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2009年 11月 01日

キュルティのパテ縦振動盤

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先日、H.さんにイヴォンヌ・キュルティのパテ縦振動盤3枚を聴かせていただきました。
演奏は、いずれも実に可愛らしい、魅力的なものでした。
同日に、mr.hmvさんからお借りした文献[1]を見ると、キュルティ・パテは下記の13枚26面が載っています。

Pathe Paper-label Discs, Paris 1927-1928 (pf. acc. : Andolfi)

9720 [8326] Aubade d'amour (Monti)
     [8330] Reve de valse (Straus)
9721 [8331] Les millions d'arlequin (Drigo)
     [8333] Czardas (Monti)
9744      Thais: Meditation (Massenet)
    [8664] Nocturne in E-flat (Chopin)
9745      Apres un reve (Faure)
          Souvenir (Drdla)
9746      Chanson triste, Opus 40, No. 2 (Tchaikovsky)
          Berceuse, Opus 20 (Cui)
9747      Rose-Marie: Chant indian(Friml)
          Paganini: J'ai toujours cru qu'un baiser (Lehar)
9751      Serenata (Toselli)
          Berceuse (Faure)
9754      Chant hindou (Rimsky-Korsakov) d0090784_11131195.jpg
          Serenade (Rakhmaninov)
9755      Les bateliers de la Volga (Kreisler)
          Le cygne (Saint-Saens)
9756      Madrigale (simonetti)
          Berceuse (Renard)
9762 [8827-1] Romona (Wayne)
     [8828-2] Roses of Picardy (Haydn-Wood)
9768      Chanson a bercer (F. Schmitt)
          Les promis (Samuel-Rousseau)
9773      Serenade (Pierne)
          Chanson bohemienne (Boldi)

この中で、H.さんご所有の3枚は、マトリクス番号を調べてもらって書き入れました。
またピンボケ写真は、最近ebayで見かけたショパンのノクターン 9744 [8664]です。

1927,8年というと、すでに電気録音の時代ですが、音はラッパ吹き込みのようにレンジが狭く、電気録音らしい鮮明さがありません。

そこで、上記の文献[1]のイントロダクションの部分を読んでみました。

パテのレコードは3つの時期に大別すると、
1. Cylinders (& Discs) 1897-1906 ca
2. Etched-label Discs 1906-1916 (1906-1910 cylinder)
3. Paper-label Discs 1916-1932 (1926-1932 Vertical and lateral cut)
に分けられますが、今回は3の時期を重点的に読みました。

抄訳しますと、
-----------------------------------------------------------------
パテは1925年の後半でマスターシリンダー・システムをやめ、普通のレコード製作工程を採用した。
この時に、マスターシリンダー・ナンバーは廃止され、新たに200000から始まるマトリクス番号が1930年ごろの202500あたりまで途切れることなく続いた。
1931年ごろから、250000から始まる新たなシリーズが始まり、最後まで続いた。

縦振動の録音は1926年ごろから廃れ始めたが、パテはすべてのレコードを縦・横、両方の方式で発売し続けた。 しかしながら1931年から33年ごろになると、縦振動録音はほとんど見られなくなった。

1927年10月、パテは電気録音の声楽レコードを発売した。それは7100番台の"Art"レーベルである。オーケストラの録音は5500番台である。

電気録音かどうか確かめる唯一の方法は、盤面に"W"のマークがあるかどうかである。(訳注:ボクの拙い経験では、確かに電気録音だと思えるレコードでも、まだ見たことはありません。)
それは"Westinghouse system"を意味する。(訳注:Westinghouseが電気録音システムを開発したという話は聞いたことがないので、これはWestern Electric systemだと思います。)
それから、これは信頼性を確認するに十分な情報ではないが、マトリクス番号が201000以降のものは、電気録音と信じられている。

