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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2021年 05月 30日

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08381743.jpg

Victor Maurel (1848-1923)の次は、やはりこの人Lilli Lehmann (1848-1929)のOdeon盤を。

リリ・レーマンのディスコグラフィーはまだ作っていなかったので、この機会に[1-4]を参考にして作りました。


Lilli Lehmann ODEON Recordings

29 June 1906, Berlin, w. Fritz Lindemann (p)
[xB 1304] 50094 Auf dem Wasser zu singen (Schubert), IRCC Q, S 9002, HMB 59 (77)
[xB 1306] 50078 EGMONT: Freudvoll und leidvoll (Beethoven), O-5603, IRCC Q, S 9002
[xB 1307] 50071 Long, long ago (Bayly)

19 July 1906, Berlin, w. Fritz Lindemann (p)
[xB 1470] 50100 Im Kahne (Grieg)
[xxB 1473] 80003 LA TRAVIATA: Aria (Violetta) "A me fanciulla, un candido" (Verdi)
[xB 1475] 50097 Robin Adair (Irish trad.)

20 July 1906, Berlin, w. Fritz Lindemann (p)
[xB 1476] 50096 Ave Maria (Bach-Gounod) w. flute
[xxB 1477] 80004 Der Erlkönig (Schubert)
[xB 1478] 50098 DON GIOVANNI: Don Ottavio, son morta (Mozart), R 0522, Ux 52577
[xB 1479] 50099 DON GIOVANNI: Or sai che l'onore (Mozart), R 0522, Ux 52578

18 June 1907, Berlin, w. orch / Friederich Kark (cnd)
[xB 2976] 50353 LA TRAVIATA: Aria (Violetta) "A me fanciulla, un candido" (Verdi), R 0525, Ux 52741
[xB 2977] 50354 LA TRAVIATA: Aria (Violetta) "Sempre libera degg'io" (Verdi), R 0525, Ux 52742
[xB 2978] 99655 NORMA: Cavatina (Norma) "Casta Diva che inargenti" (Bellini), 99737, Ux 52698
[xxB 2980] 80008 DIE ENTFÜHRUNG AUS DEM SERAIL: Arie (Konstanze) "Ach, ich liebte, war so glücklich" (Mozart), AA 57896
[xB 2981] 50398 DON GIOVANNI: Or sai che l'onore (Mozart), R 0523

22 June 1907, Berlin, w. orch / Friedrich Kark (cnd)
[xB 3045] 50396 DON GIOVANNI: Non mi dir, bell'idol mio (Mozart), R 0529, Ux 52575, HM 105 (74)
[xB 3046] 50399 DON GIOVANNI: Forse un giorno il cielo (Mozart), R 0529, Ux 52577, HM 105 (74)
[xB 3047] 50374 LA TRAVIATA: Finale (Violetta) "Alfredo, Alfredo, di questo core" (Verdi), Ux 52699
[xxB 3048] 80005 DIE ENTFÜHRUNG AUS DEM SERAIL: Arie (Konstanze) "Martern aller Arten" (Mozart), AA 57895
[xB 3049] 50356 FIDELIO: Recitativ und Arie (Leonore) "Abscheulicher! Wo eilst du hin?" (Beethoven) , Ux 52597, HMB 59 (74)
[xxB 3050] 80006 FIDELIO: Recitativ und Arie (Leonore) "Komm, Hoffnung, laß den letzten Stern" (Beethoven), AA 79003, UAA 79300, HMB 60 (74)
[xxB 3051] 80007 FIDELIO: Recitativ und Arie (Leonore) "Ich folg' dem innern Triebe" (Beethoven), AA 79004, UAA 79301, HMB 60 (74)

25 June 1907, Berlin, w. orch / Friedrich Kark (cnd). except description
[xB 3060] 50357 LE NOZZE DI FIGARO: Wenn die sanften Abendlüfte (Mozart) w. Hedwig Helbig (S), Ux 52605
[xB 3061] 50397 COSÌ FAN TUTTE: Duetto (Fiordiligi, Dorabella) "Ich erwähle mir den Muntern" (Mozart) w. Hedwig Helbig (S) , Ux 52600
[xB 3063] 50358 NORMA: Duetto (Norma, Adalgisa) "Ah, sì, fa core, abbracciami" (Bellini) w. Hedwig Helbig (S), Ux 52606
[xB 3065] 50355 Le crucifix - Duo réligieux (Faure) w. Hedwig Helbig (S) & Friedrich Kark (p), Ux 52598, IRCC 204

