2008年 08月 24日
パテは、Le Théâtre chez soi (Your Theater at Home)と称して、11タイトルのオペラ全曲録音を企画し、1911年から13年までに9タイトル、第1次世界大戦をはさんで1922、23年に残りの2タイトルを完成させました。 Carnen (Bezet) 1911 Faust (Gounod) 1911/1912 Le Trouvère (Verdi) 1912 La Traviata (Verdi) 1912 Galethée (Massé) 1912 La Favorite (Donizetti) 1912 Rigoretto (Verdi) 1912 Les Frères Danilo (Nouguès) 1912/1913 Roméo Et Juliette (Gounod) 1913 Les Noces De Jeannette (Massé) 1922 Manon (Massenet) 1923 いずれも数十面のレコードからなりますので、全部揃えるとなると数百面と、膨大な数の全集となります。後年のデッカによる「ニーベルンゲンの指輪」以上の大プロジェクトだったに違いありません。 これを蓄音機で聴くのも大変だったでしょうね。当時こういう全集を買うことのできたお金持ちは、きっと執事か召使いにレコードをかけさせたのでしょう。 なぜか手元にグノーのファウストの復刻CDがありますが、56面のレコードが3枚のCDに収められています。 解説によると、パテの市販レコードはご存知のように、マスターシリンダーからのダビングによるのですが、当時は品質管理の考え方が無かったため、スタンパーによってダビングの品質のばらつきが大きく、この復刻CDを作るにあたって、数セットの全集を用意しなければならなかったそうです。 オペラ全曲盤なんてわずかしか持っていず、現代録音のファウストも持っていないボクが、なんでラッパ吹き込みの全曲盤を持っているかというと、以前、マーストンにCDを注文したところ、間違ってこのファウストが送られて来たと言うわけです。 「返そうか」というと、「お詫びのしるしに持っておいてくれ」というので、邪魔だなあと思いながら、外装ビニールも破らずに棚に入れたままだったのですが、昨日、取り出して聴いてみたところ、なかなかいいので、ご紹介することにしました。 配役その他については下記をご覧ください。ほとんど知らない歌手ばかりです。 http://www.marstonrecords.com/faust/faust_liner.htm 歌手の声は輝かしく、オーケストラの音も混濁ぜずに、満足できる解像度で復刻されています。 アリアとアリアの間に流れるダンスシーンの音楽は、きっとこのオペラが作曲された19世紀中ごろに流行ったようなメロディーなんだろうなあ、と思いながら聴くと、アリアだけ聴くのと違って、その当時のパリの雰囲気が伝わってくるようで、いちだんと興趣が増します。 マーストンのこのシリーズはファウストで6巻目で、今年12月には7巻目、Galathée and Les Noces de Jeannetteのリリースがアナウンスされていますが、どちらも聴いたことのないオペラで、特に後者にはニノン・ヴァランがフィーチャーされていて楽しみです。まあ来年にずれ込むことは間違いないでしょうが。
by ibotarow
| 2008-08-24 19:11
| 女声_ラッパ吹き込み
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