1931年ごろまでに、"Art"シリーズの声楽レコードは、7238まで続いた。その後、古いシリーズは、90000シリーズに置き換えられた。、

1934年、パテはパテ・マルコーニに組み込まれた。90000シリーズは廃止され、PA, PD, PG (10 inch)と PAT, PGT (12 inch)シリーズが始まり、これらはLP時代まで続いた。
-----------------------------------------------------------------

ということから判断すると、上のリストには1927-1928と書いてありますが、マトリクス番号が8000番台で200000番台ではないので、昔ながらのマスターシリンダー・システムによるラッパ吹き込みではないでしょうか。
それに、上の記述が正しいとすると、マスターシリンダー・システムは1925年後半までなので、キュルティの録音時期は、それ以前ということになりますが、傍証が必要です。(未完)

[1] http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page016.html
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by ibotarow | 2009-11-01 11:26 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(10)
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Commented by アノニマ at 2009-11-03 20:41 x
キュルティ、初めて知りましたが、お顔を拝見する限りキュートな印象ですね。
ところで、パテのレコードについては、Wikipedia英語版では次のように記述されていますね。
1920年:主にアメリカ市場のために横振動レコードを発売 
1925年:縦振動ディスクの輸出を断念、フランス国内では1932年まで継続 
1927年1月:電気録音に参入 
1928年12月:英コロンビアにより買収 
アメリカ・パテの資産はアメリカン・レコード・コーポレーションに売却 
どうやら、1920年~1926年は横振動(主に輸出用)と縦振動(国内の既存顧客用)の2方式が並存していたように読み取れるのでしょうが、実際はどうだったんでしょうね?
Commented by ibotarow at 2009-11-04 19:05
アノニマさん、こんばんは。

キュルティは演奏もキュートです。
モンティのチャルダッシュが下記サイトで聴けます。
http://www.mars.sannet.ne.jp/tetuo/CURTI.htm
これはたぶんコロムビアの電気録音だと思います。

Wikipedia英語版のご紹介ありがとうございました。
ほぼ文献1の記述と大筋は同じようです。
アメリカ向けの横振動盤は"Actuelle"シリーズですね。

パテは1926年ごろから、縦振動と横振動のレコードを同じカタログ番号で発売したようですが、横振動盤は前に"X"がついています。
だんだん横振動に移行していったようですね。
Commented by ロレー at 2009-11-29 00:49 x
 はじめまして、「イヴォンヌ・キュルティ」で検索し、いぼたろうさんのブログに辿り着きました。残念ながらSPはもちろん、LPさえも再生できる環境をもっていませんが、キュルティの復刻CDを探している者です。
 復刻CDで聴けるのはようやく12曲になりました。キュルティの録音は小品ばかり85曲くらいあるそうですが、全貌が分かりません。パテの13枚26面、これは私にはとても貴重な情報です!
 ご紹介されているショパンのノクターンは、季刊誌「クラシック・プレス」(現在休刊)の第13号付録CDで平林直哉氏により復刻されましたが、音を聴く限り、電気録音で音質もクリアです。
 今回、6曲試聴されたとのことですが、モンティのチャルダッシュ以外は私には未知のレパートリーです。ぜひ、演奏のご感想を伺いたいです!
(私が聴いたモンティのチャルダッシュ、これはグリーンドア音楽出版のCDでクリストファ・N・野澤氏が復刻したものですが、これも電気録音です。これとは別に、電気以前の旧録音もあるそうです。)
Commented by ibotarow at 2009-11-29 17:00
ロレーさん、初めまして。

クラシック・プレスの付録CDのショパンのノクターンを聴き直してみました。
次の天使のセレナードよりレンジは狭いものの、電気録音のように聞こえますね。
そうすると、ボクの仮説は崩れます。別に崩れたっていいんですが(笑)。