2 July 1907, Berlin, w. Fritz Lindemann (p)
[xB 3133] 50372 LIEDERKREIS 2: Intermezzo (Schumann), IRCC N. S 9003
[xB 3135] 50373 LIEDERKREIS 5: Mondnacht (Schumann), IRCC 37, S 9003
[xB 3137] 50432 Du bist die Ruh' (Schubert), IRCC M, IRCC N, S 9001
[xB 3138] 50389 Heidenröslein (Schubert), S 9001
[xB 3139] 50391 Frohe Botschaft ("Kommt a Vogerl geflogen") - Volksweise, S 9004
[xB 3140] 50433 MEIN RHEIN (Bungert) 4: Die Loreley, IRCC 204, S 9004
[xB 3142] 50390 Die Liebe (EGMONT: Freudvoll und leidvoll) (Schubert), IRCC M
[xB 3143] 50392 JOSHUA: O hätt' ich Jubals Harf (Händel), IRCC P
[xB 3144] UNP Das Veilchen (Mozart)

5 July 1907, Berlin, w. orch / Fritz Lindemann (cnd)
[xxB 3145] UNP TRISTAN UND ISOLDE: Liebestod (Wagner)
[xB 3147] 50393 DIE WALKÜRE: Liebeslied (Sieglinde) "Du bist der Lenz" (Wagner), PO 63, IRCC P, S 9005
[xxB 3148] 80009 ROBERT LE DIABLE: Cavatine (Isabelle) "Robert! Robert, mein Geliebter!" (Meyerbeer), IRCC R
[xB 3149] 50394 LES HUGUENOTS: Air (Marguerite) "O glücklich Land" (Meyerbeer), O-5603, IRCC 37
[xB 3150] 50395 LE NOZZE DI FIGARO: Heil'ge Quelle reiner Triebe (Mozart), R 0523, PO 63, S 9005

Autumn 1907 or June 1908, Berlin, w. orch
[xB 3662-2] UNP NORMA: "Deh! non volerli vittime" (Bellini) w. Hedwig Helbig (S)
[xxB 3663] UNP NORMA: Duetto (Norma, Adalgisa) "Mira, o Norma, a tuoi ginocchi" (Bellini) w. Hedwig Helbig (S)

再プレス盤はOdeon[5]、IRCC[6]、HRS[7]、Historic Masters[8]等[から出ていますが、日本コロムビアのS 9000シリーズのようにダビング盤もありますので、ご注意を。

さて、今回の怪しいビニール盤は、リスト中、曲名を太字で示した、ドン・ジョバンニ両面盤で、ドンナ・アンナのアリアの前半と後半です。
前半のxB 3045は、盤面にレーマンのサインらしきものがあるし、原盤からのプレスだと思うのですが、後半のxB 3046はサインが無く、マトリクスの書体も異なり、しかも書き直しの跡が見られます。盤面はマット加工されたようなツヤ消しで、xB 3045のようなリードアウト溝はありません。ダビングでしょうか?

それはともかく、回転数は取り合えず、Historic Masters HM105記載の数値[8]を信用して、74 rpmで再生し、Symposiumの復刻CD[4]と比較します。

その前に、Symposiumのピッチの妥当性を見るため、Marston[9]に1曲だけ入っている、
[xxB 3145] TRISTAN UND ISOLDE: Liebestod (Wagner)
と比較してみます。
結果は、

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_14391475.jpg

となりました。
Marstonの方がちょっと高いようですが、Symposiumのピッチは、そんなに的を外れたものでもなさそうです。
もっとも、似ていたからといって、これで正しいということにはなりませんが、多少の安心感は得られました。

それでは先ず、前半のxB 3045の平均スペクトルを復刻CD[4]と比較すると、

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08124507.jpg

となりました。
CDは、低い方は約1 kHz以下でレベルを上げ、高い方は約2 kHz以上ではレベルを下げる音作りがなされているようです。
スクラッチノイズをビニール盤以下に落とす必要があるのか、と個人的には思いますが。
ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08124525.jpg

