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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2020年 06月 28日

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2_d0090784_09180453.jpg

前回、ショルティ「ラインの黄金」のSXL盤とLXT盤を聴き比べましたが、今回、そのスペクトルを比較してみます。

24-26, 29, 30 September, 1-3 & 6-9 October 1958, Sofiensaal, Vienna
WAGNER: Das Rheingold
 George London (bass-bar) Wotan
 Eberhard Wächter (bar) Donner
 Waldemar Kmentt (ten) Froh
 Set Svanholm (ten) Loge
 Gustav Neidlinger (bass) Alberich
 Paul Kuen (tenor) Mime
 Walter Kreppel (bass) Fasolt
 Kurt Böhme (bass) Fafner
 Kirsten Flagstad (sop) Fricka
 Claire Watson (sop) Freia
 Jean Madeira (mez) Erda
 Oda Balsborg (sop) Woglinde
 Hetty Plümacher (contr) Wellgunde
 Ira Malaniuk (mezz) Flosshilde
Georg Solti / The Vienna Philharmonic Orchestra

LXT 5495 [ARL-4260-2K, 1, M, KT] / [ARL-4265-1A, 10, GM, KT]
LXT 5496 [ARL-4261-2K, 1, M, KT] / [ARL-4264-1A, 21, GM, KT]
LXT 5497 [ARL-4262-1A, 21, GI, KT] / [ARL-4263-4A, 1, K, KT]

SXL 2101 [ZAL-4260-7G, 3B, GI, KT] / [ZAL-4265-5G, 2B, G, KT]
SXL 2102 [ZAL-4261-5G, 1, GK, KT] / [ZAL-4264-6G, 1, GB, KT]
SXL 2103 [ZAL-4262-5G, 21, M, K?T] / [ZAL-4263-9GR, 1, U, KT]

ピックアップはDecca FFSS Mk.II、
イコライザは、[1]によるとRIAAカーブでカットされたと明記された周波数テストレコード、
LXT.5346 [CB ARL-3435-1F, 3, NB, KT] / [CA ARL-3466-2F, 2, CN, KT]
よりマトリクス番号が後なので、取りあえず、どちらもRIAAカーブで再生します。

前回の感想、
「ステレオの方がワイドレンジでフラット感があり、繊細で、分解能が高く、弦はさわやかです。それに対し、モノラルは中高域が張り出していて、緊張感、迫力があり、声の輝かしさが目立ちます。また、ティンパニーの革の張力がステレオと全然違う感じで、もうパンパンです。」
は、かなり大げさに書いていますが、これは第6面冒頭を聴いた結果でしたので、今回も、第6面の最初4分間のスペクトルを求めます。果たしてこのような差がスペクトル上に現れるか?






ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2_d0090784_10401460.jpg

PCに取り込んだ後、左右をミックスしてスペクトルを求めました。LXTの方がカッティングレベルが大きいので、3 dB下げて比較しています。

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2_d0090784_10580523.jpg

全体的によく似ていますが、1~3 kHz辺りはLXTの方が2~3dB高く、7~8 kHz以上は逆にSXLの方が2~3dB高くなっています。これがLXT盤のティンパニーの張りや、SXL盤の弦のさわやかさに貢献しているのでしょう。

[2]によると、発売はSXL、LXTとも1959年3月なので、すでにRIAAカーブになっていると思いますが、念のため、LXT盤については、FFRRカーブでも再生してみます。
まず、RIAAとFFRRの比較を示します。

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2_d0090784_08595542.jpg

先のフラグスタート/クナッパーツブッシュと同様に、数100 Hz付近まではRIAAの方が高く、数kHz以上では逆にRIAAの方が低くなっています。

次に、FFRRのLXT盤とRIAAのSXL盤の比較を示します。
前回は、RIAAカーブで再生したLXT盤をトーンコントロールでFFRRカーブに近づけてSXL盤と聴き比べてみたところ、
「差は僅かですが、上の特徴がさらに強調され、より迫力が増したような気がします。つまり、RIAAのステレオ盤とは遠ざかる方向で、ffrrカーブではないようです。」
という感想でした。

ショルティ「ラインの黄金」SXL盤とLXT盤 その2_d0090784_18275226.jpg

低域は100~200 HzではSXL盤が高く、1 kHz付近から数kHz付近まではLXT盤が数dB高くなって、中高域が盛り上がった結果になりました。
聴感上も、LXT盤はFFRRよりRIAAの方が自然に聴こえます。しかし、RIAA同士でもSXL盤と音作りに差があるということは、前回の感想のとおりです。

という訳で、「ラインの黄金」は、SXLとLXTどちらもRIAAカーブのようで、前回の聴感結果がデータからも裏付けられました。

References
[1] DECCAにおけるRIAAカーブへの移行 http://www.ann.hi-ho.ne.jp/aria/amp/EQ-Label/EQ-Label-Decca-WEB.htm
[2] The Vienna Philharmonic on Decca https://www.deccaclassics.com/html/deccaclassics/lyrics-download/vpo-on-decca-classics-discography.pdf


by ibotarow | 2020-06-28 08:13 | 男声_電気録音 | Comments(0)


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