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2018年 04月 22日

クーベリックG&T

d0090784_09180920.jpg
Bruno Seidler- Winkler (piano) and Jan Kubelik (violin) during a recording.
In the background: recording engineer Max Hampe. [1]

これまでの試行で、楽譜や復刻CDに依存しない回転数推定法がほぼ確立したと思われますので、途中でほっぽってあるサラサーテやエネスコの見直しをやる必要があるのですが、やはり今まで回転数を調べたことのないレコードに興味を惹かれます。
そこで今回はヤン・クーベリック(1880-1940)のG&Tを採り上げました。
なお、上の写真は[1]から拝借しましたが、クーベリックの恰幅の良さから考えて、G&T時代より後のHMV時代のものではないでしょうか?

クーベリックG&Tのリストを拙ブログから再掲しますと、

Jan Kubelik G&T Recordings

1902.10.26, Recordings made in London
[2700W] private Romance (d’Ambrosio)
[2701 W2] 7956 Serenade No. 1 in A (Drdla) 27946 27955 37938 47952 77912
[2702b] 7957 Lucia di Lammermoor: Sextetto (Donizetti-St Lubin)
[2703 2W] 7957 do 27947 27957 37939 47953 77913
[2704W] private Faust: Fantasia (Gounod)

1903.11.21
[4601b] 7967 Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate)  47954 77914
[4602b] 7968 Carmen Suite: Chanson bohème (Bizet-Sarasate) 27956 37941 47955 77915
[4603b] Cadenza to Paganini (Émile Sauret)
[4604b] destr do
[4605b] 7961 Theme & Pizzicato - Nel cor non più mi sento (Paisello-Paganini) 27958 37940

1904.10.20
[6152b] Berceuse (Cui)
[6153b] Träumerei (Schumann)
[6154b] destr Jocelyn: Berceuse (Godard) with Nellie Melba (s), (piano Landon Ronald)
[400c] destr Ave Maria (Bach-Gounod), in Latin
[401c] 03033 do
[407c] no title on file
[408c] 07901 La ronde des lutins (Bazzini)037906 077902

1904.11.15
[6230b] Berceuse (Cui)

このうち市販されたのはカタログ番号を持つ下記の7面です。

7956 Serenade No. 1 in A (Drdla)
7957 Lucia di Lammermoor: Sextetto (Donizetti-St Lubin)
7967 Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate)  
7968 Carmen Suite: Chanson bohème (Bizet-Sarasate)
7961 Theme & Pizzicato - Nel cor non più mi sento (Paisello-Paganini)
03033 Ave Maria (Bach-Gounod)
07901 La ronde des lutins (Bazzini)

この7面を78 rpmで再生した時の300から600 HzのスペクトルをFig. 1に示します。

d0090784_14342685.jpg

このデータから、440 Hz付近のピーク周波数を拾うと、

7956 Serenade No. 1 in A (Drdla); 421.24 Hz
7957 Lucia di Lammermoor: Sextetto (Donizetti-St Lubin); 422.59 Hz
7967 Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate) ; 421.92 Hz
7968 Carmen Suite: Chanson bohème (Bizet-Sarasate); 421.92 rpm
7961 Theme & Pizzicato - Nel cor non più mi sento (Paisello-Paganini); 415.86 rpm
03033 Ave Maria (Bach-Gounod); 441.43 rpm
07901 La ronde des lutins (Bazzini); 429.99 rpm

となりました。
この周波数をA4だと仮定して、これを440 Hzにする回転数を求めると、

7956 Serenade No. 1 in A (Drdla); 78*440/421.24=81.47 rpm
7957 Lucia di Lammermoor: Sextetto (Donizetti-St Lubin); 78*440/422.59=81.21 rpm
7967 Carmen: Habanera (Bizet-Sarasate) ; 78*440/421.92=81.34 rpm 
7968 Carmen Suite: Chanson bohème (Bizet-Sarasate); 78*440/421.92=81.34 rpm
7961 Theme & Pizzicato - Nel cor non più mi sento (Paisello-Paganini); 78*440/415.86=82.53 rpm
03033 Ave Maria (Bach-Gounod); 78*440/441.43=77.75 rpm
07901 La ronde des lutins (Bazzini); 78*440/429.99=79.82 rpm