先日聴いたパテ6曲の中にはチャルダッシュも入っていて、それが最後に書かれている、
「これとは別に、電気以前の旧録音もあるそうです。」
のことだと思うのですが、そうするとラッパ吹き込みということになりますね。
演奏はいずれも上に書いたようにキュートです。とにかく可愛いのです。
オッサン的感想で恐縮ですが、蠱惑的な魅力がこぼれんばかりの演奏で、ただただ聴き惚れます。

キュルティのレコードは、クライトンのディスコペディアによると、
パテに74面、コロムビアに17面
あるようですが、パテは1928年にEnglish Columbiaに売却されましたので、重複するものもあるようです。
重複を除くと、お示しのように85曲になるのかもしれません。
Commented by ロレー at 2009-12-06 14:30 x
いぼたろうさん、ご返答ありがとうございました。(自宅にパソコンがないので時間が開いてしまって失礼しました)

キュルティのディスコグラフィはクライトンのディスコペディアに出ているのですか。探してみます!90曲前後も録音していた売れっ子(?)なのにほとんど復刻が進まず、経歴も不明とは実に不思議です。全部聴ける日は来るのかな~。

掲載されているキュルティの画像はパテのチラシ(ポスター?)でしょうか。以前、海外のサイトで同じもの(たぶん)を見ましたが、あまり鮮明な画像でなく、拡大しても表情が分かりませんでした。この画像は十分に鮮明で素晴らしいですね!感動しました。これは現物なのですか。
Commented by ibotarow at 2009-12-06 17:37
ロレーさん、

ディスコペディア、手近で閲覧できなければコピーをお送りしますので、非公開コメントでメールアドレスをお知らせください。

画像は、どこか忘れましたが海外のサイトから無断借用したものです。たぶんチラシかスリーブでしょうね。
そのうち抗議のコメントが来るかも。
Commented at 2009-12-13 16:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ロレー at 2009-12-19 13:45 x
いぼたろうさん、貴重な資料ありがとうございました。
宝の山のリストを手にして、感激のあまり目眩を覚えています。

キュルティの録音は現在、以下の12曲がCDに復刻されています(原盤の品番はCD記載によります)。

このうち、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」は3社から復刻されており、ただでさえ復刻が進まないのにまったく非効率です。各社でちゃんと打ち合わせをしてほしいと無理な注文もしたくなります(笑)

一方、シモネッティの「マドリガル」は2社から復刻されていて、原盤の品番【Columbia D19041】はCDの記載を信じるならば同一ですが、なんと別音源です。繰り返しの有無の違いがあり、演奏時間も異なります。別テイクでしょうか。録音の印象も相当違うので謎です。

また新たな情報がありましたら、お知らせいただけたらたいへんうれしいです。

ちゃんと年代順になっていますでしょうか?
Commented by ロレー at 2009-12-19 13:46 x
<CD復刻済み音源>
【Pathe X9744】ショパン/ノクターン変ホ長調
【Pathe X9745】フォーレ/夢のあとに
【Pathe X98078】ブラーガ/天使のセレナード
【Pathe X98079】ボッケリーニ(クライスラー編曲)/メヌエット
【Pathe X98079】ラフ/カヴァティーナ
【Pathe X98138】リムスキー・コルサコフ(クライスラー編曲)/「サトコ」~インドの歌
【Pathe X98138】フリムル/インドの歌
【Pathe PA283】フォーレ/子守歌
【Columbia D19041】モンティ/チャルダッシュ
【Columbia D19041】シモネッティ/マドリガル
【Columbia DFX82】ドビュッシー(チョイスネル編曲)/小組曲~「小舟にて」
【Columbia DFX82】ラヴェル(コハンスキ編曲)/亡き王女のためのパヴァーヌ
Commented by ibotarow at 2009-12-21 17:36
ロレーさん、

無事ご覧になれたようで安心しました。

シモネッティの「マドリガル」の音源の違い、興味深いですね。
原盤が片方がコロムビアでなく、上のリストにあるパテ9756だったら、話は簡単なのですが。
一つはグリーンドアの復刻だと思うのですが、もう一つはどこでしょうか?


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