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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2012年 04月 14日

縦振動MCカートリッジ

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ゴルフ院長の最新作です。 直径1mmほどの金色の短い円柱2本がそれより細い銀色の円柱で繋がれた構造で、盤面に垂直に置かれた円柱に被さるようにコイルが配されています。針の上下振動は細いロッドでコイルに伝えられます。
発電機構は最初、真ん中の銀色の円柱が磁石かと思いましたが、よく考えるとこれでは発電せず、金色の円柱が磁石で反発磁界を形成しているようです。つまり2本の磁石を同極同士向かい合わせに配置すると、磁界がまるでブラックホールの降着円盤のように薄く放射状に広がり、コイルがその円盤を上下に切るように振動すると発電する仕掛けです。

最初、なにも考えずにレコードに針を下ろしたところ、強烈なインサイドフォースで内側に流れます。もともとプレーヤ付属のバネ式?キャンセラーがあるのですが、め一杯にしても内側に流れるのです。そこで、tetrodeさんのマネをして錘式インサイドフォース・キャンセラーを付けてみました。
その結果、モーリス・ルノーのカルメン「闘牛士の歌」はすんなりかかるようになりました。
でもティボーのサンサーンス「ハバネラ」が難物で、これはSHUREも真ん中以降しかかからなかったものですが、外周の2割ほどが滑ってかかりません。これをかけるために、院長にお願いして、もっと針圧をかけられるように調整してもらうことにしました。重針圧で溝に押さえつけようというコンタンです。

しばらくして、ゴルフ医院からくだんのカートリッジが丈夫な体になって退院してきました。 回転シェルのツノもずいぶん成長して長くなったようです。 音楽人さんに「ヘラクレス・オオクワガタ・スペシャル」と命名されてしまいました。
ルノーとティボーのパテ盤をお送りして調整してもらっていたのですが、
「10~15gで2枚とも完奏しました」
とのことで、早速、うちのバチモン・アームに付けて試してみました。

インサイドフォース・キャンセラの錘をさらに増やし、針圧を調整した結果、 13gで、難物のティボーがなんとか最初からトレースできました。 錘の重量に対する最適針圧があるようで、もう少し錘を増やして針圧を増やすとさらに安定する気がしますが、とりあえず、この条件でほかのレコードも聴いてみると、 盤によってインサイドフォース発生量が違うようで、どうも難物ティボーに合わせると、ほかの盤はアウトサイドフォースで外側に流れるのが多いです。

幾何学的配置はいっしょなのに、なんでこうも違うのか、つらつら考えてみました。
そもそもなんでインサイドフォースが発生するかと言うと、針先が溝によって引っ張られる方向と、それを引き戻そうとするアームの回転軸の方向が180度、つまり逆向きで一直線ならちょうど打ち消しあうのですが、角度があると内側か外側に向く力が発生します。
では、溝によって引っ張られる力は何で生ずるのかを考えると、溝との摩擦ですね。この摩擦の程度が違うとインサイドフォースの発生量も変わるということになります。
ということで、溝がつるつるしている盤ではインサイドフォースの発生量も小さいということになるんではないかと思いますが、これで合ってますかね?

結局、難物ティボーは針圧13g、プレーヤ付属のインサイドフォース・キャンセラー最大。
この条件で外に流れる盤に対しては、まずインサイドフォース・キャンセラーをゼロ。
それでも流れる場合は、針圧を増やす。
針圧を増やすと摩擦が増えインサイドフォース発生量も増えるので、外側に流れ難くなる。
この方法で、針圧15gまでで、手持ちの全てのパテ盤をかけることができました。

全てといっても14枚しかないんですが、その内10枚がティボーです。
音色は今までのSHUREと歴然と違います。SHUREは良くも悪くもごまかしてそれらしく聴かせるのに対し、ヘラクレスはごまかしが全然ないので、傷んだレコードからは聴くに耐えない雑音を発します。
それに、録音帯域の狭さがモロに出ます。パテ盤がシリンダーからダビングされたことが丸わかりです。

でもその中から聴こえるティボーのヴァイオリンのなんと凛と響くことか・・・ピンと張りつめた細身の輝かしい音は、おそらく今まで誰も聴いたことがない世界だと思います。

ゴルフ院長、この度はたいへんお世話になりましてありがとうございました。

by ibotarow | 2012-04-14 06:36 | 蓄音機 | Comments(0)


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