となりました。
この回転数で再生した時の300から600 HzのスペクトルをFig. 2に示します。

d0090784_14364960.jpg

440 Hzにピークを合わせただけなので、これが果たして本当のA4音なのかどうか、半音ずれていないかどうか、わからないのが絶対音感の無い身のつらいところです。
冒頭で、楽譜も復刻CDもいらないと大口を叩いた手前、多少後ろめたさはありますが、復刻CD[2]と比較してみましょう。
このCDには1902年録音のクーベリックが4曲入っていますが、復刻時の回転数が下記のように明記されています。

29: Serenade № 1 in A "Kubelík-Serenade" (Franz Drdla)
violin: Jan Kubelík
10" disc Gramophone 2701 b (7956) • key A, 69.4 rpm, 2:25 min

30: Fantaisie sur un thème de Lucia di Lammermoor (Leon de Saint-Lubin op.46)
violin: Jan Kubelík
10" disc Gramophone 2703 b (7957) • key D, 71.0 rpm, 2:42 min

これと比較すると、半音はおろか全音以上の相違があります。
これは始めからやり直しですね。



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by ibotarow | 2018-04-22 08:34 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2018年 04月 01日

クライスラーG&T その2

クライスラーのG&T4枚については、前回、 復刻CDとピッチを合わせて回転数を求めましたが、今回ティボーFonotipiaで用いた、演奏全体のスペクトルからピッチ推定する方法を適用し、再度回転数を求めることにしました。

まず、Biddulphの復刻CDの300 Hzから600 HzのスペクトルをFig. 1に示します。

d0090784_15424484.jpg

あまりピッチが揃っているとは言えませんが、A4=440 Hz前後に揃えたいという意思は感じられます。
次に、レコードを78 rpmで再生した時の300 Hzから600 HzのスペクトルをFig. 2に示します。

d0090784_15424499.jpg

当然ながら、ピッチはCD以上にばらついています。
このデータからA4付近のピーク周波数を拾うと、

Chanson sans paroles (Tschaikowsky); 458.25 Hz 
Sarabande (Sulzer) and L'Abeille (Schubert); 453.54 Hz 
Prelude in E (Bach); 450.18 Hz
Air on the G string (Bach); 442.10 Hz

となりました。
ここではピーク値を示した周波数をそのまま用い、カーブフィッティング等の処理は行っていません。
これらの値から、A4=440 Hzになる回転数を求めると、

Chanson sans paroles (Tschaikowsky); 78*440/458.25=74.89 rpm  
Sarabande (Sulzer) and L'Abeille (Schubert); 78*440/453.54=75.67 rpm  
Prelude in E (Bach); 78*440/450.18=76.24 rpm  
Air on the G string (Bach); 78*440/442.10=77.63 rpm  

となりました。
前回求めた復刻CDと合わせた回転数との比較をFig. 3に示します。

d0090784_15424409.jpg

多少差はありますが、全体的な傾向は似ています。
最後に、A4=440 Hzになるように、上記の回転数に合わせたレコード再生音源の300 Hzから600 HzのスペクトルをFig. 4に示します。

d0090784_15424495.jpg

Fig. 1よりピッチは揃っており、単純にピーク周波数を採用しても、まあ大丈夫なようです。
この回転数で再生したMP3音源を下記にアップしました。

Chanson sans paroles (Tschaikowsky); https://yahoo.jp/box/uXUGQk
Sarabande (Sulzer) and L'Abeille (Schubert); https://yahoo.jp/box/Pjki62 
Prelude in E (Bach); https://yahoo.jp/box/gzhbxR
Air on the G string (Bach); https://yahoo.jp/box/jCxQIS

前回の回転数の音源はそのまま置いてあります。ボクには違いが全くわかりませんが。


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by ibotarow | 2018-04-01 08:04 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2018年 02月 25日

クライスラーG&T

d0090784_17085501.jpg

もう老い先短い身であるし、SPレコードを新しく入手するのはやめようと思っていたのですが、クライスラーG&Tのプレリュードが出ているのを目にし、どうせダメだからと安い値を付けておいたら、思いもかけず落札してしまいました。
はからずも4枚が揃い、数十年前に4枚揃いを達成されたボストンの大先達の後塵をやっと拝することができました。
これで最後にしようと思います。

この機会に、クライスラーG&Tの回転数を調べてみることにしました。
調べると言っても、復刻CDと合わせるだけのお手軽&手抜き調査ですが。どうせ、当時の基準ピッチがわからない以上、正解はありません。
比較したのは、Biddulphの復刻CD [1]です。
結果は、

