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2019年 01月 27日

シャリアピンのディスコグラフィー その1(第1次大戦前)

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去年の暮近く、マーストンからシャリアピン(1873-1938)のCD全集[1]、d0090784_08142665.jpg
Feodor Chaliapin: The Complete Recordings 51301-2 (13 CDs)
が届いた。CD13枚もさることながら、解説書の厚みが半端ない。
10数年前、アルバイター[2]からシャリアピンの復刻CD全集をリリースするというアナウンスがあり、1枚ずつ出始めて何枚か買ったが、途中で沙汰止みになった。
それが、なぜマーストンに移ったかという経緯はマーストン自身の解説に詳しいが、アルバイターに音源を提供していたVladimir Gurvichの未亡人Helen Gurvichから音源と歌詞テキストおよびその翻訳を提供されて、全集を出す決心をしたようだ。

トラックリスト冒頭に位置する曲は、
1. Kak korol’ shyol na voynu (When the king went forth to war), Op. 7, No. 6 (Koenemann), (572x) 22820
である。
それにつけても思い出すのは、21世紀に入って間もなくの頃、大阪にディスクロンドというSPレコードのインターネットショップがあって、当時たいへんお世話になった。
そのカタログの中に、
フェオドール・シャリャピン(Bas) ケネマン:王が戦いに行くとき 10" SS 赤 G&T 22820 A- 350,000
があって、その高値に驚いたが、最近、ebay[3]で
78rpm FEODOR CHALIAPIN sings Koenemann Ballade - ULTRA RARE FLUSH G&T 1902
Price:US $1,499.00 (Approximately JPY 163,414)
を見つけた。
マーストンも解説の中で、
「同じ1902年のカルーソに比べて、シャリアピンの最初の8枚は、G&Tが原盤を破棄したため、2000ドルを超える価格で取引されている。」
と書いている。
ディスクロンドの値付けは、そうべらぼうではなかったんだと今になってわかった。閉店されてずいぶんになるが、店主のYさんはお元気であろうか?

こんなレコードはもちろん持っていないので、写真のレコードは1910年8月26日モスクワ録音の、
[2007c] HM 95 ASKOLDOVA MOGILA: V starinu zhivali dedy
        (ASKOLD’S TOMB: In olden days our forefathers lived) (Verstovsky)
で、ヒストリックマスターズから出たビニールプレスである。
ラッパ吹込みのビニールプレスは、シェラックプレスとは全く異なる、異様に生々しい音が得られる。これに嵌ると、蓄音機はもはや無用の長物となるのである。

この機会にシャリアピンのディスコグラフィーを作ろうと思った。
マーストンのトラックリストをコピペしてフォーマットを整えるだけという手抜き作業にいそしんだ結果、1日でだいたいの形はできた。
ただ、今までディスコグラフィーを作る時は、複数の資料を参照し校訂することにしているので、これをケリーのディスコグラフィー[4-8]と照合することにした。

そうすると、意外にもマーストンのリストに無い番号が次々と出てくる。
例えば、1902年の最初のセッションを見ると、マーストンには[576x]が無いが、ケリーには、
[576x] [22824] Razocharovanie, Op 65 No 2 (Chaikovsky) [see 623x]
があり、これは後に[623x]として再吹込みされた曲の元テイクであったことがわかる。

このように、マーストンのリストは現実に音源が存在するものだけなのに対し、ケリーの方はそれ以外のものも含まれているということであろう。

そこで、方針を変えて、ケリーの資料を基に、マーストンを参考にしながら作ることにした。
録音日に差異のある場合は、後年の資料の方が正確であろうと勝手に解釈してマーストンを採用した。
ただ、ケリーのマトリクス・シリーズはまだ全部はリリースされていなく、しかも手元にあるのはPhase 1の1920年くらいまでである。

それでやむなく、第1次大戦前の1914年までのディスコグラフィーを「その1」として作った。
ただし、1914年の
25 January & 4 April 1914, Saint Petersburg
の2つのセッションは、Pearsによる録音でケリーのMAT111に載る予定であるが、ケリーさんが亡くなった今、どうなることやら。消息をご存じの方、ぜひご教示を乞う次第である。
したがって1914年のリストはマーストンのデータのみに依拠する。
この次のセッションは、第1次大戦後の1921年まで無い。

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References
[1] https://www.marstonrecords.com/collections/frontpage/products/chaliapin
[2] http://arbiterrecords.org/catalog/the-chaliapin-edition-volume-1/
[3] https://www.ebay.com/itm/78rpm-FEODOR-CHALIAPIN-sings-Koenemann-Ballade-ULTRA-RARE-FLUSH-G-T-1902/252995002879
[4] ALAN KELLY, "Matrix Series Suffix h (early use suffix-x), Recorded by WILLIAM SINKLER DARBY (1901 to 1909)", MAT104 (November, 1994)
[5] ALAN KELLY, "Matrix Series Suffix-m, Recorded by Max Hampe (Hampe II)(1904 to 1920)", MAT105 (September, 1995)
[6] ALAN KELLY, "Matrix Series Suffix-c, Twelve Inch Wax Process Recordings made by F W Gaisberg et al (1903 to 1919)", MAT102 (October, 1995)
[7] ALAN KELLY, "Matrix Series Suffix i(y)/j, Recorded by WILLIAM SINKLER DARBY (1903 to 1909)", MAT104 (October, 2003)
[8] ALAN KELLY, "Matrix Series Suffix-e, Ten Inch Wax Process Recordings made by W C Gaisberg et al (1903 to 1921)", MAT103 (October, 1994)





# by ibotarow | 2019-01-27 08:37 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)