となりました。
両者のピッチはほぼ合っていると言えます。





リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08381727.jpg

次に、後半のxB 3046の平均スペクトルを復刻CD[4]と比較すると、

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08124441.jpg

となりました。
レコードの約3 kHz以上の凹凸が、前半のxB 3045より目立ちます。特に5 kHz、6 kHz、7kHz近辺の共振らしきピークは、ラッパ吹込みではあまり見かけたことはありません。
前半と聴き比べてみると、声が歪みっぽい気がするのですが、中古ビニール盤ですので、溝が傷んでいるせいかもしれません。
CDの音作りの傾向は、xB 3045と同様です。
ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

リリ・レーマンの怪しいビニールプレスOdeon_d0090784_08124547.jpg

となりました。
ピッチは、レコードの方が少し高いようです。
440 Hz近辺のピークを比較すると、
Vinyl: 約440 Hz
CD: 約435 Hz
となりました。いずれも尤もらしい数値ですね。

という訳で、後半[xB 3046]はCDと多少差はありましたが、当初の回転数74 rpmで再生した音源を以下にアップします。



繰り返しを含む歌詞[10]と、DeepLによる機械翻訳を交互に並べると、
前半:
Non mi dir, bell'idol mio,
Che son io crudel con te.
私の美しい天使よ、私があなたに残酷なことをしているとは言わないでください。
Tu ben sai quant'io t'amai,
Tu conosci la mia fé.
Tu conosci la mia fé.
私がどれだけあなたを愛していたか、私の信念を知っているはずです。
Calma, calma il tuo tormento,
Se di duol non vuoi ch'io mora.
Se di non vuoi ch'io mora.
non vuoi ch'io mora.
落ち着いて、苦悩を静めて、私を悲しませて死なせたくないなら。
Non mi dir, bell'idol mio,
Che son io crudel con te.
私の美しい天使よ、私があなたに残酷なことをしているとは言わないでください。
Calma, calma il tuo tormento,
Se di duol non vuoi ch'io mora.
non vuoi ch'io mora.
落ち着いて、苦悩を静めて、私を悲しませて死なせたくないなら。

後半:
Forse forse un giorno il cielo ancora
Sentirà sentirà pietà di me.
いつの日か、天が再び私に同情してくれるかもしれません。
Forse un giorno il cielo ancora
Sentirà ~~~~~ pietà di me.
Sentirà pietà pietà di me.
Sentirà pietà di me.
いつの日か、天が再び私に同情してくれるかもしれません。
Forse forse il cielo un giorno
Sentirà pietà di me.
Sentirà pietà di me.
Pietà pietà di me.
いつの日か、天が再び私に同情してくれるかもしれません。


References
[1] J. Dennis, "Lilli Lehmann Discography", The Record Collector, Vol. 26, Nos. 9 & 10 (May 1981)
[4] Complete Recordings Lilli Lehmann, SYMPOSIUM 1207 & 1208 (1997)
[5] Desmond Shawe-Taylor (Co-Sponsor with 'The Gramophone')
by Tom Peel & John Stratton, "Seventy Years of Issues, Historical Vocal 78rpm Pressings from Original Masters 1931 - 2001", (Dundurn Press, Toronto, 2001) p. 12
[9] Mahler’s Decade in Vienna, Singers of the Court Opera 1897-1907, Marston 53004-2 (2003)


