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2017年 07月 05日

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤

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学生時代に中古レコード店でキングのハイライト盤を買って以来、40数年憧れ続けていましたが、このたび、やっとオリジナルステレオ盤を入手することができました。感慨無量であります。
でもグルーブガード盤だし、マトリクスのテイク番号が5~9なので、かなり後期のカッティングだと思われます。

24 September - 8 October 1958, Sofiensaal Wien
SXL 2101
[ZAL-4260-7G, 3B, GI]
[ZAL-4265-5G, 2B, G]
SXL 2102
[ZAL-4261-5G, 1, GK]
[ZAL-4264-6G, 1, GB]
SXL 2103
[ZAL-4262-5G, 21, M]
[ZAL-4263-9GR, 1, U]

またオートチェンジャー仕様なので、1面の裏が6面です。したがって、とりあえずSXL 2101を聴いてみました。
これで途中は抜けていますが、ラインの黄金の前奏曲からワルハラ入城まで聴くことができました。

本来はデッカのカートリッジで聴くのが筋なんでしょうが、クセのある同士だと、レコード本来の音がわからなくなると思い、まず手持ちのなかで一番素直?なデノンDL103で聴いてみました。

ステレオということで久しぶりに2台のスピーカーの真ん中で聴きました。
オーケストラが左右に分かれすぎるのがなんか不自然な感じがしますが、軽い透明な弦は、まぎれもなく50年代の英デッカの音です。

さて一番有名なフィナーレの雷鳴のシーンですが、金床をハンマーで打つ音は若干歪みますが、それに続くリンツから運んだという巨大な鉄板の怒涛の振動音は、お~これこれ! 快感です。
こういうハリウッドスペクタクル映画のような派手さはカルショーの独壇場ですね。

この後で、同演奏のCDを聴いてみましたが、気の抜けたビールみたいにフヌケた音で、とても同じ演奏とは思えないほどでした。金床はさすがに歪みませんでしたが。
やはり、初期ステレオ盤は鮮烈でした。

ただ残念ながら、このSXL盤は、どうも第2版のようです。どうりで安かった訳ですね。
最近見た某オークションの説明文によると、
HERE IS AN ORIGINAL 1960s 2ND EDITION OF A 1959 RECORDED BOX SET OF 3 STEREO ALBUMS ON THE WIDEBAND AND GROOVED DECCA LABELS WITH THE "MADE IN ENGLAND" RIM TEXT AT 10"0"CLOCK DESIGN PRESSED IN ABOUT 1963/4.
と書いてありました。
レーベルは、
WIDEBAND AND GROOVED
ですし、2枚目、3枚目のレーベルの10時の位置には、
MADE IN ENGLAND
と書かれていました。1963年か64年のプレスのようです。

でも、1枚目の同じ位置には無かったのです。
代わりに、
ORIGINAL RECORDING BY
と書いてありました。
初めはこの意味がわからなかったのですが、その後、 [1]を見ると、
It can be easily recognised due to the words 'Original Recording by...' written around the rim.
と書いてあって、これが初版のレーベルだそうです。
また、
ED2 records also have a wide band and generally the same sound quality as an ED1.
とも書いてあったので、ファーストかセカンドかはあまり気にする必要はなさそうです。

という訳で、1枚目のレーベルは初版でしたが、マトリクスは[7G]と[5G]でした。
このことから、実際のプレス時期は2枚目、3枚目と同じ頃ではないかと思われます。

そこで、この傍証を求めて、12時の位置に刻印されたTAX CODEを調べてみました。
冒頭のリストに追記した一番右カラムのアルファベット2文字がそれです。

SXL 2101
[ZAL-4260-7G, 3B, GI, KT]
[ZAL-4265-5G, 2B, G, KT]
SXL 2102
[ZAL-4261-5G, 1, GK, KT]
[ZAL-4264-6G, 1, GB, KT]
SXL 2103
[ZAL-4262-5G, 21, M, K?T]
[ZAL-4263-9GR, 1, U, KT]

[2]によると、[KT]は、1963年7月1日から1966年7月20日まで使われました。
したがって、3枚ともこの期間にプレスされて発売されたと思われます。

では、なぜ1枚目に初版レーベルが使われたのでしょうか?
想像するに、余っていた古いレーベルを使ったのかもしれません。SP時代にもよくありましたから。





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次に、10年ほど前に入手したデッカのモノラル盤LXT 5495-7と聴き比べてみました。

LXT 5495
[ARL-4260-2K, 1, M, KT]
[ARL-4265-1A, 10, GM, KT]
LXT 5496
[ARL-4261-2K, 1, M, KT]
[ARL-4264-1A, 21, GM, KT]
LXT 5497
[ARL-4262-1A, 21, GI, KT]
[ARL-4263-4A, 1, K, KT]

オレンジ/シルバーレーベルのグルーブガード盤です。
今まで知らなかったけど、マトリクス番号自体はステレオ盤と同一です。
[3]によると、最後尾のアルファベットはカッティング技師の識別記号だという話ですが、今回はAさんとKさんだけで、ステレオ盤のGさんは登場しません。

やはりオートチェンジャー仕様で、1面はテイク2、6面はテイク1です。
この1枚目をステレオ盤と交互に聴いてみました。
カートリッジは前回と同じDL103です。
イコライザはRIAAです。

