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いぼたろうの あれも聴きたい これも聴きたい

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2009年 06月 27日

8ミル針と2.5ミル針

8ミル針と2.5ミル針_d0090784_2123759.jpg

今まで、パテの縦振動盤の再生には、SHURE V15 typeIIにM75用SP針を付けて使用してきました[1]。
しかし、この針は2.5ミルなので、パテには細すぎるのでは?という懸念がいつも付き纏っていました。
そこで、先日、mr.hmvさんに無理を言って、8ミル針付きのSHURE SC35Cをお借りして、2.5ミルと比べてみたのですが、カートリッジが違うので、違いはあるものの、それが針のせいかカートリッジのせいか、区別できませんでした。
それで、Expert Stylus社[2]に問い合わせたところ。M75用の8ミル針アッセンブリーがあるというので、それを購入し、同じカートリッジで、8ミルと2.5ミルの違いを検証することにしました。
8ミル針と2.5ミル針_d0090784_2128884.jpg
まず8ミル針の概念的太さですが、右図は、開口部の幅約7ミルの溝に、球面半径約2.5ミルの針が嵌っているところです。 なお、この図はアノニマさんのサイト[3]から引用させていただきました。
普通のSP盤再生では、こんな感じになると思います。
この図に、半径200μm(8ミル)の円を書いてみると赤の線のようになります。

針先は溝の両ふちに引っかかっているだけで、溝の中へは入りません。
パテは、エジソンの縦振動と違って、溝幅変動レコードなので、溝幅が変化することによって、溝に乗っかっている針が上下するわけですね。
8ミルという針先の太さは、溝の中に入ることなく溝に跨るのに必要な、おそらく最小限の太さなのでしょう。

で、まず検証に用いた機材ですが、mr.hmvさんからお借りした①も加えて3種類で比較しました。

① カートリッジ: SHURE SC35C 逆相パラレル接続
  針: Expert Stylus Co. 8mil         
  針圧: 4g 
  シェル:audio-technicaアルミ無垢重量シェル
② カートリッジ: SHURE V15 typeII 逆相シリアル接続
  針: M75用8mil  
  針圧: 3g 
  シェル:SME穴あきアルミ板軽量シェル
③ カートリッジ: 同上
  針: M75用2.5mil 
  針圧: 同上 
  シェル:同上
なお、①と②の針の形状は同一です。
接続方法の違いは出力電圧の違いになります。ボクのポンコツアンプではシリアルの方がS/N比が大きくなりました。

プレーヤーは、正統派のオーディオマニアなら見ただけで卒倒するであろうバッタもん、COSMOTECHNO DJ-3500です。 でも、±20%の速度調整範囲は、ラッパ吹き込み盤再生には貴重です。

次にソースは、
ヴァイオリン:ジャック・ティボー
9560 [5082] Polonaise Brillante No. 2 in A Major
このレコードはうちにあるティボー・パテの中でも、かなり貧弱な音です。音量も小さいし、歪んでいるところもあります。 盤はピカピカなんですが、おそらくマスターシリンダーからのダビングが上手くないのでしょう。

さて結果ですが、極めて主観的な感想を述べて備忘録とします。

まずトラッキング能力は、2.5ミルでは最初からかかるのに、8ミルに差し替えると、最初は流れて、中ほどからしか、かかりません。やはり径の大きい方がすべりやすいようです。
従って、流れ難さは、
③>②>①
の順でした。①は針圧が大きいので、使っているアームではインサイドフォースが補正しきれず、流れやすいのでしょう。

肝心の音ですが、まずスクラッチノイズは、大きさはあまり差がありませんが、高域のスペクトルは、
③>②>①
の順で広帯域になり、耳を刺す音になります。①と②の差はほとんどありません。
従って、再生音も、
③>②>①
の順で、さわやかな音になります。逆に言うと、
①>②>③
の順で、まろやかな音になります。

ノイズの音質は③が一番いやな音ですが、楽音は②でも③でも好みの範疇です。どうも針先のイメージで書いてるんじゃないかと言われそうですが、一言で言うと、8ミルは太い音、2.5ミルは細い音でした(笑)。
①と②の違いは、カートリッジの違いもあるでしょうが、シェルの違いもあると思います。

流れ難さを重視するなら③、ノイズの聴き易さを重視するなら②ですが、せっかく8ミル針を買ったので、しばらく②で聴いてみます。

(後書き)
その後、Expert Stylus社に、針が無事に届いたことを知らせたついでに推奨針圧を聞いたところ、次の返事がありました。
We would recommend a tracking weight of around 5-6 grams.
これは意外でした。M75の2.5ミルは3グラムが適正針圧でしたので昨日はそれで聴いたのでしたが、軽かったようです。

それで、まず5グラムで試してみましたところ、レコードの最初は流れますが、昨日よりはずっと端からかかります。次に6グラムにしてみますと、見事最初からかかるようになりました。 6グラムですと、カウンター・ウエイトは、ほとんど一杯まで軸受けに近づきます。 これで、慣性モーメントが小さくなって、トレーシング能力が向上したものと思われます。

めでたし、めでたし。

今回のことをまとめると、盤にそりがある場合、慣性モーメントが大きいと、突き上げられたときに浮き上がって、その結果インサイドフォースで流れるので、浮き上がらないように慣性モーメントを小さくして追従性を良くする、ということでしょうか。

References
[1] http://ibotarow.exblog.jp/4122166/
[2] e-mail: info@expertstylus.co.uk
  Fax: 44 1372 276147
[3] http://blogs.yahoo.co.jp/anonymat_21/4185008.html

by ibotarow | 2009-06-27 05:37 | 蓄音機 | Comments(4)
Commented by アノニマ at 2009-06-27 08:09 x
ご無沙汰してました。資料をこのように使っていただけて、大変嬉しいです。一般的なSP針とパテとの違いが良く分かりますね。
ところで、パテ8ミル用のスタイラスが製造されているとは驚きました。さすが英国ですね。我が家にもSC-35Cが眠っていますので、チェックしておきます。有難うございました。
Commented by ibotarow at 2009-06-27 13:02
さっそくのご快諾ありがとうございます。
あの後、アノニマさんが蓄音機に付けられた巨大パテ・サフィールに比べたら、8ミルなんて可愛いもんです。

Expert Stylus社のメールアドレスを探すのにちょっと苦労しましたが、カード払いで、品物は1週間ほどで届きました。
Commented by わんたろう at 2020-09-25 22:07 x
 大変お久しゅうございます。わんたろうです。シュアーSC35CのSP替え針は生産しているのでしょうか?または過去清算していたのでしょうか?
昔あったような記憶があるのですけれども勘違いだったらごめんなさい。
宜しくお願いいたします
Commented by ibotarow at 2020-09-26 07:20
わんたろうさま、お久しぶりです。
ちょっと検索してみましたら、Amazon UKにありました。
https://www.amazon.co.uk/Stylus-cartridge-needle-record-turntable/dp/B01CX4W6VQ
国内にもあるんじゃないでしょうか?


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