47944 [2084X] Chanson sans paroles (Tschaikowsky) : 75.2 rpm 
47945 [2085X] Sarabande (Sulzer) and L'Abeille (Schubert): 75.0 rpm 
47946 [2086X] Prelude in E (Bach): 75.5 rpm
47947 [2087X] Air on the G string (Bach): 78.4 rpm 

となりました。
マトリクス番号が連続していることから考えて、同じ時に録音されたと思われますが、回転数は全くバラバラでした。
特に「G線上のアリア」は他の3枚とかけ離れた値です。

他の復刻CDではどうだろうかと探してみると、Testament [2]に「G線上のアリア」がありました。
結果は、上とあまり大差のない、
78.0 rpm
となりました。

d0090784_17083053.jpg

この演奏の基準ピッチはどのくらいだろうと、楽譜 [3]に赤丸で示した6小節目の2分音符Gの周波数を調べてみると、下図に示すように、
396 Hz
でした。

d0090784_17083422.jpg

これはG線の開放弦でしょうから、オクターブ下の200 Hz付近の小さなピークがファンダメンタル成分だと思われますが、当時の録音システムでは入らず、倍音のみが現れているのでしょう。

GとAの周波数比は1:1.12246だから、Aは、
396 * 1.12246 = 444.5 Hz
となります。

d0090784_17083858.jpg

念のため、「プレリュード 75.5 rpm」の楽譜 [4]に赤丸で示す16分音符G#を調べてみると、下図に示すように、
416 Hz
でした。

d0090784_07423434.jpg

G#とAの周波数比は1:1.05946だから、Aは、
416 * 1.059 = 440.5 Hz
となります。

このことから、「G線上のアリア」の78 rpmは、そんなに的外れの値でもありません。
もし、A=440 Hzに合わせるなら、
78 * 440 / 444.5 = 77.2 rpm
で再生すれば良いことになります。

下記の回転数で再生したMP3音源をそれぞれのページにアップしました。
カートリッジはDL-102SD、イコライザはフラットです。
いずれも写真をクリックすると音が出るはずです。

Chanson sans paroles (Tschaikowsky) : 75.2 rpm https://ibotarow.exblog.jp/3741587/
Sarabande (Sulzer) and L'Abeille (Schubert): 75.0 rpm https://ibotarow.exblog.jp/3740600/
Prelude in E (Bach): 75.5 rpm このページ
Air on the G string (Bach): 77.2 rpm https://ibotarow.exblog.jp/3741169/

References
[1] The complete acoustic HMV recordings, BIDDULPH LAB 009-10 (1989)
[2] The Great Violinists - Recordings From 1900-1913, TESTAMENT SBT21323 (2003)
[3] https://violinsheetmusic.org/files/download/classical/bach-wilhelmj-air-for-the-g-string-violin.pdf
[4] https://violinsheetmusic.org/files/download/classical/bach-prelude.pdf




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by ibotarow | 2018-02-25 08:07 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 08日

サラサーテ盤の回転数その5

d0090784_20240009.jpg

10年ほど前、チゴイネルワイゼンの回転数について調べた結果を、下記の4回にまとめました。

サラサーテ盤の回転数その1 
サラサーテ盤の回転数その2 
サラサーテ盤の回転数その3 
サラサーテ盤の回転数その4 

あまり明解な結論は得られませんでしたが、論点を整理すると、
1.HMV、ビクターによると、チゴイネルワイゼンは77 rpm。
2.4種類の復刻CDは、おおよそA=440 Hzで復刻している。
3.演奏トラックと、内周トラックのピッチは違うのでは?
等です。

先日クレイトンの復刻LP[1]を入手したのを機に、これらをもう一度検証してみたくなりました。
そこで、チゴイネルワイゼンを含む7種類のレコードについて、5種類の復刻盤で再調査しようというのが今回の目的です。

先ず、サラサーテの録音は、下記の9曲10面です。録音年はDAHR[2]に依ります。

[4258o] Partita No 3 BWV1006: Prelude (Bach)
Gramophone 37931, 67903, AA111, E183, EW3, P527

[4259o]  Introduction et Caprice Jota, Op 41 (Sarasate)
Gramophone 37932

ca. Nov 1904-Dec. 1, 1904 Paris
[4260o] Introduction et tarantelle, Op 43 (Sarasate)
Gramophone 27961, 37933, 47965, 61886, 67904, AA-112(Spain), E-183, ER-75(Czechoslovakia), EW-3(Germany), P527
Victor 52709, 62111