その結果、ステレオの方がワイドレンジでフラット感があり、繊細で、分解能が高く、弦はさわやかです。
それに対し、モノラルは中高域が張り出していて、緊張感、迫力があり、声の輝かしさが目立ちます。
また、ティンパニーの革の張力がステレオと全然違う感じで、もうパンパンです。
これほど違うとは思いませんでした。

ffrrとffssではイコライザカーブを変える必要があるのでしょうか?
ステレオとモノラル同時発売で、わざわざカーブを変えてカットしないだろうという気がしますし、[3]を見ても、ffrrは1957年頃にはRIAAに統一されていたようです。

でも会社の方針はそうでも現場はそうとは限りませんので、念のため、1953年のffrrカーブで再生してみることにしました。
Uさんに教えていただいたRIAAからffrrへの補正値は、
「低域(50Hz)を<-6db>、高域(10,000Hz)を<+2.5db>」
です。
これはQUAD33のトーンコントロールの
低域:-1、高域:+1
にほぼ相当します。
そこで、この設定で聴いてみたところ、差は僅かですが、上の特徴がさらに強調され、より迫力が増したような気がします。
つまり、RIAAのステレオ盤とは遠ざかる方向で、ffrrカーブではないようです。

そうすると、ステレオとモノラルの音の違いは、ミックスダウン時の編集方針の違いでしょうか?
Oさんによると、
「ステレオばかりでなく、モノラル盤においても動きを示すことによって一層劇的効果を高めるよう苦心がはらわれている」
そうですので、その可能性は考えられます。

あるいは、AさんやZさんらカッティング技師のさじ加減もあるかもしれません。
ちなみに、SXL盤のテイク1は[4]によると、
[ZAL - 4260 - 1E]
[ZAL - 4261 - 1E]
[ZAL - 4262 - 1E]
[ZAL - 4263 - 1E]
[ZAL - 4264 - 1E]
[ZAL - 4265 - 1E]
だそうです。果たしていかなる音か?

[1E]盤の入手は見果てぬ夢ですので、それはさておき、先日、ゴルフ院長のオフ会「初夏の音を愛でる会」がありました。
あつかましくも「ラインの黄金」のステレオ盤とモノラル盤を持参し、Oさんが持って来られたキング盤と合わせて3種類を、院長の新作ダンパーレスカートリッジでかけていただきました。

聴いたのは最終面の真ん中へん、例の
雷神ドンナ―がHeda! Heda! Hedo!と雲を呼び集め、岩をハンマーで一撃して生ずる稲妻、それに続く雷鳴
の場面です。

まずモノラルのLXT盤[ARL-4265-1A] をモノラルカートリッジで聴きました。
これは上にも書いたように、中高音が張り出した音で、ハンマーの打撃音は一番迫力がありました。
院長は、
「ハンマーが金床に当たる衝撃音と、ハンマーが金床上を滑る音」が分離して聴こえる
と言われましたが、ボクの駄耳では聴き取れませんでした。
でも、衝撃音の鋭さ、大きさは、今までついぞ聴いたことのないものでした。
ダンパーレスがもたらす並外れた過渡応答の威力でしょうね。

次にステレオのSXL盤[ZAL-4265-5G] をステレオカートリッジで聴きました。
ステレオ盤は、声とオーケストラのバランスがモノラルとかなり違っていて、モノラルでは声が前に出てくるのに対し、ステレオは、オーケストラの音に包まれて歌っているように聴こえます。
その分、迫力はモノラルより幾分薄まるような印象でした。

次はキングのSLX盤[ZAL-4265-4G] 、これはSXL盤とほとんど同じ印象でした。SXL盤よりちょっと硬めの音だったかな?

以上を聴いた結果、モノラル盤が皆さんの評判が良かったので、モノラル盤をもう一回聴くことになりました。
今度はステレオカートリッジで聴きました。これはこれで良かったのですが、最初に聴いたモノラルカートリッジの再生音はもっとすばらしかったということで、最後にもう一度モノラルカートリッジで聴き、音像がピシッと締まった音に満足しました。
加藤秀夫さんのマイクロフォローでかけてもらわなかったのが返す返すも残念。

ここで、ステレオ盤の名誉のために一言書いておくと、会場での音量がモノラル盤より少々小さかったです。
それにスピーカーが院長作の平面バッフル付き50cmシングルコーンでしたので、これもナローレンジ指向?のモノラル盤に、より有利に働いたのではないかと思います。
うちで聴くSXL盤はもっとステキです。

だらだらと取り留めもなく書いてきましたが、とりあえずまとめると、数年前に出たビートルズのリマスターCDも、ステレオとモノラルでずいぶん音作りが違いましたから、これは昔からの伝統?

References
[1] http://www.watsonrecords.co.uk/sell-your-collection/vinyl-records/guide-to-selling-classical-records/decca/
[2] http://www.78rpm.net.nz/mechcopy/mech7.htm
[3] http://www.ann.hi-ho.ne.jp/aria/amp/EQ-Label/EQ-Label-Decca-WEB.htm
[4] http://www.popsike.com/DECCA-SXL-21013-WBG-Orig-WAGNER-RHEINGOLD-SOLTI-3-LP-/230969900013.html


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by ibotarow | 2017-07-05 07:16 | 男声_電気録音 | Trackback | Comments(0)
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