2009年 05月 10日
![]() ティボーのパテ録音の中で、若きティボーのヴィルトゥオーゾ性が最高度に発揮された演奏だと、ボクが勝手に思っている、ヴィエニャフスキーの「華麗なるポロネーズ」を、このたび幸運にも入手することができた。 入手のいきさつを忘れないうちに記せば、某オークションで、MBに消費税分ほど上乗せして入札したら、図らずも通ってしまったのである。これを幸運といわずして何といわんや。 ティボー・パテについては、これまで何回も書いたので、もうあまり書くことがない(笑)。 しかたがないので、以前、復刻CD[1,2]とグボー[3]をもとにして作ったパテのディスコグラフィーを、最近よく用いているケリーに準じたフォーマット; マトリクス番号、原産国カタログ番号、曲名(作曲者名)、他国プレスカタログ番号 で整理し直してお茶を濁すことにする。 録音年は、グボーを基本にして、復刻CDの記述で補完した。 9000番台はフランス・プレス、5000番台(1919年)と20000番台(1917年)はイギリス・プレス、27000番台(10½インチ)、60000番台(11½インチ)はアメリカ・プレスである。 この中で、不明部分が2,3か所あるが、マトリクス[5583]は、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第1楽章ではないかといわれている[1]。これはおそらく発売されなかったと思われるが、イギリスで発売された第3楽章(20345)はぜひ聴いてみたい。 また、マトリクスのわからない、ニューヨーク吹き込みの「序章とロンド・カプリチオーソ」は、ピアノ伴奏なので、オーケストラ伴奏のパリ吹き込みとは別物であると思われる。 このリストを見ると、「華麗なるポロネーズ」だけは、カップリングを変えて3種類も発売されたことがわかる。派手な曲なので人気があったのであろうか。今回入手した9560「は、フォーレの「子守歌」との組み合わせである。 マトリクスの後にある、③や⑤cの記号の意味はまだ考えないが、この記号がつくのは写真の緑レーベルだけのようである。マスターシリンダーからのダビング情報かもしれない。緑レーベルでもニワトリ・マークのついたレーベルではつかない。 前にも書いたが、願わくば識者のご高庇を乞う次第である。 Thibaud-Pathé Discography ○: [1], △: [2] Aug. 17 - Sept. 20, 1916 (Paris) acc. orch. except (acc. piano) 5571.X. ③⑤ 9523 Air on G String (J. S. Bach-Wilhelmj) 20346 ○ 5572.X., ⑤ 9523 Romance Sans Paroles (Fauré) 20349 ○ 5573 9524 Regrets (Vieuxtemps) (acc. piano) 20345 ○ 5574-1, 1/B 9520 Havanaise (Saint-Saëns) (acc. piano) 5598 ○ 5574-2, 2/B 9520 do ○ 5575 9525 Mélodie Norvégienne (Ole Bull-Svendsen) ○ 5576 9524 Scherzando (Marsick) 5708 ○ 5577 9525 a) Caprice No. 14 in G Minor (Fiorillo-Mistowzky) (acc. piano) 20347 ○ b) Saltarello in A Minor (Wieniawski-Thibaud) (acc. piano) 20347 ○ 5578 ???? 5579 9521 Canzonetta (d'Ambrosio) (acc. piano) 5580 ③⑤c 9560 Beŗceuse (Fauré) ○ 5581 9521 Orientale (d'Ambrosio) (acc. piano) 20349 5582.X.,⑤c 9560 Polonaise Brillante No. 2 in A Major (Wieniawski) 5708, 20350 ○ 5583 ???? 5584 9526 Andante from Violin Concert in E minor (Mendelssohn) 20344 ○△ 5585 9526 do 20344 ○△ 5586 ---- Finale from Violin Concert in E minor (Mendelssohn) 20345 5587 9522 Méditation from "Thaïs" (Massnet-Marsick) 20346 △ 5588 9527 Introduction et Rondo Capriccioso (Saint-Saëins) 20343, 60047 △ 5589B 9527 do 20343, 60047 △ 5590B 9522 Mélodrame de Piccolino (Guiraud) 20350, 60046 △ 1917 (New York) acc. piano 65980 1A 60046 Melody in F (Rubinstein-Wilhelmj) △ 65981 60051 Les Chérubins (Couperin-Salmon) 9564 △ 66027 60051 Scherzando (Marsick) 66273 27503 Träumerei (Schumann) 9565 66274 27503 Solitude Sur La Montagne (Ole Bull) 9565 1918 (New York) 66375-1A,2D 60068 Humoresque (Dvořák-Wilhelmj) 5157, 9564 △ 66411-1B,2B 60068 Romance in G Major (Svendsen-Wilhelmj) 5157 △ ????? ---- Introduction et Rondo Capriccioso (Saint-Saëins) (acc. piano) 5158 ????? ---- do 5158 66666-1B,1D 60071 Sérénade (Schubert) 