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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2007年 06月 10日

サラサーテ盤の回転数その4

サラサーテ盤の回転数その4_d0090784_8132614.jpg

市販の復刻CDは、チゴイネルワイゼンをどのような回転数で再生しているのだろうかと、4種類の復刻CDののピッチを調べた。
4種類のCDを取っ替え引っ替えするのはめんどうなので、チゴイネルワイゼンだけPCにキャプチャーして、素早く切り替えられるようにした。
iTune上の演奏時間は下記の通り。

Pearl       5:41
Symposium   5:50
Testament   5:43
Discografico  5:40

Symposiumだけ少しピッチが低いと思われたが、聴いてみると4種類とも、ほとんど同じピッチであった。 演奏時間はファイルの長さなので、前後の空白や繋ぎ目の処理で多少変わるのであろう。
それで、このファイルとレコードを同時再生して、レコードの回転数を調整して、同じピッチになるようにした。
どうも僕には、音程の記憶能力が無いようで、時間を分けて別々に再生すると、どちらが高いか全然わからない。
回転数の同定は、前回と同じく、内周トラックの音の周波数から、78rpmを基準にして換算した。今回はレコードを最初から再生するので、パート1の内周トラック音を用いた。
結果を下記に示す。

Pearl       416 Hz
Symposium   415
Testament   415
Discografico  415

内周トラックの音は元々ふらふらしているので、415と416の有意差は無い。
78rpmで再生したときの内周トラックの周波数が460±1 Hz程度だったので、これから回転数を求めると、
415/460x78=70.4 rpm
となる。この値は77rpmに比べてずいぶん遅い。

次に考えるべきは、このときの基準ピッチである。
4種類とも同じピッチを採用していることから考えると、A=440あるいは435の可能性が高い。
そこで先ずA=440だと仮定して、音程を比べてみた。
チゴイネルワイゼンの最初の音は、G線の開放弦なので、Gの周波数を求めると、GとAの周波数比は1:1.122だから、
440/1.122=392 Hz
となり、その1オクターブ下だから、196Hzとなる。
そこで196Hzの音を発信器から出し、上記の回転数でレコードを再生してみると、出だしの音はピッタリ同じ高さであった。
これで、4種類の復刻CDは、A=440を基準ピッチとしていることがわかった。

ここで内周音の意味を考えると、A=440のとき、415Hzとの周波数比は、
440/415=1.06
で、ほぼ半音階違うので、内周音はA♭になる。しかしサラサーテがわざわざA♭の音を吹き込んだとは考えにくい。
内周音はピッチパイプ(調子笛)を吹いていると思われる。ヴァイオリンの調子笛は4つの開放弦のG, D, A, Eであるが、400Hz近辺ということから考えると、おそらくAの音であろう。
しかし現実には、基準ピッチがなんであれ、内周トラックのAと演奏トラックのAは、半音階の違いがある。
ここが奇妙な点であり、演奏を吹き込んだ時と内周トラックを刻んだときの回転数が違ったとしか考えられないが、これを説明できる屁理屈をまだ考えつかない。

また、HMVやビクターの言う77回転の根拠については、内周音が”19世紀後半の”コンサート・ピッチA=454で刻まれていると仮定すると、回転数は、
454/460x78=77 rpm
になる。(了)

by ibotarow | 2007-06-10 08:16 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Comments(0)


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