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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2015年 04月 30日

デ・ヴィート/フィッシャーのブラームスのソナタ

デ・ヴィート/フィッシャーのブラームスのソナタ_d0090784_08532568.jpg
ジョコンダ・デ・ヴィート(1907 - 1994)/エドウィン・フィッシャー(1886 - 1960)による、ブラームスのソナタは、もともとヌヴ―が予定されていたそうですが、ご存じのように1949年に飛行機事故で亡くなったので、急遽、デ・ヴィートに白羽の矢が立ったそうです。

長年テスタメントのCDで楽しんできましたが、先年、この米エンジェル盤が出ているのを見つけ、UKプレスだから、音はオリジナルとあまり変わらないだろうと、思い切って入手してしまいました。

Angel 35523 グルーブガード盤
11/12 May 1954, No.3 Studio, Abbey Road, London
[2XEA 592-1N, 1, M] Johannes Brahms: Violin Sonata No.1 in G major, op.78 

18-20 October 1954, No.3 Studio, Abbey Road, London
[2XEA 593-1N, 1, O] Johannes Brahms: Violin Sonata No.3 in D minor, op.108

Gioconda de Vito (Vn)
Edwin Fischer (Pf)

これは、ヨーロッパ風のダウエルスパイン・ジャケットに入っています。
オリジナルはALP 1282ですが、この時はまだ持っていなかったので、また周りにお持ちの方もおられないので、幸か不幸か比較ができません。
しかたがないので以前からある東芝盤(TOJE-7420)を引っ張り出して聴き比べてみました。
これは1991年のLP末期の発売で、そのころ2番目の職場を辞める時に若き友人から餞別にいただいたものです。

まずエンジェル盤から。
RIAAで再生すると、
思ったより線が細い、潤いに欠ける。少なくとも柔らかくはありません。
そこでNABで再生してみると、
この方が落ち着いた感じで合っている、柔らかい、力強さもある。

次に東芝盤を聴いてみると、
東芝盤のほうがわずかに薄っぺらい、鋭い。これで一安心?
でも東芝盤も思ったより健闘しています。
エンジェル盤と東芝盤が似ているということは、英国オリジナル盤は違う可能性があります。
かくなる上はオリジナル盤を聴いてみたいところです。





デ・ヴィート/フィッシャーのブラームスのソナタ_d0090784_08543325.jpg
以来幾星霜、オリジナルALP盤を探し続けて来ました。
というのは大げさで、しばらくして出ているのを見つけ、定年退職の記念にと清水の舞台から飛び降りることにしました。

このオリジナルLPは、My Holy Grailといっても過言ではありません。30年前からあこがれ続けて来ました。
第1番の出だしのフィッシャーによる深々とした和音を聴いただけでゾクゾクとなります。
そこへデ・ヴィートのやや暗めの音色をもった、でも伸びやかに歌うヴァイオリンが乗ります。

古くはゲルハルト(1883 - 1961)/ニキシュ(1855 - 1922)の例に見られるように、父親ほど年の違う老練な伴奏者の魔力によって、はるかな高みに飛翔することがあるようですが、デ・ヴィートも例外ではありません。
Tito Aprea (1904-1989)のお友達伴奏による第2番のまったりした雰囲気と違って、白熱の緊迫感があります。

ALP 1282 グルーブガード盤
[2XEA 592-1N, 1, R] Johannes Brahms: Violin Sonata No.1 in G major, op.78
[2XEA 593-1N, 1, R] Johannes Brahms: Violin Sonata No.3 in D minor, op.108

最初NABで聴きましたが、トロトロの音でしたので、RIAAにしました。
その結果、
1面は、ALP盤の落ち着いた穏やかな音で、ブラームスの曲想にピッタリです。
2面は、1面より細身で、歯切れ良く元気な音でした。
どちらも1stラッカー、1stマザー、2ndスタンパー、これは半年ほど差がある録音時期の違いでしょうか?

次に、以前入手したUKプレスの米エンジェル盤、
まずRIAAで聴くと、
2面は似ているけれども、よりクリアで、陰影に乏しく、薄い印象です。
そこでNABにしたところ、
柔らかい、潤いのある落ち着いた音になりました。
オリジナル盤の1面と似ている音です。

ということで、ALP盤をRIAAで再生した音と、エンジェル盤をNABで再生した音はかなり似ているという結果になりました。
エンジェル盤は、1stラッカー、1stマザーまではオリジナル盤と同じで、スタンパーだけ4thと5thですが、スタンパーの違いでこれだけ変わるものでしょうか、あるいはビニールの材質の差でしょうか?
どこかで読んだ話によると、アメリカ人はオートチェンジャーで乱暴に扱うので、アメリカ向けのレコードは、ビニールの材質を硬めにしているとのことですが、真偽のほどはさだかではありません。
これについては、今後の検討課題とします、



by ibotarow | 2015-04-30 09:08 | ヴァイオリン_電気録音 | Comments(0)


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