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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2013年 12月 15日

クレマン・ルージュで仏盤を聴く愉悦

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ピエール・クレマンのE25rougeを試聴する機会を得ました。
さる”悪い人”が、いつもタンノイで仏DF盤を聴いているボクを哀れに思し召して、貸してと言わないのに送られてきたのです。まったく悪い人です。

ピエール・クレマン、まずどんな種類があるのかと調べてみたところ、下に示すカートリッジ一覧表[1]を見つけました。
今まで、赤がLP用で銀がSP用くらいしか知らなかったのですが、それほど単純ではなさそうです。

ボディーの色は赤と銀のほかに、金、黒、青等があります。Anthracite(無煙炭)って何色だと思いましたがチャコールグレーのようですね。
コネクターにA, B, Cの3種類あり、違いは止めネジがAマウントは上にあり、Bマウントは横にあります。
78回転用は、AタイプではE25N(銀), L6N(黒), L6B(銀)等があり、BタイプではL7N(黒), L7B(銀)等があります。
LP用は、AタイプではE25M(赤), L6M(金), L6B(赤)等があり、BタイプではL7M(Anthracite), L7B(赤)等があります。

paletteとはカンチレバーのことのようで、Xタイプは大カンチレバーに太軸、Yタイプは小カンチレバーに細軸です。軸とは発電用の磁性体でしょうか?
L6M, NとL7M, NはXタイプ、L6BとL7BはYタイプです。

E25M, Nは1コイル、L6, 7は2コイルのようです。
Porte Pointeはスタイラス・チップの大きさでしょうか?
V: Porte pointe grand modele 78 T
Z: Porte pointe grand modele microsillon
W: Porte pointe petit modele 78 et micro
だそうです
クレマン・ルージュで仏盤を聴く愉悦_d0090784_21302171.jpg

さて、さっそくDF盤を何枚かとHM盤を1枚聴いてみました。
はからずもモーツァルトばっかりになりましたが。

先ず、リステンパルトのジュピター(DF138)
タンノイより高音のレベルは低いものの、高低のバランスはこちらの方がニュートラルな感じです。
またタンノイより出力は大きく、切れ込みの良い音です。
クレマンに比べると、タンノイは軽い、薄い、美しい音に聴こえます。
タンノイは化粧した音ですね。

次に、ピエルロのオーボエ協奏曲とオンニュのファゴット協奏曲(DF730.039)
オーボエは鮮明で、滑らかです。
ファゴットは力強く、リードの高調波がよく聴こえます。
両者とも独奏楽器がオーケストラから浮き上がります。

それから、ボベスコ/カッポーネの協奏交響曲(DF730.037)
オーケストラのさわやかな絃とスケール感が感じられます。
ヴァイオリンが浮き立ち、ヴィオラとの音色差が明瞭に区別できます。
でもボベスコの嫋々とした美しさはタンノイの方が上か?

さらに、クラウスのグラスハーモニカ五重奏曲(DF20016)
タンノイではこの世のものとは思えないくらい美しかったチェレスタが鉄琴の音に聴こえます。
言い方を変えると、こちらの方が正しい音?

最後は、グレーリング/コッホの二重奏曲(HM30615)
溌剌とした演奏で、タンノイで感じたひ弱な感じはありません。
ハルモニア・ムンディとの相性はディスコフィル・フランンセより良い感じです。

今までピエール・クレマンは、ヒップホップDJがスクラッチしたら似合いそうな色と形から、とんでもないアバンギャルドな音がするに違いないと思っていました。しかしそれは見事に裏切られました。
いつも聴いているタンノイ・バリレラの方がずっと派手です。
クレマンは、レコードに入っている音を過不足なく引き出す真面目なカートリッジだと思いました。

最後に、貴重な機会を与えていただいた”悪い人”に厚く感謝申し上げます。 情が移らないうちに早々にお返しいたします。

Reference
[1] http://www.lencoheaven.net/forum/index.php?topic=10583.90

by ibotarow | 2013-12-15 21:35 | 蓄音機 | Comments(0)


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