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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2018年 07月 15日

エネスコのRemington盤その3

エネスコのRemington盤その3_d0090784_18313755.jpg

その後、毒食らわば皿までと、Remingtonの3枚目、エネスコのソナタ第2番を入手しました。

Sonata No. 2 for Violin and Piano in F minor, Op. 6
RLP-149-42-A [AV 33-253] 1. Assez mouvemente
RLP-149-42-B [AV 33-254] 2. Tranquille / 3.Vif
George Enescu (violin), Céliny Chailley-Richez (piano)

マトリクス番号から、シューマンより少し前の録音のようです。
Discographie Enesco violoniste[1]によると、1951年、パリ録音だそうです。
さっそくタンノイモノで聴いてみました。イコライザはRIAAです。
やはりテープ録音なのでしょうか、音はシューマンと大差ありません。

エネスコのヴァイオリンソナタは、捉えどころの無い、ぐにゃぐにゃした印象で、いっぺん聴いただけでは全体像が掴めません。
この傾向は第3番でさらにひどく、いや強くなり、例えば半音のさらに半分の4分音が使われているそうです。
第2番はまだかろうじて骨格らしきものはあります。

Wikipedia[2]によると、エネスコは1895年から99年までパリ音楽院で学びましたが、この曲は最後の年に作曲されました。
師匠のフォーレの影響が強いと言われています。
初演は1900年2月22日、パリでティボーのヴァイオリンとエネスコのピアノによって行われました。
この時、ティボー19歳、エネスコ18歳。若き俊英二人の協演はさぞ素晴らしかったことでしょう。

なお、ピアノ伴奏のCéliny Chailley-Richez については、例のThe Remington site[3]によると、1884年のフランス生まれで、パリ音楽院でプーニョに師事しました。
エネスコより3歳年下ですが、1等賞を取ったのはエネスコに1年先んじた1898年でした。
彼女のパリの家には、ヌヴーやボベスコが出入りしていたそうです。
1973年没で50年経っていないので、たぶん著作権はまだ消えていないでしょうね。
あるいは、レコード発売から50年以上経っているのでOKかもしれませんが、その辺よくわからず、また音源の公開が目的でもありませんので、前報のシューマンのソナタNo.2と同じく、音源のアップは見合わせます。





エネスコのRemington盤その3_d0090784_06434399.jpg

その代わりと言っては何ですが、この曲には、1943年3月13日(1941年8月の説も有り)の、エネスコとリパッティによる録音があります。
今まで、米Monitor盤(MC 2049)と日本Victor盤(MK-1047)で聴いてきました。
と言いたいところですが、実はほとんど聴いたことがありません。上に述べたように、聴き通すのが中々しんどいからです。

Victor盤の解説によると、テレフンケンから、録音機材と技師をブカレスト放送局に招いて録音したそうです。
マグネトフォンかと思いましたが、The Remington Site[4]の説明によると、
(originally recorded on 78 RPM shellac discs, very well transferred to LP)
とのことです。
オリジナルLPは、ルーマニアElectrecordの10インチ盤(ECD-61)ですが、このたび、セカンドプレス盤(たぶん)を入手することができました。

Sonata Nr. 2 Pentru Vioară Și Pian În Fa Minor Op. 6
[V-121-F] I. Assez Mouvementé
[V-122-D] II. Tranquillement / III. Vif
George Enescu, vioară – Dinu Lipatti, pian

discog[5]によると、"Reissue, Remastered"で、1960年の発売のようです。
早速タンノイモノで聴いてみました。 イコライザはRIAAです。
セカンドプレスとはいえオリジナルだから、と期待したのがいけなかった。 曖昧模糊とした、眠たい音です。
米Monitor盤の方がシャープです。がっかりです。

演奏は、Remingtonより10年近く若いだけあって、音に艶があり、ボーイングに柔軟性があります。
メロディラインの表情がダイナミックに変化し、エネスコはロマン派の系譜に連なる作曲家であったかと思わせます。
一方、Remingtonは、Electrecordに比べると、ボーイングが多少ぎくしゃしています。腕の関節のコラーゲン不足ですかね?
そのせいか、無機的、離散的、抽象的で、これが晩年のエネスコが到達した境地なんでしょうね、まったく別の曲を聴くようです。

初版[6]のECD-61
[MDW 121 EW] I. Assez Mouvementé
[MDV 122 BV] II. Tranquillement / III. Vif
を聴いてみたいけど、もう探す元気がありません。
セカンドプレスのMP3音源を下記にアップしました。
エネスコは1955年、リパッティは1950年に亡くなっているので、たぶん大丈夫でしょう。

[V-121-F] I. Assez Mouvementé
[V-122-D] II. Tranquillement / III. Vif

エネスコのRemington盤その3_d0090784_08491627.jpg
上の写真はジャケットにあったもので、キャプションには、ソナタNo. 2が作曲された1899年のエネスコと、1901年に出版された楽譜、と書いてある(と思います)。

References
[1] Discographie Enesco violoniste
http://patachonf.free.fr/musique/enesco/discographie-i.php
[2] Violin Sonata No. 2 (Enescu)
https://en.wikipedia.org/wiki/Violin_Sonata_No._2_(Enescu)
[3] Céliny Chailley-Richez (1884-1973)
http://www.soundfountain.org/rem/remchailley.html
[4] http://www.soundfountain.org/rem/remenes.html#CONTINENTAL
[5] ECD-61 1960
https://www.discogs.com/ja/George-Enescu-Dinu-Lipatti-Sonata-Nr-2-Pentru-Vioar%C4%83-%C8%98i-Pian-%C3%8En-Fa-Minor-Op-6/release/8214601
[6] ECD-61 1958
https://www.discogs.com/ja/George-Enescu-Dinu-Lipatti-Sonata-Nr-2-Pentru-Vioar%C4%83-%C8%98i-Pian-%C3%8En-Fa-Minor-Op-6/master/13988



by ibotarow | 2018-07-15 08:18 | ヴァイオリン_電気録音 | Comments(0)


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