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2017年 04月 30日

SPレコードのデジタル化その2 エドワルド・ド・レスケ

2回目は、Edouard de Reszke (1853 – 1917) の2枚です。

Grand Opera Disc Record, 1903, New York
1221 [1221-2] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)

IRCC-Columbia,
28-A [W170727] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)
28-B [W170728] Marta: Canzone del Porter (Flotow)

まずエルナーニですが、DAHR[1]によると次の4種があります。

ca. 1903 New York, take 1, Master, Columbia 1221, 10-in., Announced.
ca. 1903-1904 New York, take 2, Master, Columbia 1221, 10-in., Announced.
ca. 1903-1904 New York, take 2, Maste,r Columbia A617, 10-in., Announced.
ca. 1903-1908 New York, take Unknown, Master, International Record Collectors' Club 28 10-in. From dub W170727-1, made on 12/9/1933.

1番目と2番目がオリジナルで2テイクあり、3番目はテイク2の再発売、4番目はIRCCのダビング盤でこれもテイク2のようです。

さて回転数ですが、RC誌の"Columbia Grand Opera Records of 1903"[2]を読んでみました。

このシリーズは、1903年の春に新大陸で初めて発売された有名歌手のレコードで、32タイトルありますが、2あるいは3テイクを持つものもあるので、全部で50面あって、そのうち45面が発売されたようです。
ピアノ伴奏は、 Charles Adams Prince (1867-1937)です。
レーベルは数種類の変遷があるようですが、煩雑なので省略します。

マトリクスの表記は、
マトリクス番号-テイク番号-スタンパー記号(アルファベット順)
です。エルナーニの盤面を見てみると、
1221-2-E
でしたので、テイク2、5番目のスタンパーでした。
ちなみに、一つのスタンパ―から平均500枚のレコードがプレスされたそうです。

1933年にIRCCがド・レスケ2面を再プレスしようとした時は、すでに工場にスタンパーが存在せず、やむを得ずダビングしたとのことです。

肝心の再生スピードですが、残念ながら、この記事には一言も記述はありませんでした。

Wittenさんは有名なYale大学の35,000枚を誇るコレクションの創設者ですが、本職は古書店主だそうです。
骨董品としての興味はあるけど、音楽再生のための回転数には興味がないのですかね?

それで、やむを得ず復刻CD[3]に合わせることにしました。
その結果、エルナーニ(テイク2)の回転数は、
78 rpm
となりました。
これは本当でしょうか?あるいは何も考えず78 rpmで再生したということはないでしょうか?

この回転数の真偽に関して、The Talking Macine Forum[4]を見ると、このCDセットは、1963年に出たLP2枚組セットのCD版のようで、ピッチに関しては、
"the CD set was full of pitching errors."
"The Suzanne Adams, the Campanari sides in particular are transferred incredibly fast"
と、評判は良くありません。特に「信じられないほど高速で復刻されている」と書いています。
これが正しいとすると、本当の回転数は78 rpmよりもっと遅い可能性が考えられます。

そこで、mr.hmvさんにRC誌のエドワルド・ド・レスケの記事[5]を探してもらい、具体的な数値はわかりませんでしたが、
"It is important that they be played below 78."
の記述を得ました。
やはり78 rpmは速すぎるようです。

IRCCの復刻盤は、予想通り、エルナーニ、マルタとも78 rpmでした。
また、他の復刻CD[6]に、
Marta: Chi Mi Dirà (Flotow)
を見つけましたので、さっそく聴いてみましたが、これも78 rpm再生のようです。

回転数は、本来は楽譜を用意して、チューニングメーターでkeyのピッチを調べるのでしょうが、そもそも1903年のニューヨークのコロンビアスタジオのピアノがA=440Hzに調律されていたかどうかの保証はないので、結局わからないと思います。
それに、例えば、A=440 HzとA=435 Hzの差は、回転数でいうと、78 rpmと77 rpmの差ですので、ボクの駄耳では検出不可能です。 ちなみに、435 Hzはマーストンが20世紀初めのレコーディングスタジオのピッチだと紹介していました[7]。

