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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2007年 06月 07日

サラサーテ盤の回転数その3

サラサーテ盤の回転数その3_d0090784_8412297.jpg

どうも年を取るとせっかちになるようで、とても休日までは待っていられず、回転数の同定を行いました。
やり方は、78rpmで再生したときの、内周トラックの音の周波数を、デジタル・ファンクション・ジェネレータ(NF DF1905)の周波数を耳で聞きながら調整して、同じピッチに聞こえる周波数を求めました。
この発信器は0.0001Hzステップで周波数を設定できますが、今回は1Hzステップで変化させました。
なお、使用したトラックはチゴイネルワイゼンのパート2(4264)の方です。こちらの方が外周にあるので、針を乗せ易かったのです。
mr.hmvさんのおっしゃるように揺らぎが大きく、なかなか合わせづらかったのですが、3回やった結果は、
1回目:461Hz
2回目:463Hz
3回目:462Hz
でした。3回目はどうも先入観から、真ん中の値を選んだようですが。 ちなみにこの周波数は、インターナショナル・ピッチ(A=435)で調律したA#に極めて近い値です。
それで、このときの回転数が正確に78rpmだと仮定すると、これが440Hzに聞こえる回転数は、
78/462x440=74.3 rpm
となります。
これはmr.hmvさんの計測値とかなり近い値ですね。
では、あのビクターの77rpmという値は何だったのでしょうか?

そこで、mr.hmvさんにHMVのカタログ1928年版を調べてもらうと、そこにも77の数字がありました[1]。
日本ビクターだけなら単なる間違いと言えるかもしれませんが、本家のHMVもそう主張しているのは、なにか根拠があってのことでしょう。
78rpmで、462Hzだとすると、77rpmでは、
77/78x462=456 Hz
になります。
こんな高いピッチがあったのかと、調べてみると、ありました。 [2]に興味深い記述がありましたので、抄訳しますと、
「非常に重要な指摘をしよう。ピッチは1600年から1825年くらいまでは、ずっと低い値で推移したが、19世紀初頭から上昇し始めた。A=440はすでに1834年にドイツで標準ピッチとして推奨されていたが、このピッチを望ましいと思う音楽家はほとんどいなかった。
1879年のスタインウエイは、ニュ-ヨークでA=457.2の音叉を使って調律され、ロンドンではA=454.7が使用された。19世紀終わりの調律師は、スタインウエイをA=440で調律する心配をする必要などなかったのである。」
次に、このようなピッチはどのような場面で使われたかの説明が続きます。
「英国で、3つの調律用音叉を見た。いすれも特別の箱に入っていた。それは1850年頃のBroadwood Piano Co.の調律師によって使われたものだった。
これらの音叉は異なったセッティングのピアノのために使用された。Broadwoodの低いピッチはA=433で、これは1859年にフランスの委員会で勧告されたピッチA=435に近い。もっとも高い音叉はA=454であった。
一般に、歌手は低いピッチを好み、真ん中のピッチは家庭のピアノの調律に使われ、高いピッチはオーケストラと共演するコンサート用ピアノのために使われる。」
ひょっとして、サラサーテが録音したときのピアノはスタインウエイだったのかもしれません。そして、ビクターの解説書にある”コンサート・ピッチ”とは、現代ではA=440、あるいはA=442ですが、19世紀末ではもっと高かったのかもしれません。

追記
[3]に、'High', 'concert' or 'Philharmonic Pitch'はA=454との記述を見つけました。この人によれば、A=440は'Modern concert pitch'だそうです。

[1] HMVのカタログ1928年版第二カタログの項
ex. All speeds are 78 unless otherwise indicated.
Sarasate, Pablo de, Violinist (1844-1908)
E183  Prelude (with piano) (75) Bach 1904
     Tarantelle (with piano) (75) Sarasate 1904
E329  Zigeunerweisen, Op.20, Pts.I and II (with piano) (77) Sarasate 1904
[2] The History of Musical Pitch in Tuning the Pianoforte by Edward E. Swenson (http://www.mozartpiano.com/articles/pitch.html)
[3] Of organs, organ-builders, composers and South London by William McVicker, Royal Academy of Music and Southwark and South London Society of Organists (SSLSO). (http://www.ram.ac.uk/SSLSO/pitch.htm)

by ibotarow | 2007-06-07 08:50 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Comments(6)
Commented by credenza at 2007-06-07 09:39
興味深い結果ですね。
私もこの盤は持っていますが、(パート2だけで、裏面はバッハのプレリュード)77rpmだとかなり早いような気がしていました。ずいぶん回転数を落として聴いているのですが、A音がそもそも高ければ77rpmでもいいのかもしれません。
でも、そうするとピッチはともかくすさまじい早弾きに聞こえてしまいますが・・・
Commented by ibotarow at 2007-06-07 11:33
たしかにおっしゃるように、77rpmでは「すさまじい早弾き」に聞こえますが、「A音がそもそも高ければ」という話は、あのHMVともあろうものが根も葉もないことを言うはずがない、という性善説というかブランド信仰にもとづく一つの仮説(こじつけ)であって、信憑性はあまりありません(笑)。
あとできることは、復刻CDのピッチを調べることくらいですかね・・・
Commented by tedy at 2009-12-14 14:27 x
Dofus est un <a href=http://www.bawwgt.com/fr>dofus kamas</a>, le joueur incarne un ou plusieurs personnages. On y retrouve une multitude <a href=http://www.bawwgt.com/fr>acheter des dofus kamas</a> et d'¨¦quipements en tout genre, une vingtaine de m¨¦tiers diff¨¦rents et plus d'une centaine de monstres r¨¦partis en diff¨¦rentes zones sur les 10 000 <a href=http://www.bawwgt.com/fr>dofus kamas pas cher</a> (portions de carte, sur lesquelles l'on se d¨¦place d'ailleurs comme sur une carte) formant l'univers de <a href=http://www.bawwgt.com/fr>achat dofus kamas</a>, dont 99% ne sont accessibles qu'aux abonn¨¦s.
Commented by ibotarow at 2009-12-16 21:13
これはなんじゃらほい。
消してもいいものかな?
Commented by とおりすがり1 at 2020-06-21 21:16 x
諦めた口ではありますがタランテラに関して検索しているとここにあたりました。
(カタログが75なら74で再生したのはそこそこ正解ではありました。)

回転数の疑惑のうちでカタログ指定が一応それで録音されたことになっているようですが、
当時の再生機で聞きながら合わせるというのは正直考えにくいと思うので少し疑問に思っています。
蓄音機の再生動画を目視で数えると基本的に76~76.5となっているものが多いのです。
当時新品なら、また高級モデルなら、そういうことが起きなかったとするならカタログの数字に事前に合わせる作業に意味があります。
(78で再生するならテーブルは約80回転程度にする必要が)

録音中の回転数が変わるか?
ピッチ(音程)が高すぎないか?

音程に関しては回転数の問題以外で、録音で音が変わる・・・というのが実際どう変わったのか?
(歌手の証言で録音用の発声、歌い方等コツがあったというので。)
もし低くなるとすれば高め設定があったかもしれないと、少し考えます。
ワックスを刻む抵抗で実際は回転が変わっていたとする見方、だと素人的には補正できないな、と思いますが、その分がサウンドボックスの重量で合うとするとやはり事前に合わせる意味があると思います。

録音中の操作以外で回転数が変わるか、30年代半ばまで重りで回転させていたという話通りなら、実際の構造がどれほど堅牢だったか分からないので、重りの力に対してブレーキの不調が発生したりした可能性があるのではないかと思います。
(後半の速度が上がる、録音初めがやや遅い等の可能性)

電動モーターを使用していた場合、電圧変化で回転が変化する可能性もあったのではないかとも思います。

最後は書いてある回転数は聞かせたいテンポや音色、または録音計画時点のもので、
実際の録音は現場任せで本当は保証されてなかった、という考えです。。。。音楽に関してはそれはあまりないと思いますが。

ネットで見られる幾つかのPDFカタログを見ると
10年以前と思われる録音は72~76も書かれていましたが
10~20年ぐらいだと77~83が多かったような気がします。

出来はよくありませんが目測74と79の比較動画です。
「Madame Butterfly Selection / USA Victor Record.78」
Commented by ibotarow at 2020-06-22 08:11
とおりすがり1 さま、
コメントありがとうございます。ご指摘のように、録音中の回転数は変わるようです。
サラサーテの回転数とピッチについては、もうあれこれ考えるのはやめにして、Chris Zwargの"Speeds & Keys"に準拠することにしました。
https://ibotarow.exblog.jp/27456568/


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