2019年 02月 24日
C. Zwargの"Speeds & Keys" [1]が出て以来、回転数調べはすっかりやる気が失せました。 しかしながら、サラサーテ盤の回転数は今まで何回かトライしましたが、未だ明解な結論は得られていません。 [4258o] 37931 Partita No 3 BWV1006: Prelude (Bach) 【 E, 442, 72.1 】 [4259o] 37932 Introduction et Caprice Jota, Op 41 (Sarasate) 【 G, 441, 72.5 】 [4260o] 37933 Introduction et tarantelle, Op 43 (Sarasate) 【 C, 441, 71.7 】<333.1> [4261o] 37934 Miramar-Zortzico Op 42 (Sarasate) 【 Cm, 441, 71.8 】<331.7> [4262o] 37929 Caprice basque Op 24 (Sarasate) 【 Am, 441, 71.8 】<333.1> [4263o] 37930 Zigeunerweisen Op 20 (Sarasate) Part-1 【 Cm, 441, 71.9 】 [4264o] 37935 Zigeunerweisen Op 20 (Sarasate) Part-2 【 Cm, 441, 72.3 】<334.4> [4265o] 37936 Danzas españolas, Op 21. Habanera (Sarasate) 【 Dm, 441, 72.2 】<333.8> [4266o] 37937 Zapateado, Danse des souliers Op 23 No 2 (Sarasate) 【 A, 441, 72.4 】<333.8> [4267o] 37938 Nocturne Op 9 No 2 (Chopin-Sarasate) 【 E♭, 441, 72.5 】 ![]() 似ているのもありますが、違うのもあり、どれが正解かは何とも言えません。 最初は見るだけのつもりだったのですが、これらの回転数でレコードを再生した時、ピッチがA=441 Hzになるかどうか調べることにしました。 実際は内外周のピッチ差があるかもしれませんが、それは無視し、演奏の初めから終りまでの平均スペクトルを求め、300 Hzから600 Hzまで表示すると下図のようになりました。 ![]() ピッチはわりと揃っており、特に330 Hzあたりの、たぶんE4のピークは、チゴイネルワイゼンpt.1を除いて、よく揃っているのがわかります。 でも、440 HzあたりのA4のピークは明確ではありません。これは楽曲にその音があまり含まれていないことを意味するのでしょう。 そこで、E4と思われるピークの周波数を求め、上のリストの<>内に記入しました。 これらの平均を取ると、 (333.1+331.7+333.1+334.4+333.8+333.8)/6=333.3 Hz になります。 これがE4だとすると、A4の周波数は、 333.3*1.3348=444.9 Hz となります。 予期した441 Hzより少し高めですが、似た値になりました。 この違いの原因を考えるためにはさらに詳しい解析が必要となりますが、めんどうなのでやめておきます。 次に、上と同じ回転数で再生した内周トラックの平均スペクトルを、400 Hzから460 Hzまで表示すると下図のようになりました。 ![]() 430 Hzあたりに分布している曲が多いですが、チゴイネルワイゼンpt.1は数Hz低く、ミラマールは数Hz高くなっています。いずれも富士山の山頂のような幅があるのは、回転ムラがあるためでしょう。 楽曲トラックと内周トラックのピッチは違うんではないかと以前から感じていましたが、これは内外周の回転数差で説明できるかもしれません。 今、楽曲トラックのピッチがA=440 Hzとすると、半音下は、 440/1.059=415 Hz ですから、430 Hzは、半音のさらに半分の4分音くらい下に相当します。 カッターレースの駆動トルクの関係か、あるいは他の原因かよくわかりませんが、カッティング時、外周より内周の方が回転数が速くなる場合があるようです。その場合、一定回転数で再生すると、内周部のピッチは低くなります。 もし、楽曲トラックの平均回転数が72 rpmのとき、ピッチがA=440 Hzだとすると、内周トラックの430 Hzが440 Hzになる回転数は、 72*440/430=73.7 rpm になります。 以前、その5でチゴイネルワイゼンpt.1の始めと終わりで、回転数にして約1 rpmの差があることを報告しました。 今回の回転数差は1.7 rpmで、それより大きいですが、そんなに荒唐無稽な値でもありません。 でも、これ以上詳しく調べようとすると、楽曲トラックのピッチ変化がどうなっているか追いかける必要がありますが、めんどうなのでやめておきます。 という訳で、今回も結論らしきものは得られませんでした。 Reference [1] Chris Zwarg, "Speeds & Keys Vol. I Gramophone Co. (1898-1921)", Truesound Transfers (Berlin, 2018)
by ibotarow
| 2019-02-24 08:37
| ヴァイオリン_ラッパ吹き込み
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Comments(3)
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楽しみにしておりますので,判明の暁を!当時のカタログの回転数が正しいか,CDやLPになっている物が果して,演奏の速度が正しく造られているのか,拙家にも有るサラサーテの録音しているレコードの,正しい回転数が分かれば,より良い演奏で聴く事が叶いますのです。少なくともカタログの回転数の表示は,いい加減の様ですので。何かお手伝いが可能でしたら,行いたいと思います。
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Jaroslav Kocianのレコードも日本で買おうと思うと,¥160000~¥300000位しますが,外国で直接買うと¥30000~¥35000で買えますから,日本国内で買おうと思う程馬鹿な話は無いですよね。サラサーテの演奏のレコードも同じ様で,何故一桁多く値段を付けるのでしょうかね。銀座の店は社長であるオーナーが実際に購入する家に出向いて,亡くなられたコレクターの家族に会って,直に良いものを購入して来ていると伺った事が有ったですが,一々外国に出向いて選び抜いて(?)入手して来た物を売っているから,其の渡航費用,そして輸送費,購入代金に,チップを払って来た,全ての費用が上乗せされている様で,ですから値段に応じて高額品に余計上乗せされているから高額になっている様です。オーナーの海外旅行費用や,食費迄上乗せされている品物を購入する気は無くなります。他の中古レコードでの商品と,同じ商品が倍以上の価格が付けられていますから。外国製の高級自動車にも乗車されており,贅沢な暮らしを営まれておられる事と思われます。此の会社のオーナーは。自分でしたら,客に贅沢をしているのを見せる様な事はもちろんせず,そのような暮らしはしません。
恐らく此の店には,行かれた事の有ると思います。具体名は述べる事は差し控えさせて頂きます。 |
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