものとしたそうです。
その意気込みが上のレコードにも込められているような気がします。
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by ibotarow | 2006-08-29 07:13 | 男声_電気録音 | Trackback | Comments(0)
2005年 04月 24日

ゲルション・シロタ

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Sirota, Gerson (ten.) Orchestrola 5019: Celeste Aida, Aida (Verdi) / E lucevan le stele, Tosca (Puccini) matrices 5017A / 5017B, London 1928

2枚目は、3月1日の日記に書いた、ゲルション・シロタの「清きアイーダ」とトスカの「星よ光ぬ」です。Orchestrolaというレーベルのドイツ盤なので、題名はドイツ語で書かれていますが、イタリア語で歌っています。声は、カルーソーより艶やかで、色気が感じられます。でも歌い方は、イタリアオペラ歌手ほど流麗ではありません。威厳があるというか、やはり聖職者としての自覚が、むやみに官能的感情を発露させるのをセーブしているかの印象を受けます。これはこれで貴重な歌唱だと言えましょう。
録音はあまり良くないです。機材が悪いのか、使いこなしが良くないのか、短波放送を聴いているように音量がふらつきます。

以下、シンポジウムの復刻CDの解説を要約します。シロタは30年間で175を超える録音を残したそうですが、これは1928年の初の電気録音です。Orchestrola/Broadcastシリーズとして、実際の録音はヨーロッパVocalionが担当しました。ロイヤリティの問題を避けるために二流の機材(先日の写真の資料にはマルコーニと書いてあった)を使用したそうです。同時に8インチと10インチの盤が作られました。8インチの方は、同じ量の音楽を刻むため、振幅を小さくしてカットしたため、クオリティは低いそうですが、偉大なカントールが寺院の中で、ライブを行っているような臨場感が感じられると書いてあります。
これはひょっとして音量のふらつきのことを言っているのかしら。

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by ibotarow | 2005-04-24 12:07 | 男声_電気録音 | Trackback | Comments(0)