2021年 08月 15日
ヤン・クーベリックのディスコグラフィーは以前作りましたので、そこから1903年のG&Tセッションを抜き出すと、 Jan Kubelik G&T 1903 Recordings 1903.11.21, London [4601b] 7967 Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate) 47954 77914 【D, 452, 74.2】 [4602b] 7968 Carmen Suite: Chanson bohème (Bizet-Sarasate) 27956 37941 47955 77915 【E, 452, 74.5】 [4603b] Cadenza to Paganini (Émile Sauret) [4604b] destr do [4605b] 7961 Theme & Pizzicato - Nel cor non più mi sento (Paisello-Paganini) 27958 37940 【G, 452, 75.3】 今回の出処不明のビニール盤は、曲名を太字で示したカルメンのハバネラです。 これは20年ほど前、初めて体験したビニールプレスのSP盤で、当時、その鮮烈な音、特にピチカートの生々しさに驚きました。原盤にはこれほどの音が入っていたのかと。 盤面にはマトリクス番号が刻印されているほか、手書きの文字もあります。f w gは、Fred Will Gaisbergのサインでしょうか?他にもⓍのような謎の記号があり、サフィックスa, b, cのトリニティシステム[1]になる前は、好き勝手なフォーマットで書いていたことが窺えます。 その後、C. Zwargの"Speeds & Keys"[2]から、キー、ピッチ(Hz)、回転数(rpm)のデータを拾うと、上のリストの【 】内に示したように、74~75 rpm前後の値になりました。 ハバネラの回転数は、[2]にしたがって約74 rpmで再生すれば良いのかもしれませんが、せっかく、約72 rpmで再生した音源があるので、とりあえずこれと、2種類の復刻CD[3, 4]と比較してみます。 まず、全体の平均スペクトルを見ると、 ![]() となりました。 72 rpm再生のビニール盤は、A4=440 Hzとなるようにしたので、当然そこにピークが来ていますが、2種類の復刻CDのA4は、 Biddulph CD: 約444 Hz Symposium CD: 約436 Hz となり、約4 Hzずつ離れて、ビニール盤の前後に分布する結果となりました。 さて、愈々74 rpmで再生して復刻CDと比較すると、 ![]() となりました。 ビニール盤のA4は、約452 Hzで、[2]の値と一致しています。C. Zwargは、クーベリックG&T補遺で書いたように、20世紀初めのG&TロンドンスタジオのピッチA=452には、自信があるようです。 という訳で、Carmen: Habaneraを74 rpmで再生した音源を下記にアップしました。 References [1] Alan Kelly, Gramophone Company Matrix Series suffixed a/b/c, recorded by Frederick William Gaisberg et al, 1900 to 1919, MAT102 (2002) [2] Chris Zwarg, "Speeds & Keys Vol. I Gramophone Co. (1898-1921)", Truesound Transfers (Berlin, 2018) [3] Jan Kubelík, The Acoustic Recordings 1902-1913, BIDDULPH LAB 033-34 (1994) [4] The GREAT VIOLINISTS Volume II - JAN KUBELIK, SYMPOSIUM 1072 (1991)
by ibotarow
| 2021-08-15 08:20
| ヴァイオリン_ラッパ吹き込み
|
Comments(2)
[4601b] Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate)_74 を聴かせていただきましたが、これが1903年の録音とは!びっくりです。ヴァイオリンよりもピアノの音の生々しさに。電気録音かと思いました。
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Loreeさん、
ご無沙汰しています。ビール界でのご活躍はいつもFBで拝見しています。 このたびは、ラッパ吹込みビニールプレスの魅力を伝えていただき感謝です。 あんなプリミティブな装置で、こんな生々しい音が捉えられるとは本当に驚きです。 |
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