いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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カテゴリ:ピアノ_ラッパ吹き込み( 5 )


2008年 05月 18日

復刻CD新時代の予感

d0090784_959365.jpg皆さんご存知のように、1902年から1904年にかけてのフランスG&Tのレコードは、ひどいワウ・フラッターで、音が揺れます。
特にピアノは聴くに堪えないものがありました。
ところが最近、マーストンから出た、
Legendary Piano Recordings
The Complete Grieg, Saint-Saëns, Pugno, and Diémer
 Producers: Donald Manildi and Ward Marston
 Audio Conservation: Ward Marston
 Audio Assistance: J. Richard Harris
 Digital Pitch Stabilization: Dimitrios Antsos
では、この問題がデジタル処理により、痕跡は残っているものの、かなり改善されています。
早いパッセージではまだ多少揺れが感じられますが、長い音、特に単音は気にならない程度に補正されています。

それにも増してボクが驚いたのは、音質自体もかなりいじられていて、ラッパ吹き込み特有のカマボコ型の周波数特性が、できるだけフラットになるように修正されているようで、とてもラッパ吹き込みのピアノとは思えない音に仕上げられていることです。
特にサンサーンスの1904年の録音は、低弦がガツーンと鳴る力強いアタックが見事に再現されています。

しかも現代のスピーカーで聴いたときに、良く聴こえるように作られているらしく、現代の録音だといっても通用するかもしれません。
とにかく、ラッパ吹き込み盤を普通に再生したら、こんな音はとても出ません。

ボクのオリジナルSP盤至上主義もちょっと揺らいできました。
でも唯一もっているグリークのビニール盤と聴き比べると、音が盛大に揺れるのを別にすると、音の純度はビニール盤の方が高いと思います。
もっともボクの再生装置はできるだけ蓄音機の音に近くなるように調整してきたので、このCDをかけるとかえってバランスが悪くなるのですが。
今後、こういう復刻CDが増えていくのでしょうね、いいこと、かな?

なお、他人のふんどしで相撲を取るとはまさにこのことですが、この音源はcredenzaさんからいただいたことを付記して感謝の意を表します。
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by ibotarow | 2008-05-18 14:28 | ピアノ_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(2)
2008年 03月 08日

バックハウスの旧吹き込み(第1次大戦前)

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Wilhelm Backhaus (1884-1969)の最初の録音セッションは、前報ラ・カンパネラにも述べたように、1908年9月29日と、同年10月19日の2回に分けてロンドンで行われた。1回目は6面中2面発売、2回目は7面中6面発売である。ちなみにラ・カンパネラは、テイク3でようやくOKになった。このときバックハウス24歳、録音技師は、Fred Gaisbergの弟の、Will Gaisbergであった。

その後、どのような吹き込みが行われたのであろうかと、第1次大戦前のGramophoneへの吹込みを、ケリーのディスコグラフィーCD-ROM版[1]から抜粋した。実に夥しい数の録音があるが、実際に発売されたものはそんなに多くない。1909年7面、1910年1面、1911年4面、1913年4面で、1908年の8面を入れると、計24面である。
リスト中、右端の回転数は「珍品レコード」の巻末リストによる。

数年前に蓄音機を入手した頃は、旧吹き込みのピアノのレコードを聴くと、おもちゃのピアノにしか聴こえなくて、それ以来ピアノは敬遠していたが、近頃は不思議なことに、フツーのピアノの音に聴こえるようになってきた。これは旧吹き込みレコードばかり聴いていて、耳が馴致されてきた結果であろうか。

ということもあって、最近、1908年の幻想即興曲を入手した。ちょうど100年前の録音であるが、演奏スタイルは現代的で、古臭い感じは全然しない。そこが面白くないといえば面白くないが、ふやけたところの微塵も無い、剛毅なショパンである。

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by ibotarow | 2008-03-08 09:23 | ピアノ_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(2)
2007年 01月 08日

グリークの自作自演盤

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承前、ヨアヒムの裏面は、グリーク(1843-1907)の「ノルウェーの結婚行進曲」でした。

ピアノはほとんど聴かないので、グリークの資料も「珍品レコード」の記述くらいしかありません。
あらえびすのグリーク紹介文の冒頭には、
「グリークの弾いたピアノ・レコードは、自作自演レコードの中の珍品第一位に置かる可きもので、ブラームスのレコードが発見されない限り、この王座は何んの不安もなく続くことであらう。」
と書かれています。へぇー、そういうもんですか。
そういえば数年前、某オークションで、1インチのヘア・クラック入りの上のレコードがMB$2500で出ていて驚嘆したおぼえがあります。

