2012年 06月 29日
![]() ゴルフ院長より重量級アームをお借りしました。 先日、ソフィアザール邸でのゲンコツの会で、うちで散々苦労した縦振動カートリッジがこの重量級アームでいとも簡単にトレースするのを見て、うちでもできるか試してみたくなったのです。 普通のアームはオーバーハングに作ってあるのでインサイドフォースが発生します。逆にアンダーハングになるようにセットすればアウトサイドフォースが発生します。ゴルフ院長のアームは「どこでもアーム」で、アームベースが移動できるようになっているため、サイドフォースが最小となる位置にセットすることができる、というわけです。 ![]() サイドフォースが最小になる条件は、アームの方向が溝の接線方向に向くようにセットしたときです。このとき針先の引っ張られる方向とアームによって引き戻される方向が逆方向で一直線となって、サイドフォースはゼロになります。 しかしながら、図のように最外周でこの条件が満足するようにセットすると、内周に行くにしたがって外向きの力が発生します。 図中、赤の力は溝との摩擦によるものなので、溝の接線方向に発生します。レコードの中間の位置では、この赤の力はアームの方向の黄色とアウトサイドフォースの緑色に分解され、黄色は青とつり合います。そしてアームと溝の接線のなす角、つまり黄色と赤のなす角をθとすると、緑のアウトサイドフォースは[赤の力xsinθ]となります。これで合ってるでしょうか? ![]() それで今日、今まで一番トレースするのが難しかったティボーのハバネラを、まずこの条件でかけてみました。 最初はうまくトレースしますが、あと3割というところで、すべって戻って来てしまいます。 アームベースをちょっとターンテーブルに近づけてオーバーハング気味にしてみると、最初はインサイドフォースで内側に流れます。 なんとか折り合いの付く位置はないかと、アームベースをいろいろ微調整してみましたが、結局、アームが接線方向になる前後5cm幅くらいしかトレースしません。 なかなかやっかいなレコードです。 その後、音楽人さんからゴルフ院長作、重量級ロングアームをお借りすることができました。 アーム長が長いほど、サイドフォースは小さくなります。もし無限大の長さを持つアームがあると、リニア・トラッキングと等価になり、サイドフォースはゼロになります。 ゴルフ院長にお借りしたショートアームでは針先から回転軸までの長さは24cm、ロングアームは27cm、この長さの差がトラッキングに与える影響を調べました。 アームベースがプレーヤボードの外に飛び出すといけないと思って、真鍮の丸棒の台を用意したのですが、幸い院長のアームベースは偏芯構造なのでボードに乗りました。 針圧はショートアームと同じ15gにして、アームベースの位置をいろいろ微調した結果、ターンテーブル回転軸からアーム回転軸までの距離が29cmのときにもっとも広範囲をトレースすることができました。 しかし、ティボーのハバネラの約8cmある溝の全範囲をトラッキングすることは、ロングアームをもってしても困難でした。 この範囲をさらに広げるためには、最初は内側に流れるようにオーバーハング気味にして、インサイドフォース・キャンセラーを軽くかけるのがいいかな、と思います。 ![]() これで重量級どこでもアームによるパテ縦振動盤再生の実験を終わります。 貴重なアームを貸していただいたゴルフ院長、音楽人さんに厚くお礼申し上げます。 どうもありがとうございました
by ibotarow
| 2012-06-29 18:23
| 蓄音機
|
Comments(4)
![]()
ご無沙汰してました。しばらく訪問しないうちに、面白い実験をされていたんですね。
ちなみに、拙宅のPathe Actuelleのアームは、アームの軸からセンタースピンドルまでの長さ≒約23.5cm、オーバーハング7mmでした。 ご参考まで。
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アノニマさん、
こちらこそご無沙汰しています。このたびは貴重な数値データありがとうございます。 そうですか、オーバーハングですか、そうすると外周ではインサイドフォースがきつくなるはずですが、すべらずにうまくかかるのが不思議ですね。針圧が大きいのが利いているんですかね?しかし針圧が大きくなると摩擦力が大きくなってインサイドフォースも大きくなると思うんですが、よくわかりません。 ![]() |
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