いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

ibotarow.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:男声_ラッパ吹き込み( 51 )


2017年 04月 30日

SPレコードのデジタル化その2 エドワルド・ド・レスケ

2回目は、Edouard de Reszke (1853 – 1917) の2枚です。

Grand Opera Disc Record, 1903, New York
1221 [1221-2] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)

IRCC-Columbia,
28-A [W170727] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)
28-B [W170728] Marta: Canzone del Porter (Flotow)

まずエルナーニですが、DAHR[1]によると次の4種があります。

ca. 1903 New York, take 1, Master, Columbia 1221, 10-in., Announced.
ca. 1903-1904 New York, take 2, Master, Columbia 1221, 10-in., Announced.
ca. 1903-1904 New York, take 2, Maste,r Columbia A617, 10-in., Announced.
ca. 1903-1908 New York, take Unknown, Master, International Record Collectors' Club 28 10-in. From dub W170727-1, made on 12/9/1933.

1番目と2番目がオリジナルで2テイクあり、3番目はテイク2の再発売、4番目はIRCCのダビング盤でこれもテイク2のようです。

さて回転数ですが、RC誌の"Columbia Grand Opera Records of 1903"[2]を読んでみました。

このシリーズは、1903年の春に新大陸で初めて発売された有名歌手のレコードで、32タイトルありますが、2あるいは3テイクを持つものもあるので、全部で50面あって、そのうち45面が発売されたようです。
ピアノ伴奏は、 Charles Adams Prince (1867-1937)です。
レーベルは数種類の変遷があるようですが、煩雑なので省略します。

マトリクスの表記は、
マトリクス番号-テイク番号-スタンパー記号(アルファベット順)
です。エルナーニの盤面を見てみると、
1221-2-E
でしたので、テイク2、5番目のスタンパーでした。
ちなみに、一つのスタンパ―から平均500枚のレコードがプレスされたそうです。

1933年にIRCCがド・レスケ2面を再プレスしようとした時は、すでに工場にスタンパーが存在せず、やむを得ずダビングしたとのことです。

肝心の再生スピードですが、残念ながら、この記事には一言も記述はありませんでした。

Wittenさんは有名なYale大学の35,000枚を誇るコレクションの創設者ですが、本職は古書店主だそうです。
骨董品としての興味はあるけど、音楽再生のための回転数には興味がないのですかね?

それで、やむを得ず復刻CD[3]に合わせることにしました。
その結果、エルナーニ(テイク2)の回転数は、
78 rpm
となりました。
これは本当でしょうか?あるいは何も考えず78 rpmで再生したということはないでしょうか?

この回転数の真偽に関して、The Talking Macine Forum[4]を見ると、このCDセットは、1963年に出たLP2枚組セットのCD版のようで、ピッチに関しては、
"the CD set was full of pitching errors."
"The Suzanne Adams, the Campanari sides in particular are transferred incredibly fast"
と、評判は良くありません。特に「信じられないほど高速で復刻されている」と書いています。
これが正しいとすると、本当の回転数は78 rpmよりもっと遅い可能性が考えられます。

そこで、mr.hmvさんにRC誌のエドワルド・ド・レスケの記事[5]を探してもらい、具体的な数値はわかりませんでしたが、
"It is important that they be played below 78."
の記述を得ました。
やはり78 rpmは速すぎるようです。

IRCCの復刻盤は、予想通り、エルナーニ、マルタとも78 rpmでした。
また、他の復刻CD[6]に、
Marta: Chi Mi Dirà (Flotow)
を見つけましたので、さっそく聴いてみましたが、これも78 rpm再生のようです。

回転数は、本来は楽譜を用意して、チューニングメーターでkeyのピッチを調べるのでしょうが、そもそも1903年のニューヨークのコロンビアスタジオのピアノがA=440Hzに調律されていたかどうかの保証はないので、結局わからないと思います。
それに、例えば、A=440 HzとA=435 Hzの差は、回転数でいうと、78 rpmと77 rpmの差ですので、ボクの駄耳では検出不可能です。 ちなみに、435 Hzはマーストンが20世紀初めのレコーディングスタジオのピッチだと紹介していました[7]。

ソフト上でピッチを可変できる時代になりましたから、わからない時は、とりあえず78 rpmでデジタル化しておくのが良さそうです。
という訳で、とりあえずの音源を下記にアップしました。

Grand Opera Disc Record, 1903, New York
1221 [1221-2] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)
http://ibotarow.exblog.jp/10671551/

IRCC-Columbia
28-B [W170728] Marta: Canzone del Porter (Flotow)
http://ibotarow.exblog.jp/12527936/

