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2016年 02月 27日

メイエルとミヨーのスカラムーシュ

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フランス6人組の一人、ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud, 1892 - 1974)は、マルセル・メイエルとイダ・ジャンケレヴィッチから1937年のパリ万博用にピアノデュオ曲を作ってくれと依頼されましたが気が乗らずに、近作の旋律をピアノ用に編曲して、
2台のピアノのためのスカラムーシュ (Scaramouche pour 2 pianos Op. 165b)
を作りました。

3つの楽章からなり、
1. Vif
2. Modéré
3. Brazileira

第1楽章と第3楽章の元になっているのは、「空飛ぶお医者さん(Le Médecin volant)Op.165a」で、これは モリエール(Molière, 1622 - 1673)の最初の喜劇 "Le Médecin volant" を、 シャルル・ヴィルドラック (Charles Vildrac, 1882 - 1971)が児童劇に書き直し、 それにミヨーが付随音楽(incidental music)を書いたものです。

第2楽章は、ジュール・シュペルヴィエル(Jules Supervielle, 1884 - 1960)の戯曲「ボリヴァール」に作曲した、「声楽とコーラスと室内オーケストラのための劇付随音楽"Bolívar" Op.148 (1935)」から取られたものです。

スカラムーシュとは、「空飛ぶお医者さん」が初演されたシャンゼリゼ通りのスカラムーシュ劇場に由来します。

これはミヨーの一番ポピュラーな作品となり、その楽譜はたいへん良く売れたそうです。
それに気を良くしたのか、ミヨーは他の楽器のためのバージョン、
アルトサックスとオーケストラ Op. 165c (1939)
クラリネットとオーケストラ Op. 165d (1941)
も作っていますが、こちらはあまり売れなかったようです。

なおイダ・ジャンケレヴィッチ ( Ida Jankélévitch, 1905 - ?)は、哲学者ウラディミール・ジャンケレヴィッチ(Vladimir Jankélévitch, 1903 - 1985)の妹のようです。

1938年、ミヨーとメイエルは、仏EMIにScaramoucheを録音しました。

DB 5086 Scaramouche - Suite pour deux pianos (Darius Milhaud)
[2LA 2855-1, M6 96849] No 1 Vif - No 2 Modéré (1re Partie)
[2LA 2856-1, M6 96850] No 2 Modéré (2e Partie) - No 3 Brazileira
Mme Marcelle Meyer et l'auteur (sur pianos Pleyel)
rec. December 6, 1938, Paris, Studio Albert

最後のBrazileira(ブラジルの女)が何とも楽しく、このレコ―ドはいつか手に入れたいものだと思っていましたが、先日、某オークションに出ていたのでダメ元で入札したところ無競争で落札してしまいました。

到着したレコードを見ると、リムの欠けたところから、芯のボール紙らしきものが見えます。
日本の戦時中のレコードではおなじみですが、フランスでもそうだったとは思いませんでした。
そのせいかあまり光沢はなく、紙の凹凸が盤面のムラとなって現れています。
このレコードが録音された1938年はドイツによるオーストリア併合の年ですが、 フランスはまだ占領されていないとはいえ、物資の欠乏は始まっていたようですね。

楽章間の音溝の隙間は無く、連続して演奏されています。

かけてみますと、溝は見た目そんなに荒れている感じはしないのですが、 大振幅のところでは、デッカゲンコツ24gの針圧を持ってしても歪みます。

でもまあ、メイエルの高音部(を受け持っていると思っているのですが)は、 復刻CDで聴くより敏捷で生き生きとしているので、これで良しとしましょう。

Youtubeはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=PwvQwfq1A3c


References
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_compositions_by_Darius_Milhaud 
https://es.wikipedia.org/wiki/Scaramouche_(Darius_Milhaud)
https://it.wikipedia.org/wiki/Scaramouche_(Milhaud)
https://es.wikipedia.org/wiki/Jules_Supervielle
http://www.piano.or.jp/enc/pieces/1176/
その他いろいろ
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by ibotarow | 2016-02-27 17:07 | ピアノ_電気録音 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ポンちゃん at 2016-02-28 10:05 x
スカラムーシュ、ご紹介いただいたYoutubeで初めて聴かせていただきました。私も3曲目が気に入りました。ノリノリのサンバのリズムが何とも楽しくて仕方ないですね!
写真での見た目はきれいな盤に見えますが、フランス盤でも紙を使用していたとは知りませんでした。紙を使用したものでも、初期のものは綺麗でノイズが少ない高音質のものもあるので、製造工程の問題とかシェラックへの混ぜ物の配合量とかも関係しているのでしょうか・・・。
Commented by ibotarow at 2016-02-29 08:52
ポンちゃんさん、もうSPレコードは復刻CDでいいじゃないかと思っていましたが、
こうして実物を見ると、当時の社会情勢を知ることができるという楽しみがあります。

リムの欠けた所から見た感じでは、シェラックの厚みは1mmもないようです。
材質はわかりませんが、これが音にも影響しているのでしょうね。


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