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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2021年 08月 29日

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T_d0090784_13583820.jpg


無銘ビニールプレス盤シリーズは、前回のクーベリックで終わりにするつもりでした。
ヨアヒムのハンガリー舞曲のビニール盤については、クーベリックほど鮮明な音でもないし、過去4回書いたので、もういいかなと思ったのです。特に4回目は、C. Zwargの"Speeds & Keys" [1]に準拠した回転数で再生した音源を公開しました。
しかし、それらの音源は、いずれもリンク切れとなっていますし、復刻CDとの比較もしていません。
そこで、「怪しいビニールプレス盤」シリーズの締め括りとして、二番煎じになりますが、Joseph Joachim (1831-1907)のビニールプレスG&Tを。

ヨアヒムの録音リストを再掲すると、

Joseph Joachim G&T Recordings

1903, Berlin (iss 9/03)
[204y] 047903 Bach: Sonata for Violin solo no. 1 in G minor, BWV 1001: Prelude 【Gm/o, 435, 73.0】
[205y] 047904 Bach: Partita for Violin solo no. 1 in B minor, BWV 1002: Tempo di Bourée 【Bm/o, 435, 73.0】

27 August 1903, Berlin
[217y] 047905 Brahms: Hungarian Dance no. 2 in D minor (arr. Joachim) 【Dm/o, 443, 82.1】
[218y] 047906 Joachim: Romance in C Major 【C/o, 443, 79.6】
[219y] 047907 Brahms: Hungarian Dance no. 1 in G minor (arr. Joachim) 【Gm/o, 443, 78.9】

【 】内のデータは、[1]による、キー、ピッチ(Hz)、回転数(rpm)です。
これにしたがって、1番を約79 rpmで、2番を約82 rpmで再生し、PearlとTestamentの復刻CD[2, 3]と比較してみます。

最初は、マトリクスを消した跡のある、怪しい無銘プレスのハンガリー舞曲第2番から、まず全体の平均スペクトルを見ると、

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T_d0090784_09160897.jpg

となりました。
ここで特徴的なのは、Testamentの復刻CDで、1.8 kHz付近でノッチフィルタを入れたように20 dBほど落ち込んでいます。理由はわかりませんが、音質的には、マスク越しにしゃべっているような、くぐもった音です。高い方は、約3 kHz以上をカットしていますが、5 kHz以上に奇怪なうねりが見られます。
Pearlの復刻CDは、高い方はレコードとよく似ており、スクラッチノイズも全く落としていません。低い方は、レコードに比べて400 Hz付近から下をブーストしています。
3種類の中では、レコードが一番スッキリしています。

次に、ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T_d0090784_09321304.jpg

となりました。
約82 rpm再生のビニール盤と、2種類の復刻CDのA4は、
Vinyl_82: 445 Hz
Testament CD: 約444 Hz
Pearl CD: 436 Hz
となり、Testamentはレコードとわりと近い値ですが、Pearlは半音の半分近く低い結果となりました。


2枚目は、怪しくないSymposiumプレスのハンガリー舞曲第1番で、まず全体の平均スペクトルを見ると、

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T_d0090784_09025472.jpg

となりました。
Testamentの復刻CDには、2番で見られたような落ち込みは無く、レベルはレコードとよく似ています約3 kHz以上を約-12 dB/octでカットしているのは2番と同様ですが、5~6 kHz付近に、聴感上は影響しないでしょうが、意味不明の落ち込みが見られます。
Pearlの復刻CDは、高い方はカットせず、レコードと似ていますが、低い方は200 Hz付近で10 dB以上ブーストしています。このためか、音質的にもレコードより鈍い音になっています。

次に、ピッチを見るため、中域を拡大表示すると、

ヨーゼフ・ヨアヒムの怪しいビニールプレスG&T_d0090784_09321377.jpg

となりました。
約79 rpm再生のビニール盤と、2種類の復刻CDのA4は、
Vinyl_79: 444 Hz
Testament CD: 約439 Hz
Pearl CD: 434 Hz
となり、高い方から、レコード、Testament、Pearlの順に、4~5 Hzの間隔で並ぶ結果となりました。
回転数に換算すると、
Testament CD: 約78 rpm
Pearl CD: 77 rpm
となり、Symposium盤をレーベル上の表記にしたがって78 rpmで再生すると、Testament CDのピッチとほぼ等しくなるようです。

という訳で、[1]によるピッチA=443より少し高くなりますが、Hungarian Dance no. 282 rpmで、Hungarian Dance no. 1を79 rpmで再生した音源を下記にアップしました。



Reference
[1] Chris Zwarg, "Speeds & Keys Vol. I Gramophone Co. (1898-1921)", Truesound Transfers (Berlin, 2018)
[2] Joseph Joachim - The Complete Recordings (1903) / Pablo de Sarasate - The Complete Recordings (1904) / Eugène Ysaÿe - A Selection of His Recordings (1912), Pearl 9851 (1993)
[3] The Great Violinists - Recordings from 1900-1913, TESTAMENT SBT1323 (2012)


by ibotarow | 2021-08-29 08:29 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Comments(0)


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