2007年 05月 19日
1923年3月23日と1924年5月29日、ロンドンでAeolian Vocalionに吹き込んだ。 10インチ(prefix L)12面、12インチ(prefix C)12面で、それぞれ2テイクあり、半数が発売された。 1923年の録音は最初は片面盤で、後に両面盤で発売され、1924年のものについては両面盤のみ発売された。 なお、写真のように、米Aeolian Vocalionから発売された盤(70030)には、カーボン・ブラックが入っていないため、シェラックそのものの茶色の盤である(赤色の顔料を加えたという説もある)。21011および38017は未確認、英国盤は普通の黒色盤である。 13. 23rd March, 1923, Aeolian Vocalion recordings, London, acc. by Ivor Newton (78 rpm)(* : released take) L-5036, B-3107 [03202, 03202X] Der Tod und das Mädchen (Schubert) L-5035, B-3107 [03203, 03203X] In Kahne (Grieg) C-01092, A-0215 [03204, 03204X] Der Nussbaum (Myrthen)(Schumann) C-01093, A-0216 [03205, 03205X] Ständchen (R. Strauss) C-01095, A-0215, 70030 [03206, 03206X*] Der Erlkönig (Schubert) C-01094, A-0216, 70030 [03207, 03207X] Feldeinsamkeit (Brahms) 14. 29th May, 1924, Aeolian Vocalion recordings, London, acc. by Harold Craxton (77 rpm) A-0220, 38017 [03545, 03545X*]] An die Musik (Schubert) B-3112 [03546, 03546X] Morgen (R. Strauss) B-3112, 21011 [03547, 03547X*] Der Musensohn (Schubert) A-0220, 38017 [03548, 03548X] Sapphische Ode (Brahms) B-3115, 21011 [03549, 03549X*] Vergebliches Ständchen (Brahms) B-3115 [03550, 03550X*] Cäcilie (R. Strauss) ラッパ吹込みの最後のセッションは、1925年3月23日、24日に、ヘイズのHMVのスタジオで行われた。 10インチ16面6タイトル、12インチ4面2タイトル吹き込まれ、10インチ4面、12インチ2面が発売された。 "Die Forelle"と"Verborgenheit"は3テイク、それ以外は2テイクある。 15. 23rd March, 1925, Room No.1, Hayes, acc. by Harold Craxton (78 rpm) [Bb 5912-1,2] Die Forelle (Schubert) 7-43067, DA706 [Bb 5913-1,2*] Wohin? (Die schöne Müllerin)(Schubert) [Bb 5914-1,2] Du bist wie eine Blume (Myrthen)(Schumann) [Bb 5915-1,2] a) Frühlingsnacht (Liederkreis) b) Zum Schluss (Myrthen)(Schumann) 16. 24th March, 1925, Room No. 1, Hayes, acc. by Harold Craxton (78 rpm) [Bb 5912-3] Die Forelle (Schubert) 2-043039, DB848 [Cc 5926-1,2*] Von ewiger Liebe (Brahms) 2-043040, DB848 [Cc 5927-1,2*] Immer leiser wird mein Schulummer (Brahms) 7-43071, DA715 [Bb 5928-1,2*] Auf dem grünen Balkon (Wolf) 7-43072, DA715 [Bb 5929-1,2,3] Verborgenheit (Wolf) 7-43068, DA706 [Bb 5930-1,2] Das Lied im Grünen (Schubert) 翌年の1926年2月11日のセッションから電気録音になるが、カタログ番号およびマトリクス番号は連続しているようだ。保守的なHMVのことだから、音質の差もほとんど無かったのではないだろうか、興味あるところである。 参考のため、セッション17を示す。 17. 11th February, 1926. "B"Studio, Heyes (electrical recordings), acc. by Paula Henger (76 rpm) 7-43087, DA770 [Bb 7882-1,2,3*] In stiller Nacht (49 deutsche Volkslieder)(Brahms) 7-43088, DA770 [Bb 7883-1,2] Vor dem Fenster (Brahms) 2-043050, DB917 [Cc 7884-1,2*] Liebesbotschaft (Schubert) 2-043051, DB916 [Cc 7885-1,2*] Gretchen am Spinnrade (Schubert) 以降、1948年のセッション41まで続く。 写真の盤は、シューベルトの「魔王」とブラームスの「野の寂しさ」である。これは当時の日本では大変な珍品だったようで、「珍品レコード」のカラー口絵写真のページを麗麗と飾る。中古レコード市場でも40円(昭和15年当時の大卒初任給が70円だったそうなので2000倍とすると8万円)を越す高値を呼んだようであるが、今では安価に手に入る。 1923年、ゲルハルト40歳の吹込みであるが、このあたりが最も、声の美しさと技巧のバランスが取れた絶頂であったと、これはあらえびすの言であるが、そういう定説であるらしい。僕は、天才は若い方が良い、と頑なに信じているので、この説は採らない。 この「魔王」は、僕には少々芝居がかって、もったいぶって聴こえる。もっともそういう曲なのかもしれないが、裏面の「野の寂しさ」の方も同様の印象であるので、これは加齢によるオバサン化であろう。 Desmond Shawe-Taylor[1]によれば、1923年から1925年の録音の時期は、彼女の声が一時的に色を失った時期であるらしい。 「初期の頃の若さあふれるvividnessもなければ、電気録音初期の熟達した技巧も見られない」と書いている。 上のあらえびすと同じことを言って、全く逆の評価であるのが面白い。 茶色の盤面は、普通の黒の盤を見慣れた目には異様に映る。それに、何回かけても針先に綿ぼこりのようなものが纏わりつくのが気になる。 これでラッパ吹込み篇は終了する。近い将来、電気吹込み篇に(その気力が出れば)着手する。(了) Reference [1] Desmond Shawe-Taylor, "The Recordings of Elena Gerhardt", The Record Collector, Vol.32, Nos. 8,9&10 (1987) 176-182.
by ibotarow
| 2007-05-19 18:32
| 女声_ラッパ吹き込み
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