ソフト上でピッチを可変できる時代になりましたから、わからない時は、とりあえず78 rpmでデジタル化しておくのが良さそうです。
という訳で、とりあえずの音源を下記にアップしました。

Grand Opera Disc Record, 1903, New York
1221 [1221-2] Ernani: Infelice e tu credevi (Verdi)
http://ibotarow.exblog.jp/10671551/

IRCC-Columbia
28-B [W170728] Marta: Canzone del Porter (Flotow)
http://ibotarow.exblog.jp/12527936/

いずれも写真をクリックすれば音が出るはずです。


References
[1] http://adp.library.ucsb.edu/index.php/matrix/detail/2000137570/1221-Infelice_e_tuo_credevi
[2] Jerrold N. Moore and Laurence C. Witten II, "Columbia Grand Opera Records of 1903", The Record Collector, Vol. 15, Nos. 3 & 4, 51-71
[3] The 1903 Grand Opera Series, Sony Classics 62334 (1996)
[4] http://forum.talkingmachine.info/viewtopic.php?f=2&t=6548&start=10
[5] James Dennis, "Édouard de Reszke", The Record Collector, Vol. 6, No. 5, 105
[6] The Golden Age of Singing, Vol. 1 1900-1910, Nimbus NI7050/1 (2000)
[7] The Complete Adelina Patti and Victor Maurel, Marston 52011-2 (1998)


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by ibotarow | 2017-04-30 07:02 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 23日

SPレコードのデジタル化その1 イレーネ・アーベントロート

このたび縁あって、さる先達にSPレコードを何枚か引き取っていただけることになりました。
ありがたいことです。これで地震、火事はもとよりカビの心配をしなくて済みます。
お渡しする前に、記念に音をデジタル化して残しておくことにしました。

最初、皆さんがあまり使われないような時代物プレーヤで再生しようと考え、デッカXMS+コラーロAC47を試してみました。
このカートリッジは、今ではセクハラだと言われそうな表現ですが「シコメの深情け」のように、演奏者の表情をえぐり出す点において、他の追随を許しません。
さっそくこれで試聴してみましたが、針圧24gでもトレースし切れなくて歪む箇所があります。
そこで、現代国産品のデノンDL102SP+コスモテクノDJ3500で同じレコードを再生してみると、針圧15gで歪みはなく、しかもデッカよりしっとりした音です。
でも、いささか没個性というかソツのない音ですが、これがかえって色付けのない複製になるのではと考え、こちらに決めました。


AD変換はコルグDS-DAC-10Rでphono入力、イコライザoff、録音フォーマットはDSD5.6MHzです。


最初にデジタル化するレコードは、Irene Abendroth (1871-1932)の2枚です。
G&T 1902 Dresden
43245 [(o)768½x-N1-2z] Mignon: Arie der Philine (Thomas)
43250 [(o)795x-N1-2z] Barbier von Sevilla: Arie der Rosina (Rossini)


回転数がわからなかったので、しかたなく復刻CD
“The Harold Wayne Collection Vol. 6”, SYMPOSIUM 1085 (1990)
に合わせることにしました。
その結果、
43245 75.0 rpm
43250 79.3 rpm
となりました。LEDタコメータで測ったので±0.2 rpm位のバラツキはあります。
さらに言えば、ボクの駄耳では1 rpm以下の差は判別できないので、小数点以下の数字は信用できません。
マトリクス番号が飛んでいるので、違う日の録音だと思われますが、2枚の回転数が大幅に異なります。
それにしても、79.3は1902年のG&Tにしては速すぎるような気がしますが、ハロルド・ウエインに敬意を表して、この値を採用することにしました。


しばらくやらないうちに、音源をアップロードする方法をすっかり忘れていましたが、なんとかDSDからMP3に変換した音源を下記にアップしました。

43245 [(o)768½x-N1-2z] Mignon: Arie der Philine (Thomas)
http://ibotarow.exblog.jp/4170592/

43250 [(o)795x-N1-2z] Barbier von Sevilla: Arie der Rosina (Rossini)
http://ibotarow.exblog.jp/10348842/

いずれも写真をクリックすれば音が出るはずです。


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by ibotarow | 2017-04-23 14:30 | 女声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)