いずれも写真をクリックすれば音が出るはずです。


References
[1] http://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/2000137570/1221-Infelice_e_tuo_credevi
[2] Jerrold N. Moore and Laurence C. Witten II, "Columbia Grand Opera Records of 1903", The Record Collector, Vol. 15, Nos. 3 & 4, 51-71
[3] The 1903 Grand Opera Series, Sony Classics 62334 (1996)
[4] http://forum.talkingmachine.info/viewtopic.php?f=2&t=6548&start=10
[5] James Dennis, "Édouard de Reszke", The Record Collector, Vol. 6, No. 5, 105
[6] The Golden Age of Singing, Vol. 1 1900-1910, Nimbus NI7050/1 (2000)
[7] The Complete Adelina Patti and Victor Maurel, Marston 52011-2 (1998)


[PR]

by ibotarow | 2017-04-30 07:02 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 28日

レオ・スレザーク(1873-1946)のディスコグラフィーその1

d0090784_16133496.jpg

以前、「レオ・スレザークの素敵な世界」という素敵なホームページを運営しておられた盤 奇録さんには、2,3度お目にかかったことがありますが、残念ながら2014年10月に逝去され、そのホームページもいつしか閲覧できなくなりました。
その頃から、スレザークのディスコグラフィーを作りたいと思っていましたが、カルーソ以上に大量の録音があるので、なかなか手が付けられませんでした。
このたび、ずいぶん前にmr.hmvさんからいただいたRC誌のディスコグラフィー[1]をもとに、[2-27]の資料と照合、補完し、なんとかラッパ吹込みをリストアップすることができました。
謹んで盤 奇録さんに献呈いたします。

d0090784_07120760.jpg
d0090784_07215711.jpg
d0090784_07222617.jpg
d0090784_07223953.jpg
d0090784_07225256.jpg
d0090784_07230790.jpg
d0090784_07232298.jpg
d0090784_07235170.jpg
d0090784_07240811.jpg
d0090784_07242531.jpg
d0090784_20585643.jpg

References
[1] Thomas G. Kaufman, LEO SLEZAK discography, The Record Collector, Vol. 15, Nos. 9-10 (1963) 208-226.
[2] Leo Slezak 1: Gramophone/Zonophone/Pathé (Wien, 1901-1904), Truesound Transfers TT-2405 (2004)
[3] Leo Slezak 2: Gramophone (Wien, 1903), Truesound Transfers TT-2406 (2004)
[4] Leo Slezak 3: Gramophone (Wien, 1903-1905), Truesound Transfers TT-2407 (2004)
[5] Leo Slezak 4: Odeon/Columbia (Wien, 1904-1906), Truesound Transfers TT-2408 (2005)
[6] Leo Slezak 5: Gramophone (Wien, 1905), Truesound Transfers TT-2409 (2005)
[7] Leo Slezak 6: Gramophone (Wien, 1906-1907), Truesound Transfers TT-2410 (2006)
[8] Leo Slezak 7: Gramophone (Wien, 1907-1908), Truesound Transfers TT-2411 (2006)
[9] Leo Slezak 8: Gramophone (Wien, 1909), Truesound Transfers TT-2412 (2005)
[10] Leo Slezak 9: Edison cyl. (Berlin, 1909), Truesound Transfers TT-2413 (2006)
[11] Leo Slezak 10: Gramophone/Pathé (Paris, 1910/Berlin, 1912), Truesound Transfers TT-2414 (2005)
[12] Leo Slezak 11: Columbia/Odeon (New York/Berlin, 1912), Truesound Transfers TT-2415 (2005)
[13] Leo Slezak 12: Anker/Favorite (Berlin, 1913), Truesound Transfers TT-2416(2005)
[14] Leo Slezak 13: Favorite/Columbia (Berlin, 1913/Wien, 1917), Truesound Transfers TT-2417 (2005)
[15] Leo Slezak 14: Gramophone (Berlin, 1923) - German Lieder Recital, Truesound Transfers TT-2418 (2005)
[16] Leo Slezak 15: Gramophone (Berlin, 1923) - Operatic arias and Songs, Truesound Transfers TT-2419 (2005)
[17] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed a/b/c, recorded by Frederick William Gaisberg et al, 1900 to 1919, MAT102 (2002).
[18] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed g, h, i(j) (early use B, x, y), recorded by William Sinkler Darby, 1901-1909, MAT04 (2002)
[19] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed k, l, m (early use C, z, Hp), recorded by Franz Hampe (Hampe I), 1902-1919, MAT05 (2004)
[20] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed t, u, v, corded by Charles Scheuplein, 1902-1920 and by Harry Fleming, 1920-1921, MAT08 (2006)
[21] V. Girard and H. M. Barnes, "Vertial-cut Cylinders and Discs", British Institute of Recorded Sound (1964)
[22] Christian Zwarg, ODEON Matrix Numbers — B/xB/xxB/xxxB (Berlin)
http://discography.phonomuseum.at/odeon/odmxB.pdf
[23] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, ODEON (incl. FONOTIPIA)
http://www.truesoundtransfers.de/odeon.zip
[24] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, EDISON (Phonographenwalzen)
http://www.truesoundtransfers.de/edisoncy.zip
[25] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, EDISON (Diamond Discs)
http://www.truesoundtransfers.de/edisondd.zip
[26] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, INTERNATIONAL ZON-O-PHONE
http://www.truesoundtransfers.de/zonoint.zip
[27] THE ONLINE DISCOGRAPHICAL PROJECT, Columbia A5000 - A5499 (1908 - 1913), a numerical listing
http://www.78discography.com/COLA5000.htm



[PR]

by ibotarow | 2017-02-28 08:24 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2015年 12月 15日

マッティア・バッティスティーニのディスコグラフィー

d0090784_9565718.jpg

先日、斯界の大御所、M.Sさんから忝くもイタリアンバリトンの雄、マッティア・バッティスティーニ(1856 - 1928)のラッパレーベル盤を2枚いただきました。
054107 Ernanni:O sommo Carlo (Verdi)
054390 Pagliacci:E allor perché (Leoncavallo)
で、いずれも第1次大戦後のドイツプレスです。
これを機会に、バッティスティーニのディスコグラフィーをまとめることにしました。

下敷きに、今年マーストンから出たコンプリートCD集[1]のトラックリストをコピーペーストし、
mr.hmvさんからいただいたRC誌の記事[2]と、ケリーのMAT102[3]と照合し、不足分を補いました。

なお、最近のマーストンの復刻技術の進歩は著しく、ボクらがその辺のオークションで入手した盤を、普通に再生しただけでは、絶対出ないような音が入っています。

ボクは今まで、蓄音機で再生した音をリファレンスにして、それにできるだけ近い音を電気再生で出すことを心がけて来ましたが、これを聴くと、そんな素人の努力は無駄であったと思わずにはいられません。
彼の方向は、100年前のレコードから、現代に録音されたようなリアリスティックな音を引き出すことのようで、それはある程度実現されています。

これを聴いて、ボクはもうSP盤を集めようという気が無くなりました。
同時に、蓄音機も手放す決心をしました。

ところで、2枚のラッパレーベル盤の感想はどうかって?
まだ聴かずに飾ってあります。SP盤は持っていることに価値があるのです。

d0090784_9553811.jpg


More
[PR]

by ibotarow | 2015-12-15 10:07 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2014年 09月 21日

フランシスコ・ヴィニャスのO Paradiso

d0090784_6453421.jpg

ヴィニャス(ヴィグナス)については、過去3回書きましたが[1-3]、そのつど呼び名が変わっていましたので、ここで下記のように統一します。
スペイン語名は、Francisco Viñas (フランシスコ・ヴィニャス)
イタリア語名は、Francesco Vignas (フランチェスコ・ヴィグナス)
彼のレコードはすべてミラノ録音ですので、レーベル上の名前はイタリア語表記です。

さて、前回のマルコーニのレコードとともに、写真のレコードも同梱で到着しました。
マルコーニはたぶん無理だろうと思ったので、押さえにもう1枚入札したのですが、邪心が無かったためか、2枚とも手に入ってしまいました。

フランシスコ・ヴィニャスのディスコグラフィーは以前作りましたが[3]、そのうちのG&Tの部分を再掲します。
1903年10月のミラノ録音で、10インチが1面、12インチが7面あります。
Con 133Rだけ、X-92115としてゾノフォンからも出たようです。
ちなみにウィル・コンラッド・ガイスベルグは、マトリクスのプリフィックスにG&T録音は"Con"、ゾノフォン録音は"Rad"を使い分けていましたが、これは自分のミドルネームですね。

Youtubeを探しましたが、残念ながらG&Tは無く、1912年のフォノティピア
[XPh 4913] 69121 L’AFRICAINE: O paradiso (Meyerbeer)
と思われる音源
http://get-tune.net/?a=music&q=francisco+vinas+l+africaine+o+paradiso+meyerbeer
がありますので、聴き比べてみました。
フォノティピアは録音に慣れたのか、ストレスなく朗々と歌っています。
それに対して、長年の風雪に耐えた古木のように節くれだった表現は、1903年のG&Tに共通の味わいだと思います。



              Francisco Viñas G&T Recordings by [4-6]
                                                               ○: [4]

1903.10, Milan, accompanied by SALVATORE COTTONE at the piano
[Con 133R] 52735 GERMANIA: Studenti, udite (Franchetti) ○ X-92115
[Con 520R] 052007 AIDA: Celeste Aida (Verdi) ○
[Con 521R] 052008 MEISTERSINGER: Dall’alba tinto (Morgenlich leuchtend) (Wagner) ○
[Con 522R] 052013 DIE WALKÜRE: Cede il verno ai rai (Winterstürme) (Wagner) ○
[Con 527R] 052005 LOHENGRIN: S’ei torna alfin (Mein lieber Schwan!) {Second part only} (Wagner) ○
[Con 529R] 052001 LOHENGRIN: Ben altra prova (Höchstes Vertrau’n) (Wagner) ○
[Con 531R] 052002 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner) ○
[Con 532R] 052004 L’AFRICAINE: O paradiso (Meyerbeer) ○


References
[1] フランチェスコ・ヴィニャス(ヴィグナス)(2005年 04月 03日)
[2] ヴィグナスG&T (2005年 08月 14日)
[3] フランチスコ・ヴィニャスのローエングリン「はるかな国に」(2011年 02月 05日)
[4] The Complete Francisco Viñas, Marston, 53006-2 (2006)
[5] Alan Kelly, "Matrix Series Suffix-e, Ten Inch Wax Process Recordings made by W C Gaisberg et al" (1994)
[6] Alan Kelly, "Matrix Series Suffix-f, Twelve Inch Wax Process Recordings made by William Conrad Gaisberg et al" (1994)
[PR]

by ibotarow | 2014-09-21 07:06 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2014年 09月 14日

フランチェスコ・マルコーニのDi pescatore ignobile

d0090784_719714.jpg

このところ、ビニール盤に浮気をしていましたが、やっとシェラック盤を聴きたくなる季節になってきました。

以前、HMVのVA, VB盤は盤質も良く、お買い得ですよ、という記事を書いたところ、mr.hmvさんから、
「VA/VB盤は良質なシェラックで理想的なプレスがされており、安価でかつ入手も容易と狙い目です。ただ悪いことに、後日どうしても本物が欲しくなるのが唯一の欠点です。」
というコメントをいただきました。
その時は、何を言いうかこのおっさん、と思っていたのですが(大変、失礼)、このたび、図らずもその通りのことになってしまいました。
くやしいけれど、達見と言わざるを得ません。

何の話かというと、フランチェスコ・マルコーニ(1853-1916)のルクレツィア・ボルジアからDi pescatore ignobile「私は名もない漁師の息子だと」です。
このレコードは下のリストからわかるように、VB27として再プレスされており、これを入手して楽しんでいました。
ところが先日、某オークションでオリジナル盤がマルコーニにしては高くない値段で出ていたので、ダメもとで入札したところ、競争相手は現れずゲットしてしまったという次第です。
やはり邪心の無いところに神は微笑むようです。
これで、VB27は蓄音機用に回せます。

どんな曲かというと、こんな曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=hBZ2K5nAxo0
1907年の録音で、スタイルは全くの19世紀、ボクの大好きな“こねくり回した歌唱”です。素直じゃありません。
    

More
[PR]

by ibotarow | 2014-09-14 07:38 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2014年 02月 27日

ヴィクター・モーレルのAu temps du grand roi

d0090784_20405233.jpg

去年の暮、湘南SPレコード愛好会という奇人変人の集まり(会長の言)に入会しまして、この前の日曜日、大磯での例会に参加してきました。
そこでの内容は、またHPに掲載されるでしょうからここでは省略しますが、そのあとの新年会で、最近ブログの更新がないですね、と言われてしまいました。
ひと月一度の更新を目指しているのですが、なかなか守れず、2月もあっという間にあとわずかとなりましたので、簡単な記事でお茶を濁します。

さて先日、表記のレコードを入手しました。最近はLPレコードにうつつを抜かしているので、久々のSPレコードです。
年末のオークションで入札したものの、結果のお知らせが来ないので、てっきりダメだったと思い、せめて落札価格を教えてもらおうとメールを出したら、とっくに請求書を送ったというのです。 ここはいつも郵便でお知らせが来るのですが、こういうこともあるのですね。もちろんすぐに送金しました。そしたら先方が住所を間違って太平洋を3回渡ったようですが、最近やっと到着しました。

ヴィクター・モーレル(1848-1923)はボクの一番好きなバリトンで、過去何回か書きましたが、ディスコグラフィーはまだ載せていなかったので、この機会に作ることにしました。
モーレルのディスコグラフィーは簡単で、1903年パリ録音のG&Tが7面、1904年11月ミラノ録音のフォノティピアが6面、1907年1月ロンドン録音のフォノティピアが3面、これが発売されたすべてです。
ほかに未発売フォノティピア盤が少なくとも5面あります[1]。もっとあるかもしれません。
回転数はMarston[2]に拠ります。

                            Victor Maurel Discography

G&T
1903, Paris, 70.5 rpm
[1626F] 2-32815 Chanson du printemps (Gounod)
[1627F] 2-32809 IPHIGÉNIE EN TAURIDE: Le ciel par d'éclatants miracles... De noirs pressentiments (Gluck)
[1628F] 2-32810 Marquise (Massenet)
[1629F] 2-32811 L'Heure exquise (Hahn)
[1630F] 2-32812 Le rondel de l'adieu (De Lara)
[1631F] 2-32813 Fédia (D'Erlanger)
[1632F] 2-32814 OTELLO: Era la notte (Verdi) IRCC 193(rr)

FONOTIPIA
October 1904
, Milano
[XPh 55] UNP NOZZE DI FIGARO: Crudel, perchè finora (Mozart) w. Maria Barrientos

November 1904, Milano, 83 rpm
[XPh 58-3] 39042 OTELLO: Era la notte (Verdi) PO 18, IRCC 4
[XPh 63] UNP FALSTAFF: I/1 [or III/1 ?] (Verdi)
[XPh 64] UNP Dormi pure - Serenata (Salvatore Scuderi)
[XPh 65] 39032 Marechiare (Tosti; words by Di Giacomo)
[XPh 66] 39041 DON GIOVANNI: Deh! vieni alla finestra (Mozart) PO 18, IRCC 9
[XPh 67] 39246 Le rondel de l'adieu (De Lara) X39246, IRCC U
[XPh 68-2] 39245 Mandolinata (Paladilhe) X39245, IRCC U
[XPh 69-2] 39247 Ninon (Tosti) PO 2, IRCC 9 (初めが79.5 rpmで終わりが83 rpm)
[XPh 72] UNP ÉTOILE DU NORD: O jours heureux de joie et de misère (Meyerbeer)

September 1905, Milano
[XPh 330] UNP RIGOLETTO: ? (Verdi)

January 1907, London, 76 rpm
[XPh 2332] 62016 FALSTAFF: Quand'ero paggio (Verdi) PO 2, IRCC 4
[XPh 2333] 62018 A year ago (D'Hardelot) IRCC E, x62018
[XPh 2334] 62017 Au temps du grand roi (Tosti) HRS 1024


G&Tは未だかつて見たことがありません。フォノティピアは1930年代の再プレスや、1960年代?のビニールプレスが出回っていて、ボクはもっぱらこちらを愛聴しています。
前にも書きましたが、ハロルド・ウエイン[3]に言わせると「あれはオリジナルとは違うものだ。」と憎たらしいことを言っているのですが、再プレスの方が傷みが少なく音が良いのです。と負け惜しみを言っておこう。

今回入手したAu temps du grand roi「偉大な王の時代に」も、HRS (Historic Record Society)の再プレスですが、すばらしいコンディションでした。
Youtubeの記事によると、これは1904年にトスティ(1846-1916)がモーレルのために書いた曲だそうです。
歌詞は、

Marquise, au temps du grand Roi,
Quand nous dansions la gavotte,
Ah! marquise, sur ma foi,
Vous n'étiez point si dévote!
Quand nous dansion la gavotte,
Ah! marquise,
Ah! marquise,
Vous n'étiez point si dévote!

Sous votre œillade,
Main cœur malade
Languissait d'un subtil tourment,
Et, sans mot dire,
D'un seul sourire
Vous en contiez étrangement!
Ah! marquise,
Ah! marquise!

Ce fut, s'il vous en souvient,
Après la guerre de Flandre:
Votre pied toucha le mien,
Votre voix soudain fut tendre...

Hélas! ces grands yeux nuancés,
Dont je sus tout le mystère,
Vos yeux, à présent baissés,
Ne cherchent plus que la terre!
Vos yeux, à présent baissés,
Ah! marquise...
Ah! marquise,
Ne cherchent plus que la terre!

Taille divine,
Blanche main fine,
Gorge de lys et cheveux d'or!
Beautés passées
Tant caressées,
Je vous vois, je vous vois encore!
Ah! marquise...
Ah! marquise!

Le temps n'est plus du grand Roi,
Quand nous dansions la gavotte...
Allons, allons, c'est la loi,
Marquise, soyez dévote!
Oh! marquise soyez dévote!
Oh! marquise soyez dévote!

レコードは、後ろの方がだいぶカットされているようですが、
フランス語のわかる方、訳を教えていただければ幸甚です。


References
[1] The Truesound Online Discography Project ODEON (incl. FONOTIPIA)
[2] The Complete Adelina Patti and Victor Maurel, Marston 52011-2
[3] The HAROLD WAYNE Collection - Volume 15, SYMPOSIUM 1128
[PR]

by ibotarow | 2014-02-27 20:55 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2011年 10月 22日

モーリス・ルノーの新旧パテ盤

d0090784_8475724.jpg

フレンチ・バリトンのモーリス・ルノー(1862-1933)は、ヴィクター・モーレルに次いでボクの好きなバリトンです。何よりも、その思索的なところがいい。
ディスコグラフィーを、マーストンの復刻CD[1]を基にして、7面のパテをmr.hmvさんからお借りしたGirard & Barnes[2]で補完して作りました。

パテのラッパ吹き込みは、ご存知のように、マスター・シリンダーと称する、高速で回転する直径5インチの巨大シリンダーに吹き込み、それをいろんなサイズのシリンダーなりディスクに、パンタグラフと呼ばれる装置で転写して発売しています。

パテは下記の4種類のシリンダー・レコードを商品化していました。
"Courante" or Standard size records, 2¼ inches in diameter by 4 inches long.
"Inter" or "Salon" records, 3½ inches in diameter by 4 inches long.
"Stentor" or "Concert" records, 5 inches in diameter by 4 inches long.
"Le Céleste" records, 5 inches in diameter by 9 inches long.

YouTubeにCélesteシリンダーの動画があります。大きいですね。
マスター・シリンダーは、[3]所収の写真を見ると、Célesteをさらに長くした円筒であったようです。
[2]によると、そこには8曲がバンドごとに分けて録音されたそうです。

下のリストによると、ルノー・パテは1903年の録音ですが、ディスクはセンタースタート、90 rpmのエッチングラベル盤がまず発売されました。
後に1910年代半ばになって、リムスタート、80 rpmの紙ラベル盤が発売されました。

元の音源は同じですが、転写時期によって、どれくらい音に違いがあるのか気になるところです。
それで、カルメンのAir du toréador「闘牛士の歌」で、エッチングラベル盤と紙ラベル盤を比べてみました。

普通に考えると、古い転写の方が、マスターシリンダーが摩滅していないでしょうから、鮮明な音が得られるだろうと思ったのですが、エッチングラベル盤のほうが低音部はしっかりしているものの 、紙ラベル盤の方が、ワイドレンジで、つやのある音です。
裏面のファウストの劫罰からVoici des roses「こよい花ひらく」も同様でした。

10年間のパンタグラフ技術改良の成果でしょうか?あるいは単に転写技術者の腕の差でしょうか?
いずれにしても、マスター・シリンダーのもつクオリティの高さが窺えます。
マスター・シリンダーから直接再生できたら、素晴らしい復刻CDができると思うのですが、残っていないのでしょうか?

マーストンのパテ・オペラシリーズの復刻では、当時は品質管理の考え方がなかったため、スタンパーによって転写の出来に差があるので、複数のセットを用意し、最良の結果が得られる盤を選んで復刻したと書いています。
マスターシリンダーがあればこのような苦労をしなくてすんだのでしょうが、 マーストンの力をもってしても探し出せなかったのですから、やはり残っていないようですね。



            Maurice Renaud Discography

Black label G&T (Converted to Red label in 1902)
1901, Paris (with piano accompaniment)
[711G] 32076 LA FAVORITE: Léonor, viens (Donizetti)
[712G] 32077 LA DAMNATION DE FAUST: Voici des roses (Berlioz)
[713G] 32078 TANNHÄUSER: Jadis quand tu luttas {Als du im kühnen Sange} (Wagner)
[714G] 32079GUILLAUME TELL: Sois immobile (Rossini)
[715G] 32080Le Rondel de l'adieu (De Lara)
[716G] 32081 LE ROI DE LAHORE: Promesse de mon avenir (Massenet)
[717G] 32082 Le Soir ("Doux reflet d'un globe de flamme") (Gounod)
[718G] 32083 LA FAVORITE: Pour tant d'amour (Donizetti)
[719G] 32084 HAMLET: Je n'ai rien oublié...Comme une pâle fleur (Thomas)

Red label G&T
1902, London (with piano accompaniment)
[2111FG] 2-2705 CARMEN: Votre toast je peux vous le rendre (Bizet)
[2112FG] 2-2713 LA DAMNATION DE FAUST: Maintenant, chantons à cette belle...Devant le maison (Berlioz)
[2113FG] 2-2702 TANNHÄUSER: O douce étoile {O du mein holder Abendstern} (Wagner)
[2114nB] 2-2703 Le Chemin du ciel ("Dans la nuit aux sombres voiles") (Holmès)
[2116FG] 2-2704 Noël païen (Massenet)

Pathé Cylinders & Discs
1903, Paris (with piano accompaniment)
[3381] 0037 CARMEN: Air du toréador (Bizet)
[3382] 0189 LE ROI DE LAHORE: Promesse de mon avenir (Massenet) 0475
[3383] 0037 LA DAMNATION DE FAUST: Voici des roses (Berlioz) 0475
[3384] 0038 Le Soir (Gounod)
[3385] 0038 LA FAVORITE: Viens Léonore (Donizatti)
[3386]    SIGURD: Et toi, Fréïa (Reyer) CR
[3387] 0189 TANNHÄUSER: Romance de l'étoile (Wagner)

Red label G&T
1906, Paris (with orchestra accompaniment)
[5715p] 032039 DER FLIEGENDE HOLLÄNDER: Du temps passé {Die Frist ist um} (Wagner)
[5716o] 3-32669 Le Rondel de l'adieu (De Lara)
[5717o] 3-32673 Le Chemin du ciel ("A l'heure où la brise tremble") (Holmès)
[5718p] 032040 L'AFRICAINE: Fille des rois (Meyerbeer)
[5727o] 3-32670 LA DAMNATION DE FAUST: Vrai dieu, Messieurs...Une puce gentille (Berlioz)
[5728p] 032041 LA DAMNATION DE FAUST: Voici des roses (Berlioz)
[5729p] 032042 LA FAVORITE: Pour tant d'amour (Donizetti)
[5730o] 3-32674 HAMLET: Comme une pâle fleur (Thomas)
[5731o] 3-32671 GUILLAUME TELL: Sois immobile (Rossini)
[5735o] 3-32675 TANNHÄUSER: O douce étoile {O du mein holder Abendstern} (Wagner) 91067
[5736p] 032043 LA FAVORITE: Léonor, viens (Donizetti)
[5778p] 032044 CARMEN: Votre toast je peux vous le rendre (Bizet)
[5779p] 032045 LE ROI DE LAHORE: Promesse de mon avenir (Massenet)
[5780o] 3-32672 Le Soir ("Le Soir ramène la silence") (Gounod)
[5786o] 3-32676 Noël païen (Massenet)
[5801p] 032046 Plaisir d'amour (Martini)
[5802p] 032047 HÉRODIADE: Vision fugitive (Massenet)
[6113p] 032051 DON GIOVANNI: Parais à ta fenêtre & Tu ch'hai la bocca dolce (Mozart)
[6116o] 3-32681 LA DAMNATION DE FAUST: Maintenant, chantons à cette belle...Devant le maison (Berlioz)

Black label Gramophone
1908, Paris (with orchestra accompaniment, conducted by Alfred Fock)
[863i] 032091 HÉRODIADE: Vision fugitive (Massenet)
[864i] 032092 LA FAVORITE: Pour tant d'amour (Donizetti)
[865i] 032093 TANNHÄUSER: O douce étoile {O du mein holder Abendstern} (Wagner)
[870i] 032094 LA DAMNATION DE FAUST: Voici des roses (Berlioz)
[871i] 032095 LA FAVORITE: Léonor, viens (Donizetti)
[872i] 032096 HAMLET: Comme une pâle fleur (Thomas)
[873i] 032099 GUILLAUME TELL: Sois immobile (Rossini)
[874i] 032098 LE ROI DE LAHORE: Promesse de mon avenir (Massenet)
[875i] 032092X LA FAVORITE: Pour tant d'amour (Donizetti)
[876i] 032100 LA DAMNATION DE FAUST: Devant la maison (Berlioz)
[877i] 032097 DON GIOVANNI: Parais à ta fenêtre & Tu ch'hai la bocca dolce (Mozart)
[878i] 032091X HÉRODIADE: Vision fugitive (Massenet)

References
[1] Maurice Renaud: The Complete Gramophone Recordings 1901-1908, Marston
[2] V. Girard and H. M. Barnes, "Vertial-cut Cylinders and Discs", British Institute of Recorded Sound (1964)
[3] 加藤玄生, "蓄音機の時代", (ショパン, 東京, 2006)
d0090784_8482595.jpg

[PR]

by ibotarow | 2011-10-22 09:10 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(11)
2011年 05月 28日

フェルナンド・デ・ルチアのPhonotypeその2

その1から続く。

More
[PR]

by ibotarow | 2011-05-28 06:49 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2011年 05月 28日

フェルナンド・デ・ルチアのPhonotypeその1

d0090784_5445197.jpg

3月11日の震災時、突然の停電でPCがトラブって以来、行方不明になっていた、
というかあるのも忘れていた、作りかけの標記のディスコグラフィーのファイルが
5月の連休前に出てきました。

出てきたファイルの日付を見ると1月21日でした。
この頃はやる気があったんですね。
その後、年度末で忙しくなって、うっちゃってるうちに地震が来て、
そんなものを作っていることさえも忘れ去っていました。

まるで建設途中のデス・スターのように、ところどころ歯抜けになっていましたが、
連休中からシコシコと入力し、最近ようやく完成しました。
一挙掲載は字数オーバーで無理なので2回に分けます。

参照した資料は、RC誌[1]とTruesound Transfersの復刻CDのリスト[2]です。
カタログ・ナンバーはマトリクス・ナンバーと同じなので省略しました。
プリフィックスCは27cm、Mは30cm盤を表します。
「リゴレット」と「セビリアの理髪師」全曲録音には、デ・ルチアの歌っていない盤もありますが、
それらは含めていません。

写真は、1920年吹き込みのイデアーレのビニールプレスです。デ・ルチアこのとき60歳、還暦を迎え、
前回のデビュー盤とはうって変わって、落ち着いて端正に歌っています。
その分、あのむせかえるようなロマンティシズムは後退したかな?

More
[PR]

by ibotarow | 2011-05-28 06:45 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 05日

フランチスコ・ヴィニャスのローエングリン「はるかな国に」

d0090784_1117916.jpg

先日、フランチスコ・ヴィニャスのfonotipia両面盤、
74123 MEISTERSINGER: Dall’alba tinto (Morgenlich leuchtend) (Wagner)
74124 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner)
を引っぱり出して聴きました。

まずローエングリンをfonotipia標準だと思われる80rpmで聴いたあと、 マイスタージンガーを同じ回転数でかけると、やけに甲高い声なので、 どんどん回転数を落としていったのですが、70rpmでもまだ高い気がしたので、 マーストンの復刻CD[1]と聴きくらべると、なんと、 65rpmぐらいでやっと合いました。
こんな遅い回転数のfonotipiaは初めてです。しかも裏表でこんなに回転数が違うのも初めてです。

しかしもっと驚くことは、このレコード、ローエングリンのレーベル径は 65mmしかありません。マーストンの収録時間で言うと4分40秒です。 これを通常の回数で12インチ片面に入れようとすると、レーベルを小さくするかしかなかったのでしょう。

ローエングリンはヴィニャスの当たり役だったようで、とくにIn fernem Land「はるかな国に」は何べんも吹き込んでいます。そこで、この機会にディスコグラフィーをまとめて、じっくり眺めてみることにしました。
フランチスコ・ヴィニャスは、1903年にG&Tに8面、1905年から1913年にかけて、フォノティピアに100面余りを吹き込みました。
ディスコグラフィーは、マーストンの復刻CDのリストをもとに、未発売盤、別テイク盤をmr.hmvさんにいただいたRC誌のディスコグラフィー[2]で補填しました。

さてローエングリンの「はるかな国に」を抜き出すと、
October 1903 
[Con 531R] 052002 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner)
29 September 1906
[XXPh 2093] 74019 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner)
[XXPh 2093] 74019 do
11 November 1908
[XXPh 3620] 74124 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner)
16 November 1908
[XXPh 3647] 74124 LOHENGRIN: Da voi lontan (In fernem Land) (Wagner)
5面あります。すべて12インチ盤です。
このうちG&Tは短縮版で演奏時間が短く、約3分です。

74124は、1908年11月11日と16日の2種類あります。
写真のレコードがどちらなのか、マトリクスの刻印がレーベルの下に隠れていてわからないのですが、16日には、74123も吹き込まれています。
同じ日のセッションで、回転数があんなに違うということは考えにくいので、11日のXXPh 3620と考えるのが妥当だと思われます。
16日のXXPh 3647であれば、65rpmで吹き込まれたと思われるので、レーベル径も通常の大きさのものが使えたかもしれません。これも市販されたようなので一度見てみたいものです。

それはともかく、ヴィニャスの魅力は何と言っても清澄かつ明晰な発声法で、隅々まで陽光が当たって一点の翳りもなく、あたり一面が光り輝いているような美しい歌唱です。
ヴィニャスが歌うと、深刻ぶった、おどろおどろしい表現を強いられる(と今まで思っていた)ワーグナーも、すべてが白日のもとに曝されて顕わになってしまうような、あっけらかんとした歌い方ですが、これはこれで痛快です(笑)。

フランチスコ・ヴィニャス(1863-1933)は、伝説のテノール、ジュリアン・ガヤレ(1844-1890)から、フェルナンド・ヴァレロ(1854-1914)へと続くスパニッシュ・テノールの系譜に連なりますが、残念ながら現在では絶滅した歌い方です。
でも、当時は非常に高い評価を受けていたようです[3]。
“His renderings of Lohengrin were considered unsurpassable and the mythic name of Julian Gayarre was often evoked.”

More
[PR]

by ibotarow | 2011-02-05 12:41 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(2)