2020年 03月 29日
フラットエッジBLP 1008 Nと、グルーブガードエッジBLP 1008 RTのスペクトル上の特徴の一つは、15 kHz付近のピークの有無でした。 試みに重量を測ってみると、 ありゃ、困ったことになりました。ピークの周波数が微妙にずれています。B面の方が高く出ています。 それでは、このレコードを買った人はA面ばかり聴いて、すり減ったとか? これも同様の傾向で、B面の方が高い方まで伸びています。 また、スタンパーもプレスの過程で片面だけ摩耗する、ということもないでしょう。それも、製作時期の違う2枚とも。 A面とB面で何が違うかといえば、第1楽章と第2楽章ですので、登場する楽音の構成が違います。 今まで、10 kHz付近までのギザギザは、楽音の高調波成分で、それ以上の領域はギザギザが少なくなるので、これはレコードと針の接触で生ずるノイズだと思っていました。 B面の第2楽章はアンダンテなので、アレグロの第1楽章よりレベルが低いのはわかりますが、10 kHz以上がノイズだとすると、曲が何であろうと、この領域は一致するはずです。 ということは、10 kHz以上も楽音成分だということになるのでしょうか? 同じ10インチの他の例はどうかと、デ・ヴィートのブラームス:ダブルコンチェルト BLP 1028を調べてみました。 18, 19 Feb. 1952, Kingsway Hall, London フラットエッジ盤で、Tax CodeはNでした。BLP 1008 Nと同時期です。重量は143 gで、BLP 1008 Nの142 gとほとんど同じでしたので、厚みも変わらないでしょう。 ありゃりゃ、予想を裏切って、BLP 1008Nのような明瞭なピークがありません。 しかし、楽音だとしても、その高調波成分が何故かいつも15 kHz付近に集中してピークを形成する、と言うのは些か無理があります。 BLP 1008 NのA面を、EMI-17AとDL-102で比較した結果、 さすが日本製、20 kHz以上まで素直に伸びています。ピークは見られません。 しかし、N盤とRT盤でピークの出方が違う理由、10 kHz以上の領域でレベルが10 dBほど違う理由は、ピックアップのせいではなく、何かほかの原因があるはずです。 それはビニールの材質が違うからだ、という都合の良い解釈は非常に魅力的ですが、これはシロートには検証困難です。 そこで、さらなる傍証を求めて、Tax CodeがN、フラットエッジ、重量 226 gのALP盤を見つけましたので、A面とB面を比較してみます。 Wagner: Götterdämmerung; 23 June 1952, Kingsway Hall, London これはA面とB面で、録音時期もカッティングも違いますが、2つのピークは気持ち良く一致しています。 昔からEMIのフラットエッジ盤は、その古雅な音が珍重されてきました。その秘密は、15 kHz付近のピークにある、と言いたいところですが、ピークが目立たない盤もあって、結局よくわかりませんでした。
by ibotarow
| 2020-03-29 08:17
| ヴァイオリン_電気録音
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