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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2014年 01月 20日

クレマンのアンコロールはおいしい

クレマンのアンコロールはおいしい_d0090784_18252572.jpg

先日、”さる先達”からクレマン・アンコロールが送られてきました。
もちろんアンコを巻いたロールケーキではありません。クレマンのSP用カートリッジです。
ただ借りているだけですのでご心配なく。

アンコロールのつづりは"incolore"、無色(銀色)です。LP用のルージュに対応する色ですね。
本体に"L5"の手書き刻印がありました。シングルコイルだと思います。

クレマンのアンコロールはおいしい_d0090784_1827022.jpg梱包を開けて、まずカンチレバーに驚きました。針の裏が厚いんです。切削加工でしょうか?
針圧は錘をいっぱい後ろにさげて約8g。
QUAD22のMIC端子入力で、スピーカーはマルコーニフォンご本尊。

さっそく、その辺にあったラッパ吹き込みと電気吹き込み盤を10数枚聴きました。
しばらくSPレコードを聴かなかったので、以前の印象を忘れてしまったのですが、
総じて言えることは、
電気録音により良く合うようです。
美しいものはますます美しく、そうでないものはそれなりに。
正直なんでしょうね。

ラッパ吹き込みは、状態の良いものは非常に美しいんですが、
傷んだレコードには冷淡なようで、ノイズが耳障りですし、ひずみっぽさが気になります。
また、録音の貧しさがそのまま出ます。
ここは、デッカ・ゲンコツのナローレンジの深情け?に一歩譲ります。
しかしゲンコツはニードルトークが大きく、蓋が欠かせませんが。

それから電気録音盤は、ストレートのMIC端子より、モノラル端子の78回転用イコライザ経由の方がしっくりいくようです。
特にヴァイオリンの艶や潤い、また女声ではしっとり感が増すような気がします。

しかし、最初に聴いたレコードは英盤がほとんで、あとは伊盤、米盤等で、仏盤はありませんでした。
その後、”さる先達”やmarcoさんが、さかんにクレマンとフランス盤の相性の良さを言われるので、数少ないパテや仏コロムビア、仏オデオン等の電気録音盤を聴きました。

なお、針圧は初めは8gでしたが、”さる先達”のアドバイスで15gにすると、よりしっかりした実在感のある音になりました。
またスピーカーは初めマルコーニフォンでしたが、高音のレンジ不足を感じてGECに変えると音の厚みは少し薄くなりましたが、がぜん高音のしなやかさ、繊細さが増しました。
今までGECでSPレコードをかけると、、録音帯域の貧しさが如実に出ると感じていたのですが、アンコロールは不思議にそんなことはありません、ピッタリだと感じます。

先ずパテのマヌエル・キロガ「ホタ・アラゴネーザ」「ロンド・デ・ルタン」1927年録音、
いいですねえ、細かいニュアンスがよくわかります。またピチカートが生々しい。

次に、ニノン・ヴァランの「インドの歌」1928年録音、
肉付きの良い声で、しっかり安定しています。たい焼きの隅々までアンコの入った感じです。

次は、仏コロムビアのバリエントス/ファリャの「7つのスペイン民謡」1927-28年録音、
これはあまり良くないというか普通ですね。パテに比べると鈍い音です。

次は仏オデオンのイヴ・モンタン「セシ・ボン」1948年録音、
蓄音機ではもっと浮き浮きしたはずむ感じでしたが、まじめな落ち着いた感じです。

以上がフランス盤で、次は米コロムビア盤
エネスコの「ヘンデル4番ソナタ」1929年録音、
滑らか、今まで聴いたエネスコの中で最もHiFiの再生音。

次は独エレクトローラ盤
フリダ・ライダーの「神々の黄昏、終曲」1928年録音、
これはオーケストラの絃がさわやかで、細かい楽器まで聴こえ、声に距離感があり、まるでLPを聴いているようです。

最後は英HMV盤、
ヨーゼフ・ハシッドの「タイスの瞑想曲」「ウィーン奇想曲」1941年録音、
これはいいんですが、以前のもっと清潔感あふれる印象が薄れたような気がします。あたりまえの音になってしまいました。

以上、ボクの駄耳では、フランス盤との相性は、そう言われるとそうかなという程度でした。もちろん悪くはありませんでしたが。
1920年代の電気録音はほとんどウエスタン・エレクトリックの録音システムなので、国別、レーベル別の音の違いはLPほど現れないのかもしれません。
今回聴いた中では、一番良かったのは独エレクトローラで、次が米コロムビアした。これは単に録音の良し悪しに比例しているだけだと思います。

クレマン・アンコロールは、LP用のクレマン・ルージュでも感じましたが、
レコードに入っている音を足したり引いたりせずに正直に再生するカートリッジだと思いました。

by ibotarow | 2014-01-20 18:46 | 蓄音機 | Comments(2)
Commented by アノニマ at 2014-02-01 10:33 x
ご無沙汰してました。
興味深いカートリッジですね。良い音が出そうな形ですね。
Commented by ibotarow at 2014-02-03 21:43
アノニマさん、
ご返事が遅くなりました、こちらこそご無沙汰しています。
フランス人の発想は理解できません、なんでこんなかたちになるのか?
でも音は極めてマジメだと思いました。


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