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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2020年 01月 26日

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943_d0090784_08505480.jpg

以前、エネスコ/リパッティのエネスコのソナタNo. 2のルーマニア盤 ECD 61を入手して、そのぼやけた音に失望した話を書きましたが、この正月に久しぶりにebayをのぞいてみたら、同じ録音のMusical Heritage Society盤 MHS 7025/26が出ていたので、性懲りもなく、酔った勢いでポチってしまいました。

MHS 7025
Lipatti: Concertino in Classic Style for Piano and Chamber Orchestra
Allegro Maestoso - Adagio Molto - Allegretto - Allegro Molto
Dinu Lipatti (Piano) & Hans Von Benda / The Berlin Chamber Orchestra

Lipatti: Piano Sonatine for the Left Hand
Allegro - Andante Expressivo - Allegro
Dinu Lipatti (Piano)

Enesco: Adagio and Fugue (from Suite No. 1 in G Minor, Op. 3 "En Style Ancien")
George Enesco (Piano)

MHS 7026
Enesco: Sonata No. 2 in F Minor, for Piano and Violin, Op. 6
Assez Mouvementé - Tranquillement - Vif
George Enesco (Violin) & Dinu Lipatti (Piano)

Enesco: Sonata No. 3 in A Minor, for Piano and Violin, Op. 25 "Dans Le Caractère Populaire Roumain"
Moderato Malinconico - Andante Sostenuto E Misterioso - Allegro Con Brio, Ma Non Troppo Mosso
George Enesco (Violin) & Dinu Lipatti (Piano)

MHS盤はてっきり海賊盤かと思っていましたが、以前、オークレールのシューベルトを入手すると、レーベルにLicensed by Eratoと書いてあり、音も期待以上だったので、もしやと思ったのです。

この盤もLicensed by Déesseと書いてあります。
これは、フランスのDisques Déesse ‎– DDLX 40-41と同じ内容のようで、いずれも2枚目が、エネスコのソナタNo. 2とNo. 3です。

日Victorからも2枚組LP MK-1047-8が出ていて、1枚目にNo. 2とNo. 3が入っていますが、あまり迫力の無い、いかにも日本的な音のレコードです。

ルーマニアのElectrecordからは10インチ盤、
ソナタNo. 2 : ECD 61
ソナタNo. 3 : ECD 95
が出ていますが、ECD 61の音から考えて、ECD 95も期待できないでしょう。

No. 2に関しては、米MonitorからMC 2049が出ていて、これが僅差ながら、今までで一番鮮明な音だったと記憶しています。

78回転盤は、Discographie Enesco violoniste [1]によると、No. 2、No. 3とも
78t : Discoteca (Roumanie) - [Origine : Radio Roumaine]
があるようですが、番号が無いので市販されたかどうかもわかりません。

さて、くだんのMHS盤は落札後10日ほどで到着したものの、聴くのが怖くて、しばらくほっぽってあったのですが、意を決して、恐る恐る聴いてみました。

その結果はと言うと、今までのものと大差ありませんでした。やっぱり!
ただ、ピアノの低音が豊かに響きます。ヴァイオリンも心なしか表情豊かに聴こえます。
この辺はカッティング技師のさじ加減なのでしょうね。





参考までに、スペクトル上で変化が現れるかどうか、見てみることにしました。供試音源はそれぞれの冒頭4分間、ピックアップはEMI-17A、イコライザはRIAAです。
先ず2番から、最初はMHS盤とMonitor盤の比較、

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943_d0090784_10151329.jpg

全体的によく似ていますが、耳の感度が一番敏感な2~4 kHzあたりで、Monitor盤の方が数dB強調されているのがわかります。これが鮮明に聴こえた所以なのかもしれません。
次に、MHS盤とElectrecord盤の比較、

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943_d0090784_10204090.jpg

低い方はMHS盤の方が上がっています。高い方は、ルーマニア盤がもっと下がっているだろうと思ったのですが、予想に反して、あまり変わりません。4~5 kHzあたりで2~3 dBの差がありますが、これが聴感上、効くのでしょうか?
3番目は、MHS盤とVictor盤の比較、

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943_d0090784_10243629.jpg

Victor盤は、他と比べてカッティングレベルが10 dBほど低く、これがつまらない音に聴こえる一因だと思いますが、意外にも、2~4 kHzあたりでMHS盤と同じレベルになっているのがわかります。Monitor盤と同じ音作りですね。
そこで、Monitor盤とVictor盤を比較してみました。

エネスコ/リパッティのルーマニア録音 1943_d0090784_10300840.jpg

予想通り、二つはレベルは違うものの、よく似ています。Victor盤を数dB上げて再生すれば、Monitor盤と同じような音が得られるかもしれません。

最後に、3番はMHS盤とVictor盤しかないので、両者の比較、

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これは2番と違って、ほとんど平行に並んでいます。
ということは、Victor盤を10 dBほど上げて再生すれば、MHS盤と同じような音が得られるのかもしれませんが、ここまでカッティングレベルを下げるというのは、破綻を恐れる日本盤の特徴とはいえ、素材は良さそうなだけに残念な気がします。

結論としては、まあ、どれも大同小異で、4種類も集める必要はなかったということがわかったことでしょうか?

Reference
[1] http://patachonf.free.fr/musique/enesco/discographie-i.php



by ibotarow | 2020-01-26 08:17 | ヴァイオリン_電気録音 | Comments(0)


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