5160 △ 66792 1B,1E 60071 Méditation from "Thaïs" (Massnet-Marsick) 5160 △ 1919 (New York) acc. orch. 67909 ---- Prise Song from "Der Meistersinger von Nurnberg" (Wagner) 5561 △ 67910 ---- Liebesfreud (Kreiser) 5561 △ 67911 27512 Ave Maria (Schubert) 1467 △ 67912 27512 Chant Sans Paroles (Tchïkovsky) 1467 △ 1920 (New York) acc. piano 68222 27516 Smilin'Through (Penn) 1459 △ 68238 27516 Roses of Picardy (Weatherly-Wood) △ References [1] Early Days of Jacques Thibaud Fonotipia & Pathe I, LEXINGTON LEXC 1019 (1995) [2] Early Days of Jacques Thibaud Pathe II, LEXINGTON LEXC 1021 (1995) [3] クリスティアン・グボー, "フランスのヴァイオリニスト ジャック・ティボー", 村上和男訳、(創栄出版, 1997)
by ibotarow
| 2009-05-10 07:07
| ヴァイオリン_ラッパ吹き込み
|
Comments(21)
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はじめまして、いつも大変楽しくブログを見せてもらっています。
いぼたろう様のレコードの知識が正確&膨大でいつも 「すごいよ。。。」と思っております。 こういう情報はどうやって入手しているのですか? 私の持っているレコードについても、せめて録音日時だけでもと 思いながら、全くわからない状態なのです。
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蓄音器ファン さん、
コメントありがとうございます。 データの出処はできるだけ参考文献をあげるようにしています。 書籍、復刻CDの解説、インターネット等ですが、中でも膨大な資料をお持ちのmr.hmvさんの存在が大きいです。 ![]() ![]() ![]()
おお!mr.hmv様!!!
呼んでました!しかも、hmv様がスゴイ人って思ってました!! 実際に会ってお話ししたらそうでもないかもですが。。。 でもスゴイです^^いぼたろう様のぶろぐって すばらしく質が高いですよね。しかも、 書き込みする人もスゴイ人ばかりでオドロキです!! ![]()
蓄音器ファンさん
本当はあんまり凄くはないんです。(汗) でも、文献だけではなく実物(レコード)での検証も大切だと思っています。 これは一人では出来ません。愛好家の皆さんの協力が必要です。 以前、Vic.赤盤でそんな協力がありました。機会がありましたら是非! ![]()
いぼたろう様、mr.hmv様。
こちらのサイトを見るようになってから 「そういうレーベルもあるんだー」といろいろ知ることができました。 私は輸入盤といえば、ビクター盤とHMVだけ注目してきたのです。 自分勝手に「これは片面盤だからきっと時代が古くて貴重^^」とか 「HMVでも黄色レーベルだったり緑レーベルだから貴重だろう」とか 自由に判断していました。 今回のパテ盤についても全く知りませんでした。 みなさんはどうやってこういう盤の存在を知るのですか?? 毎回質問ばかりで申し訳ありません^^;
蓄音器ファンさん、どうぞご遠慮なく。
ボクがお世話になったのは、mr.hmvさんのサイトでも紹介されている「珍品レコード」です。 今でも富士レコードに行けば手に入ると思います。 口絵のカラー写真を見て、いつかは、と思っていた盤を入手したときの喜びはひとしおでした。 あの本は間違いが多いから見るべきでない、とおっしゃる方もおられますが、どこが間違いがわかるようになれば一人前と思っています(笑)。 ボクは未熟なので、まだ間違いの箇所はあまりわかりませんが。 ![]()
「珍品レコード」ですね!なんか、すごく読んでみたいといいましょうか
見てみたい本です。この本って骨董品ですよね? すごい値段が付いていそうな予感が。。。 かなりイケナイ予感がします。高額本の香りがプンプンします^^; ![]() ![]() ![]()
いぼたろう様、mr.hmv様。
本日、富士レコード社から「珍品レコード」の本が届きました。 壮麗な装丁と重厚なカバー、1冊ずつナンバリングされていて 貧乏人の私には「な、、、なんだよ^^;。。。」って感じでしたが 内容が!!!すばらしい^^ こういう本ってあるんですねー!!ウレシイ。 お礼のメールを富士レコードにしたところ 社長の井東冨二子さんが青木謙幸氏とご親戚とのことで 版権を所有していたことで再版ができましたとの 説明ももらいました。世の中、すごい人って いるんですね。 この本の中の何枚かを入手できる時が 私にもクルンだろうか。。。とか思いつつ 読みふけっています^^ ありがとうございました!
蓄音器ファン さん、
さっそくのご入手、ご同慶の至りです。 ボクは、かつてmr.hmvさんに奈落の底に引きずり込まれましたが、 このたび、蓄音器ファン さんを崖っぷちまでご案内することができて、 この上ない喜びに存じます。 それでは、奈落の底でお会いいたしましょう(笑)。 ![]() ![]() ![]()
いぼたろう様、実は私が所有しているレコードはほとんどがHMV盤なのですが、それぞれいつころの録音なのかを是非知りたいのです。教えてもらうことはできますか?
乗りかかった船です、ボクにわかる範囲でお付き合いしますよ。リストをお送りください。
非公開コメントでメールアドレスをお知らせいただければ、ボクのアドレスをお知らせいたします。 ![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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