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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2016年 03月 06日

いつかはクレマン、ついにクレマン

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DF盤を聴くようになってから、クレマン使い約2名の先達から折に触れて、
「フランス盤にはピエール・クレマンですよ~」、
と悪魔の囁きを吹きかけられ続けて来ましたが、
「いや~、タンノイの虚飾に満ちた美しさがいいんですよ~」、
と強がりを言っていたものの内心おだやかでなく、「いつかはクレマン」と思っていたのですが、なかなか出物が無く、有っても手の届かないのが多く、去年やっとL7Bヘッドを入手することができました。
早速それをクレマン使いの先達のクレマン・プレーヤにセットして聴かせていただいたのですが、残念ながらダンパーが硬化しているのか、音が歪みます。

そこでゴルフ院長に無理を言って、ヘッドのメインテナンスと専用アームの製作をお願いしました。
それが先日完成してブツを受け取り、ついにクレマン使いの一端に連なることができました。感慨無量であります。

早速、コラーロの奥にセットして鳴らしてみました。最初は歪み気味でしたが、針圧を調整したり、針先の角度を微調したりしてかなり良くなりました。
またアームの置く位置に敏感で、インサイドフォースで流れたりしましたが、これも何とかクリアしました。まだ流れるレコードもありますが。

まず聴いたのは、マルセル・メイエルのラモー3種(DF, ALPHA DB, EMI Reference)で、いずれもフランスプレスです。
以前、タンノイ・バリレラで比較試聴した時は、DF盤が最も美しいという予定調和的な結果になりましたが、クレマンでは果たしてどうなるか、というところが興味の的です。

まず、1950年代半ばのプレスのオリジナル盤、
DF 98  (210g)
[DF 98 1C5, XPARTX 26508, M6 165042]
[DF 98 2C3, XPARTX 24162, M6 160688]
3種の中では一番硬質、ソリッド、ドライで、明晰な音がします。
でも美しいかというと、それとはちょっと違う感じです。
 
次に、たぶん1960年代のプレスだと思われるアルファ盤、
ALPHA DB79  (133g)
[98 1 21, M6 245676]
[98 2 21, M6 245677]
DFより細く、薄く、繊細な音です。ピアノがチェンバロのように響きます。
またDFには無いしっとり感もあり、これは美しいと言っても良いでしょう。
 
最後に、おそらく1970年代後半のプレスだと思われるEMIリファレンス盤、
EMI 2C151-10493  (135g)
[10493 MA21, M6 334517 3]
[10493 MB21, M6 334518 3]
DBとよく似ていますが、それより太く、力強いピアノのアタック音が聴けます。
3種の中では一番HiFiと言えるかもしれません。でも美しさはなくフツーの音です。

という訳で、今回はアルファ盤がベストという結果になりました。

1950年代の初期プレスより、1960年代の再プレスの方が良いとは、うれしいような、ちょっぴり残念なような気がしますが、これはクレマンの虚飾の無さに由来するのでしょうか。
以前、クレマン使いの先達からお借りしたE25を聴いたときも、レコードに入っている音を足したり引いたりせずに引き出す正直なカートリッジだという印象でした。

あるいは、タンノイは1950年代生まれですが、クレマンL7Bは1960年代生まれなのかもしれません。
同時代ならではの相性がありますからね。
まあ、これはピアノでの比較ですから、ほかのレコードでどうなるかはわかりませんが。

いずれにしても、ゴルフ院長には、今回も大変お世話になりました。厚く感謝の意を表します。
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by ibotarow | 2016-03-06 14:48 | 蓄音機 | Comments(0)


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