12/1/1904 Paris
[4261o] Miramar-Zortzico Op 42 (Sarasate)
Gramophone 27960, 37934, 47964
Victor 52708, 62110, 97231

ca. Nov 1904-Dec. 1, 1904 Paris
[4262o] Caprice basque Op 24 (Sarasate)
Gramophone 27959, 37929, 47966, 67900, AA-110(Spain), ER-76(Czechoslovakia)
Victor 52720, 62115, 63168

ca. Nov 1904-Dec. 1, 1904 Paris
[4263o] Zigeunerweisen Op 20 (Sarasate) Part-1
Gramophone 27962, 37930, 47962, 67901, E-329, AA-110(Spain), EW-2(Germany)
Victor 52710, 62112, 63167, 97245

ca. Nov 1904-Dec. 1, 1904 Paris
[4264o] Zigeunerweisen Op 20 (Sarasate) Part-2
Gramophone 27961, 37935, 47963, 67902, E-329, AA-111(Spain), EW-2(Germany)
Victor 52711, 62113, 63167, 97246

ca. 1904-1905 Paris
[4265o] Danzas españolas, Op 21. Habanera (Sarasate)
Gramophone 37936, 47967
Victor 52707, 97230, 62110

[4266o] Zapateado, Danse des souliers Op 23 No 2 (Sarasate)
Gramophone 37937

[4267o] Nocturne Op 9 No 2 (Chopin-Sarasate)
Gramophone 37938

これらのうち、プレリュード、カプリス・ホタ、ノクターンは持っていないので、それ以外の7面について調べます。

次に、回転数の推定法をデジタル化その16 ヨーゼフ・ハシッドからコピペしますと、
“まず、レコ―ドをクォーツロックのかかる78 rpmで再生、録音します。
この波形と、復刻CDの波形を、Audacity[3]上で比較します。
「スピード変換」によってレコードの波形を伸縮させて、両者が同じ長さになるように合わせます。つまりピッチを合わせるのではなく、演奏時間を合わせようという魂胆です。
両者を同時再生して、同じピッチ、同じテンポであることを確認します。
その時の変換係数を78に掛ければ、復刻CDの再生回転数が出ます。”

一例としてチゴイネルワイゼンpart 2の波形を図1に示します。
上がクレイトン盤の再生波形、下がレコードを72.8 rpmに合わせた波形です。

d0090784_20244434.jpg
図1 チゴイネルワイゼンpart 2の再生波形:クレイトン復刻盤(上)とレコード@72.8 rpm(下)

それから、内周トラックの周波数は、Audacityの「スペクトラム表示」のピークの値から求めました。
一例として上図下段の最後に見られる内周トラックのスペクトルを図2に示します。

d0090784_20253834.jpg
図2 チゴイネルワイゼンpart 2の内周トラックのスペクトル

内周トラックにはA音が録音されていると言われていますが、78 rpmで再生した時、レコード間でどのくらい周波数の、ひいては回転数のバラつきがあるかを調べてみました。
結果を図3に示します。録音した時は同じ高さの音だったはずですが、458 Hzから471 Hzまでかなりバラついていることがわかります。

d0090784_20255402.jpg
図3 78 rpmで再生した時の内周トラック周波数

さて、7種類のレコードに対する、5種類の復刻盤の調査結果を示します。
推定再生回転数を図4に、

d0090784_20262247.jpg
図4 5種類の復刻盤の推定再生回転数

図4の回転数における内周トラックの周波数を図5に示します。

d0090784_10302777.jpg
図5 図4の回転数で再生した時の内周トラックの周波数

まず目につくのは、クレイトンとその他の復刻盤との差です。
クレイトンは、大幅にずれているのもありますが、内周トラックの周波数が440 Hz近辺になるように回転数を調整するという方針だったようです。
A=440 Hzが正解かどうかは別にして、これは非常に合理的な考えだと思うのですが、現実はそう単純でもないようで、その他の復刻者は、そうは考えなかったようです。 1970年代(たぶん)と1990年代以降との違いですかね。

チゴイネルワイゼンpart1の場合、4種類の復刻CDは見事に70.7 rpmあたりに揃っています。
この回転数で再生したチゴイネルワイゼンの出だしのG音のピッチは、「サラサーテ盤の回転数その4」に書いたように、冒頭に挙げた論点2の
2.4種類の復刻CDは、おおよそA=440 Hzで復刻している。
に準拠したものとなりました。

