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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2021年 06月 27日

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone


ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08201451.jpg


Lilli Lehmann (1848-1929)の次は、無銘白レーベルつながりで、Luisa Tetrazzini (1871-1940)のビニールプレスGramophone盤を。

テトラツィーニのディスコグラフィーはまだ作っていなかったので、この機会に作ろうと思いましたが、詳細なディスコグラフィー[1]を見つけました。回転数も書いてあるし、レーベル写真もあります。
これに敬意を表して、屋上、屋を架す愚は避けたいと思います。というか、124面もあるので、気力が、、
せめて、1907年のGramophone最初のレコーディングセッションだけを抜き出すと、


Luisa Tetrazzini GRAMOPHONE 1907 Recordings

20 Dec. 1907, London, w. orch. Percy Pitt (dir), 78 rpm
[2170f] 053141 Rigoletto: Caro nome (Verdi), 92014
[2171f] 053142 Mignon: Io son Titania (Thomas), 92015, 15-1001
[2172f] 053150 Lakmé: Dov'è l'Indiana bruna (Delibes), 92016
[2175f] 053143 Dinorah: Ombra leggiera (Meyerbeer), 92017, 88298
[2176f] 053144 Lucia di Lammermoor: Splendon le sacre faci (Donizetti), 92018
[2177f] 053145 Nozze di Figaro: Voi che sapete (Mozart), 92019, 88300, 15-1001【B/o, 439, 76.9
[2178f] 053146 Barbiere di Siviglia: Una voce poco fa (Rossini), 92020
[2179f] 053147 Traviata: Sempre libera (Verdi), 92021
[2180f] 053148 Don Giovanni: Batti, batti (Mozart), 92022 【F/o, 439, 77.0


今回の出処不明のビニール盤は、曲名を太字で示した2面です。
いずれも手書きのマトリクスが刻まれているので、オリジナル原盤からのプレスだと思いますが、確証はありません。
そこで、Voi che sapeteは、由緒正しい?ビニール盤(RCA Victor 15-1001)がありますので、盤面を比較してみると、


ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08201430.jpg


マトリクスの筆跡は同一のようです。
リードアウト溝は後から付けられたのでしょう。HMVのVA・VB盤にも付いていますが、金属原盤にどうやって付けたかは皆目見当が付きません。
ちなみに、このRCA VictorのHeritage Series は[2]によると、1947年から49年にかけて、赤い透明ビニールにプレスされ、金色の個別ジャケットで発売されました。

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_07580554.jpg


回転数は、[1]によると、このセッションは全て78 rpmと記載されていますが、C. Zwargの"Speeds & Keys"[3]から、キー、ピッチ(Hz)、回転数(rpm)のデータを拾って、上のリストの【 】内に記入すると、77 rpm前後の若干遅い値になりました。




1曲目は、フィガロの結婚からケルビーノのアリア Voi che sapeteです。
全体の平均スペクトルを、77 rpmで再生した2枚のレコードとEMIの復刻CD[4]を比較すると、

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08290747.jpg

となりました。
2枚のレコードのスクラッチノイズ領域のレベルは、意外にも、古いRCA Victorの方が低い結果になりました。ビニールの材質が関係しているのでしょうか?聴き比べると、HMV No.5AとVictor Orthophonicサウンドボックスの音色の差に似ている気がします。
復刻CDは、2 kHz付近以下の低域を持ち上げ、3 kHzを越えたあたりから上は急激に落としています。昔の東芝GR盤のような、古いタイプの復刻盤の音作りです。
ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08290718.jpg

となりました。
2枚のレコードはほとんど一致していますが、細かい凹凸には差が見られます。溝の状態が微妙に違うのでしょう。
復刻CDは、おそらく[1]と同じ78 rpmで再生しているようで、その分だけ高く出ています。


ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08201333.jpg


2曲目は、ドン・ジョバンニからツェルリーナのアリア Batti, batti です。
全体の平均スペクトルを、77 rpmで再生したレコードとEMIの復刻CD[4]を比較すると、

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08290712.jpg

となりました。
レコードのスクラッチノイズ領域の特性は、2177fより平坦です。特に4.2 kHz付近に見られたピークがありませんが、あれは楽音とは思えず、録音システムの何らかの共振だったのでしょうか?
復刻CDの音の傾向は2177fと同様です。
ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

ルイザ・テトラツィーニのビニールプレスGramophone_d0090784_08290700.jpg

となりました。
こちらも復刻CDは、2177fと同じ78 rpmのようです。
レコードのA4に相当するピークは、436-437 Hz付近で、[3]に記載の439 Hzより2, 3 Hz低くなっています。この原因を探るには、内外周の速度差等を追いかける必要がありますが、面倒なのでやめておきます。

という訳で、EMIの復刻CD[4]と若干の差はありますが、より新しいC. Zwarg[3]を尊重して、77 rpmで再生した音源を以下にアップします。

20 Dec. 1907, London, w. orch. Percy Pitt (dir)

参考音源として、RCA Victor盤もアップします。


References
[1] René Aagaard, "Coloratura soprano Luisa Tetrazzini, An illustrated discography of her 78 rpm recordings" (2015) http://www.the-discographer.dk/opera/tetrazzini-disko.pdf
[2] Tyrone Settlemier, "RCA Victor 15-prefix series" https://78discography.com/RCA151000.htm
[3] Chris Zwarg, "Speeds & Keys Vol. I Gramophone Co. (1898-1921)", Truesound Transfers (Berlin, 2018)
[4] Luisa Tetrazzini - The London Recordings, EMI CHS 7 63802-2 (1992)




by ibotarow | 2021-06-27 08:22 | 女声_ラッパ吹き込み | Comments(0)


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