巻末のレコードリストには次の9面があげられていました。

35509 Papillons (Grieg)
35510 Au Printemps (Grieg)
35511 Souvenirs (Grieg)
35512 Part of Finale of Sonata (Grieg)
35513 Tanger (Grieg)
35514 Menuet from Sonata (Grieg)
35515 Wedding Day of Troldhaugen (Grieg)
35516 Humoreske (Grieg)
35517 Norwegian Wedding March (Grieg)

さて件のレコードを聴いてみました。悪名高き1903年のG&Tパリ録音だけあって、盛大に揺れます。でも音のバランスは悪くありません。
この曲、どこかで聴いたことあるな、と思っていたら、バックハウスのラ・カンパネラの裏面に入っていることにやっと気づきました。
ひっぱり出して聴いてみると、録音年は近い(1903年と1908年)ものの、年齢の差(60歳と24歳)は覆うべくもなく、若きバックハウスは迫力があります。でもグリークの華やいだ雰囲気もいいですねえ。

なお、オークションのBサイドの説明は、
The B side has damage, looks like the outer inch of grooves was constantly rubbed on something while it was playing, it is all rubbed down, no more grooves in the outer inch or inch and a half or so.
で、これを読んだとき、蓄音機でかけたために溝をつぶしてしまったのかと思いましたが、現物を見ると何のことは無い、10インチのレコードを12インチにプレスしたために、1インチ分の溝の無い部分が出来たというだけのことでした。
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by ibotarow | 2007-01-08 13:42 | ピアノ_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2006年 11月 18日

バックハウスのラ・カンパネラ

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昨日、出張の帰り横浜の新声堂へ寄ったら、新譜コーナーに[1]で紹介されていたCD (The Piano G&Ts Vol. 4, APR 5534) が並んでいたので、早速購入。考えてみればピアノの復刻CDを買ったのは初めてである。

解説によると、バックハウスの初めての吹き込みは24歳、1908年で、下記の2セッションあったらしい。全部で13面吹き込んで、8面が発売された。

London 29 September 1908 (William Gaisberg)
2596f 05504 Rachmaninov Prelude
2597f Liszt La Campanella
2598f Liszt Libestraume 3
2599f Rachmaninov Prelude
2600f Liszt La Campanella
2601f 05505 List Liebestraume 3

London 19 October 1908 (William Gaisberg)
2649f 05509 Handel Harmonious Blacksmith
2650f 05508 Chopin Prelude Op. 28 No. 1 & Etude Op. 10 No. 1
2651f 05506 Grieg Norwegian Bridal Procession
2652f Chopin Berceuse Op. 57
2653f 05510 Weber Perpetuum mobile
2654f 05511 Chopin Impromptu
2655f 05507 Liszt La Campanella

写真は、2655fのラ・カンパネラである。両面のフランス盤で裏面は2651fのグリーグ。G&Tは1907年にタイプライターの製造を中止しているので、盤面にはTypewriterの文字は無い。
後年の苦虫を噛み潰したような「鍵盤の哲人」からは想像もつかないような、「鍵盤の獅子王」の異名にふさわしい絢爛たる演奏である。たしかに、鍵盤の上で跳ね回っているのは、猫じゃなくて、もっと重量感のあるライオンを彷彿とさせる。

[1] http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=11194187&comm_id=1097377
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by ibotarow | 2006-11-18 10:37 | ピアノ_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2006年 08月 19日

こんなレコードがっ! クライスラー篇

だれかさんのタイトルをパクらせていただきましたが、まずはこれをご覧下さい。
http://cgi.ebay.com/ws/eBayISAPI.dll?ViewItem&ih=007&item=170019865954&rd=1&sspagename=STRK%3AMEWA%3AIT&rd=1
これを見たとき、おお、クライスラーとラフマニノフの共演は、ソナタ3曲だけかと思っていたが、こんな小品も録音していたのか、これはぜひ入手しなくちゃ、と思いました。

DA768というと10インチ盤で、この番号からいくとラッパ吹き込みと電気吹き込みの間くらいかなあと、うちにある乏しい資料をひっくり返して調べましたが、クライスラーがそんなレコードを録音している様子はありません。

ひょっとして、ピアノはカール・ラムソンで、それが何かの間違いでラフマニノフと印刷されたのだろうか?それならとんでもない珍品かも、とこの時点でもまだクライスラーの弾いた「愛の喜び」だと思い込んでいたのです。

もう一度、上の写真を見たとき、隅に小さくPianoforte soloと書いてあるのに気が付きました・・・・そう、そういうことだったんです。説明文にもクライスラーが弾いたとはどこにも書いてありません。どうも、年とともに思い込みが激しくなってきているようです。お粗末の一席でした。

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by ibotarow | 2006-08-19 13:42 | ピアノ_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)