その時の内周トラックの周波数は4種類とも415 Hz近辺で、440 Hzとは大きく異なります。
これは、先に挙げた論点3の、
3.演奏トラックと、内周トラックのピッチは違うのでは?
という仮説を裏付けるものです。

また、先に挙げた論点1の
1.HMV、ビクターによると、チゴイネルワイゼンは77 rpm。
ですが、
「サラサーテ盤の回転数その3」に書いたように、HMVの第2カタログには、
タランテラ:75 rpm
チゴイネルワイゼン:77 rpm
で再生せよ、と書いてあります。

タランテラの場合、78 rpm再生時の周波数は図3に示すように469 Hzですので、75 rpmでは、
469/78*75=451 Hz
となります。

チゴイネルワイゼンpart1の場合は、458 Hzですので、77 rpmでは、
458/78*77=452 Hz
となり、タランテラとほぼ一致します。
つまり、HMVの主張はそれなりに整合性があります。

ただ、チゴイネルワイゼンpart2は、464 Hzですので、77 rpmでは、
464/78*77=458 Hz
となり、part1と少し異なります。

HMVのカタログを作った人はpart1だけで77 rpmだと判断したとすると、内周トラックのピッチは、A=452 Hzとなります。
「サラサーテ盤の回転数その4」では、A=454 Hzが当時の演奏ピッチであろうと無理やり結論付けましたが、
ここで、先に挙げた論点3の
3.演奏トラックと、内周トラックのピッチは違うのでは?
の観点から、
演奏トラックのピッチをA=452~454 Hzとする回転数を考えると、70.7 rpmでA=440 Hzなので、
452/440x70.7=72.6 rpm
454/440x70.7=72.9 rpm
となります。
72.6~72.9 rpmが、HMVの顔もある程度立てた?落としどころじゃないでしょうか。

この場合の内周トラックの周波数は、77 rpmで452 Hzなので、72.6 rpmでは、
72.6/77x452=426 Hz
となります。
これは、A=452 Hzのピッチにおける、A♭に相当しますが、ほかの曲でも、図5に示したように、演奏トラックと内周トラックで、半音ほどではないにしても、差があるようです。




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by ibotarow | 2017-10-08 07:31 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 11日

デジタル化その8 ヨーゼフ・ヨアヒム

8回目は、Joseph Joachim (1831-1907)です。

ヨアヒムのG&T盤は下記の5面あります。
いずれも黒レーベルだと思っていましたが、最近某オークションで赤レーベルが2枚出ていましたので、最初は赤盤で発売されたようです。
ヨアヒムのレコードはこれがすべてで、別に他社に録音したわけではないのに何で黒盤になったんだろ?

G&T
27? June 1903, Berlin
047903 [204y] Bach: Sonata for Violin solo no. 1 in G minor, BWV 1001: Prelude
047904 [205y] Bach: Partita for Violin solo no. 1 in B minor, BWV 1002: Tempo di Bourée
047905 [217y] Brahms: Hungarian Dance no. 2 in D minor (arr. Joachim)
047906 [218y] Joachim: Romance in C Major
047907 [219y] Brahms: Hungarian Dance no. 1 in G minor (arr. Joachim)

まず、ハンガリー舞曲第1番ですが、
SYMPOSIUMのビニールプレスには78 rpmと書いてあります。
念のため、TESTAMENTの復刻CD[1]と合わせてみると、これも78 rpmのようです。

次に、ハンガリー舞曲第2番は、無銘のビニールプレスですが、回転数はTESTAMENTの復刻CD[1]と合わせた結果、81.5 rpmとなりました。
なお、81.5という値は有効数字3桁という意味ではなく、81と82のあいだという程度にお受け取りください。
しかし同時期の録音でここまで回転数が異なるのは奇異な感じがしますが、同じ復刻CDですので、この値を信用することにしました。

ハンガリー舞曲第1番
047907 [219y] Brahms: Hungarian Dance no. 1 in G minor (arr. Joachim)
の音源を下記にアップしました。
http://ibotarow.exblog.jp/4519371/

ハンガリー舞曲第2番
047905 [217y] Brahms: Hungarian Dance no. 2 in D minor (arr. Joachim)
の音源を下記にアップしました。
http://ibotarow.exblog.jp/3964333/

いずれも写真をクリックすると音が出るはずです。


これでラッパ吹込み盤は予定終了です。
梅雨の間は、例年レコードケースに乾燥剤を入れ、レコードの出し入れはしませんので、デジタル化は梅雨明けまでお休みします。

Reference
[1] The Great Violinists - