2007年 06月 09日
カナダ生まれのキャスリン・パーロウ(1890-1963)は、女エルマンと呼ばれていたと誰かに教わったが、今回入手した復刻CD[1]の解説(クリストファ・N・野澤氏)によると、Elman in a skirtだそうである。 なるほど、スカートを穿いたエルマン、この方がいい。甘美な音色で情感たっぷりに(ときには過剰気味に)歌い上げるところが、1歳違いのエルマンに似ているのかもしれない。 同じく解説によると、パーロウのレコードは、英グラモフォンに4面、エジソンのシリンダー及び縦振動に24面、米コロムビアに26面、そして、1922年来日時にニッポノフォンに吹き込んだ14面がある。なお、このときのピアノ伴奏は、文献にはWilly Bardasとあるが、いっしょに来日したThedor Flintだそうである。 パーロウの録音は、カナダの音源アーカイブ[2]で38種類聴くことができるが、ニッポノフォンは入っていないようである[3]。 このCDには、 Paganini:Moto Perpetuo, Gramophone 3-7917 (ca1908) Tchaikowsky: Melodie, Edison 30826 (1916) Moore: The Last Rose of Summer (Arr. Parlow), Columbia A2121 (ca1917) Kreisler: Tamboulin Chinois, Columbia A5819 (ca1917) Dvorak: Indian Lament from Sonatina (Arr. Kreisler), Columbia A5798 (ca1917) Svensen: Romance in G, Columbia A5819 (ca1917) Bach, J.S.: Air on the G String, Nipponophone 15434 (1922) Beethoven: Minuet in G, Nipponophone 9044 (1922) Chaminade: Serenade Espagnole. Nipponophone 15255 (1922) Bishop: Home, Sweet Home, Nipponophone 9059 (1922) Drdla: Souvenir, Nipponophone 10021 (1922) Mendelssohn:Spring Song, Song without Words, Nipponophone 10020 (1922) Schubert: Ballet Music from Rosamunde (Arr. Kreisler), Nipponophone 9048 (1922) Kreisler: Liebesfreud, Nipponophone 9045 (1922) そして Mendelssohn: Violin Concerto in E Minor, Live Tape (ca1950) が収録されている。 この中で、注目すべきは1922年の来日録音8曲であろう。期待して聴いてみたが、音は非常に弱々しく、ボヤケていて、1908年のグラモフォンにも劣る。当時の邦楽のレコードはもう少しましなものがあったと思ったが、洋楽は経験不足なのか、おぼろげな音像を追いかけるのに、大いなる想像力を必要とする。 それに比べて、1917年のエジソンの録音は、このCDの中では抜きん出て鮮明であった。 上のアーカイブの中では、1912,3年の録音が歯切れの良い、しかも可愛さあふれる演奏ですばらしい。やはり天才は若い時の方が良い。 なお、写真は1905年、14歳でベートーベンのヴァイオリン協奏曲を弾いてロンドンにデビューした時のパーロウである。 [1] A Tribute to Kathleen Parlow, WING WCD59 (1996) [2] Library and Archives Canada (http://www.collectionscanada.ca/gramophone/index-e.htm) [3] Willy Bardas伴奏で2,3曲それらしいのはあるが、熱心に聴き比べていないので断定できない。
by ibotarow
| 2007-06-09 09:46
| ヴァイオリン_ラッパ吹き込み
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