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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2007年 05月 13日

Suzanne Adams (1872-1953)

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1872年マサチューセッツ州ケンブリッジで生まれる。
パリでマルケージに師事、いわゆるMarchesi pupilの一人。
1895年パリ・オペラ座にデビュー。
1898年ロンドン・コベントガーデンにデビュー。同年、ドボルザークのチェロ協奏曲の初演者、レオポルド・スターンと結婚。
1899年ニューヨーク・メトロポリタンにデビュー。
1904年、スターンは42歳で亡くなり、アダムスは次のシーズンは喪に服して歌わなかった。
1906年、2,3の出演の後、事実上の引退となった。

1902年6月、コベントガーデン出演でロンドンに滞在中、G&Tに吹き込み、そのうち5面が発売された。1902年の"The London Reds"51枚の中の一群である。
Red labelのG&Tは2年間のみで、その後、いくつかのタイトルはblack labelカタログに移行したが、短期間で抹消された。
Home Sweet Homeは、別テイクが存在する。なお、下記の右端の数字は推定回転数である[1]。

Red label G&T, London, June 1902
3291 [2035-G] Jewel Song, Faust (Gounod), 5004, 76
3292 [2036-FG] Coquette (Stern), 5005, 91004, IRCC 98, 75/76
3293 [2037-nB] Valse Aria, Romeo et Juliette (Gounod), 5007, 91006, IRCC 98, 75/76
3294 [2149-W, 2149] Home Sweet Home (Bishop), 5006, 91005, 75
3295 [2151 W2] Printemps Nouveau (Vidal), 76

1903年アダムスは米国に滞在中、Columbiaに7枚の吹込みを行った。そのうち、5タイトルはG&Tと重複する。また、3タイトルについてはテイク2が存在する[2]。

Black & Silver Columbia, U.S.A., January 1903
1193 [1193-1, 2] Home Sweet Home (Bishop)
1194 [1194-1] Sunbeams (Ronald)
1195 [1195-1] Printemps Nouveau (Vidal)
1196 [1196-1, 2] Obstination (Fontenailles) acc. by Leo Stern
1197 [1197-1] Romeo et Juliette: Je veux vivre (Gounod)
1198 [1198-1, 2] Coquette (Stern)
1243 [1243-1] Faust: Aria di Gioielli (Gounod)

P.G.Hurst[3]によれば、これらColumbia盤は、音質、回転数ともに不満足なもので、無視して差し支えないと書いている。事実、ディスコグラフィーにもG&Tしか載せていない。
一方、John Stratton[4]によれば、G&TとColumbiaの間には、声や歌い方にほとんど差がなく、アダムスのベスト・スリーは、"Obstination"、Columbia"Printemps Nouveau"、Columbia"Jewel Song"だと、いずれもColumbia盤をあげている。

他には、1898年、ニューヨークでベッティーニ・シリンダーに吹き込んだそうであるが、mr.hmvさんの調査によると、[5]には次の5タイトルがあげられ、

Faust : Air de bijoux (Gounod)
Mignon : Polonaise (Thomas)
Rigoletto : Piangi, fnciulla (w Campanari) (Verdi)
Romeo et Juliette : Valse (Gounod)
Valse Printemps (Stern)

さらに[6]には、上に加えて次の2タイトルがあげられている。
Printemps nouveau (Paul Vidal)
Valse de Mireille (Leo Stern )

また、[7]によると、1898年にベルリーナに"Jewel Song"を吹き込んだとあるが、他の資料には出てこない。
メイプルソン・シリンダーの吹き込みに関しては、ニューヨーク公立図書館から出された復刻LPのリストとして下記があげられる[8]。

Le Cid (Infanta): Side 3/Bands 5, 7, 8: Side 12/Band 5a(?)
Faust (Marguerite): Side 1/Bands 4, 10
Huguenots (Marguerite De Valois): Side 2/Bands 1, 3
Stern: Printemps: Side 4/Band 11

写真のレコードは、夫君作曲の"Coquette"である。今までオリジナルG&Tを入手しようと、何度かオークションでチャレンジしたが、いずれも叶わなかった。Victorは1903年3月に5000番台で4枚発売しているが、これは1903年10月発売の91000番台の2回めのプレスなので、リーズナブルな価格で入手することができた。
これは、上記のユグノーのメイプルソン・シリンダーと声の扱い方が似ているので、メルバのものといわれてきたシリンダーがアダムスのものであると特定する根拠になった吹き込みである[3]が、若々しい輝きのある声と、Marchesi pupil特有のバードライクな歌い方が魅力的である。

なお、この稿を書くに当たっては、mr.hmvさんから多くの資料の提供を受けた。ここに謝意を表する。

References
[1] L. Hevingham-Root, "The London Red G&Ts of 1902", The Record Collector,Vol.XIII, Nos.1,2 (1960) 11-16.
[2] Tim Brooks and Brian Rust , "The Columbia Master Book Discography"
http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page136.html
[3] P. G. Hurst, "The Golden Age Recorded", (Published by the auther, Eaton Thorne Henfield, Sussex 1946) pp.44.
[4] J. Stratton, "About Suzanne Adams", The Record Collector, Vol. 34, Nos. 5,6,7 (1989) 154-157 & 160.
[5] Victor Girard and Harold M.Barnes, "Vertical-cut Cylinders and Discs"
http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page016.html
[6] Bettini Catarogue No.11 - Juin 1901
http://www1.pbc.ne.jp/users/hmv78rpm/page124.html#lcn026
[7] 藤田不二、”歴史的レコード アメリカ編”、(レコード音楽社、1940)4-7.
[8] http://digilib.nypl.org/dynaweb/millennium/mapleson.

by ibotarow | 2007-05-13 08:09 | 女声_ラッパ吹き込み | Comments(0)


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