by ibotarow | 2021-05-30 08:24 | 女声_ラッパ吹き込み | Comments(9)
Commented by 信一 at 2021-06-06 21:40 x
いぼたろう様
こんばんは、リリー・レーマンの記事を読んで、かなり前格安でヤフオクした国内盤数枚を思い出し、かけてみました。S9000台のダビング盤ですが、正直ヒステリックで感心しない歌に聞こえていました。しかし、78回転で聞いていたからかと思い出し、まず、野ばらの前奏を聴きながら感でスピードを合わせてみたところ、74.4でした。いぼたら王様の記事から、これは、74回転でかけるのが正解なんだろうと予想して、74回転で回して録音してみました。
若干サウンドボックスに共鳴するところが出てベストではないですが、聞ける音に放ったようです。
したのURLからダウンロードできますので、聞いていただけると嬉しいです。蓄音機HMV-157サウンドボックス5B鉄針カーボン入り
https://xgf.nu/qxq2
あと、3枚ほどあるので、後日録音してみます。
Commented by ibotarow at 2021-06-07 07:51
信一さま、
4曲とも聴かせていただきました。いずれもスッキリした音に仕上がっていますね。
実は先日、S 9002 Auf dem Wasser zu singenを、Historic Masters HMB 59と比べてみたところ、回転数は約73.5 rpmとなりました。
近日中に記事をアップする予定です。
Commented by 信一 at 2021-06-07 11:57 x
水の上にて歌うの74回転です。
盤の状態なのか、ちょっとしょわしょわします。
73.5が正解ですか、奥深いですね。また、挑戦してみます。
https://www.dropbox.com/s/c1msm1idn83glkh/%E6%B0%B4%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E3%81%A6%E6%AD%8C%E3%81%88%E3%82%8B.flac?dl=0
Commented by ibotarow at 2021-06-08 07:20
信一さま、
「水の上にて歌う」の音源ありがとうございます。
74と73.5でピッチの違いはわかりませんでしたが、蓄音機再生と電気再生、それぞれの音色の違いと表現の違いを楽しめました。
Commented by 信一 at 2021-06-08 10:06 x
いま、マイカ振動版のNo4というサウンドボックスを使えるようにアタッチメントを作成中です。ジェラルミンの振動版の5Aや5Bは情報量が多いのですが、盤によっては聞こえなくてもいい音が聞こえてしまいます。No4は電気録音用に考案された最後期のマイカサウンドボックスで、だいぶ印象が変わります。まだ、実験段階ですが、野ばらをNo4で録音してみました。73.5回転です。少し娘っぽい声になりました。(笑)
https://www.dropbox.com/s/yt66o4bs37e531z/%E9%87%8E%E3%81%B0%E3%82%8973.5%E3%80%80%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AB%E6%8C%AF%E5%8B%95%E7%89%88.flac?dl=0
Commented by ibotarow at 2021-06-09 07:03
信一さま、
No.4の「野ばら」を聴かせていただきました。以前の5Bのものと比べると、おっしゃるようにNo.4の方は余計な音が聴こえず、音楽のエッセンスだけ聴こえてくるような気がします。
S9000シリーズは電気復刻ですが、元は1907年のラッパ吹込みなので、ナローレンジの方が適しているんでしょうね。
No.4用のアタッチメントは昔ebayで入手しましたが、今はどうでしょうか?
Commented by 信一 at 2021-06-09 11:38 x
No4のアタッチメントというのは知りませんでした。EBAY見てみましたが、今は出ていないようです。今、自分で設計して3Dプリンターで試作しています。単純につなげるとオーバーハングが狂うので、その辺をいくつか作って、音を聞いて判断しようと思っています。
マイカは、周波数レンジは結構広いですが、5000Hz付近の密度がジェラルミンに比べて下がるようです。そのへんが聞きやすさの秘密かもしれません。欠点は、飽きが来る音だということです。(笑)
リリーレーマンについては、張り上げた高音が妙に共鳴するのが気になって、マイカもありかと思った次第です。このへんの相性はありますね。私の好きなレートベルグは、5Aの特性とドンピシャで蓄音機だと実に気持ちよく聞けます。
アタッチメントは今日にはできますので、またアップします。
ところで、ニキシュ伴奏のゲルハルトを聞きたいのですが、再アップしていただけないでしょうか?
新星堂のCDは高温けづり過ぎで、ニキシュのピアノがわかりません。ぜひお願いします。
Commented by ibotarow at 2021-06-09 14:31
信一さま、
なんと、3Dプリンターですか、なるほど、時代は変わる、ですねえ。
アタッチメントは、No.4とともに人にあげてしまったので、もう手元にはありませんが、下記の写真をご覧ください。
https://ibotarow.exblog.jp/5299398/
アメリカのおじさんが自分で旋盤回して加工したようです。

ニキシュ伴奏のゲルハルトは、Historic Mastersの版権がどうなっているのかわからないので、再アップを控えます。
非公開コメントでメールアドレスをいただければ、個人的にお送りします。
Commented at 2021-06-09 17:10 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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