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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2019年 03月 31日

ヨアヒム盤の回転数

ヨアヒム盤の回転数_d0090784_09412695.jpg

以前「デジタル化その8 ヨーゼフ・ヨアヒム」で、1903年G&Tのリストを示しましたが、今回、それに、C. Zwargの"Speeds & Keys" [1]から、キー、ピッチ(Hz)、回転数(rpm)のデータを拾って【 】内に記入すると、下記のようになりました。

G&T
1903, Berlin (iss 9/03)
[204y] 047903 Bach: Sonata for Violin solo no. 1 in G minor, BWV 1001: Prelude 【Gm/o, 435, 73.0】
[205y] 047904 Bach: Partita for Violin solo no. 1 in B minor, BWV 1002: Tempo di Bourée 【Bm/o, 435, 73.0】

27 August 1903, Berlin
[217y] 047905 Brahms: Hungarian Dance no. 2 in D minor (arr. Joachim) 【Dm/o, 443, 82.1】
[218y] 047906 Joachim: Romance in C Major 【C/o, 443, 79.6】
[219y] 047907 Brahms: Hungarian Dance no. 1 in G minor (arr. Joachim) 【Gm/o, 443, 78.9】

録音は2回に分けて行われたようで、前半のピッチはA=435 Hz、後半のピッチはA=443 Hzで、かなり違います。
なお、後半の録音日はケリー[2]に依りますが、上のレーベル写真の日付"27? June 1903"と、少し違います。
また、[2]には前半の録音日はありませんが、"iss 9/03"の記載があるので、9月に発売されたようです。

それでは、205yと217yの間にはどんな録音があるのか、ひょっとしてヨアヒムの未発表録音があるのではないか、という興味から[2]を見てみると、

CARL NEBE (o)
[206y] 042027 An der Weser (Pressel)
[207y] 042024 Der Rattenfänger: Wandern, ach wandern (Neuendorff)
[208y] 042028 Deutschland über alles (Haydn)
[209y] 042029 Es braust ein Ruf wie Donnerhall (Wilhelm)

MARCEL SALZER
[210y] 041000 Willi als Abiturient (Rideamus)
[211y] 041001 Willis 16 Geburtstag (Rideamus)

LUNA ORCHESTER (PAUL LINCKE)
[212y] 040500 Frau Luna: Lunawalzer (Lincke)
[213y] 040501 Lysistrata: Glühwürmchenidyll (Lincke)

KAISER FRANZ GARDE-GRENADIER REGIMENT Nr 2 (ADOLF BECKER)
mit Kommando von M LIEPOLD, Lehrer der Tanzkunst
[214] 040032 Die Fledermaus Quadrille, 1-2-3 Tour (Strauss)
[214½] 040041 do, 4-5 Tour
[215] 040033 do, 6 Tour
[215½] 040033X do, 6 Tour
[216]

であり、残念ながらヨアヒムの録音ではありませんでした。

さて、前回はハンガリー舞曲1番と2番の回転数について、TESTAMENTの復刻CD[3]に合わせて、
1番:78.0 rpm (78.9 rpm)
2番:81.5 rpm (82.1 rpm)
と推定しました。もっとも、1番に関してはSYMPOSIUMのレーベル上にも記載がありましたが。
これらはいずれも()内に示した[1]の値より少し小さくなっています。また、[1]のピッチはいずれもA=443 Hzです。
今までの経験から、復刻CDはA=440 Hzで復刻されることが多いので、TESTAMENTのピッチをA=440 Hzだと仮定して、それが443 Hzになる回転数を求めてみると、
1番:443/440*78.0=78.5 rpm
2番:443/440*81.5=82.1 rpm
となり、[1]の回転数と、ほぼ等しくなりました。

念のため、[1]の回転数で再生した時の、400 Hzから500 Hzの平均スペクトルを求めると下図のようになりました。

ヨアヒム盤の回転数_d0090784_16384150.jpg

A4のピーク周波数は、1番は444 Hz、2番は445 Hzで、予期した443 Hzより少し高い結果となりました。
1番はかなり鋭いピークですが、2番は富士山山頂のような幅があります。幅は442 Hzから450 Hzまで8 Hzあり、これはおそらく外周と内周の回転数差があるためかもしれません。
ちなみに、[1]によるA=443 Hzで82.1 rpmの時、442 Hzから450 Hzになる回転数は、81.9 rpmから83.4 rpmに相当します。
これ以上の考察には、外周から内周に至るピッチの変化を追いかける必要がありますが、面倒なのでやめておきます。


ところで、ヨアヒムの音源を置いて当ブログにリンクを張っていたGeocitiesが3月末で終了するようで、データ自体の削除は1年後とのことですが、この機会に、Yahoo Boxに移すことにしました。
ついでに、回転数を[1]に合わせることにしました。

ハンガリー舞曲第1番 
047907 [219y] Brahms: Hungarian Dance no. 1 in G minor (78.9 rpm)

ハンガリー舞曲第2番
047905 [217y] Brahms: Hungarian Dance no. 2 in D minor (82.1 rpm)

Geocitiesには、まだいくつか音源が置いてありますが、順次、移したいと思います。

References
[1] Chris Zwarg, "Speeds & Keys Vol. I Gramophone Co. (1898-1921)", Truesound Transfers (Berlin, 2018)
[2] Alan Kelly, "Matrix Series Suffix h (early use suffix-x), Recorded by WILLIAM SINKLER DARBY (1901 to 1909)", MAT104 (November, 1994)
[3] The Great Violinists - Recordings from 1900-1913, TESTAMENT SBT1323 (2012)



by ibotarow | 2019-03-31 08:17 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Comments(0)


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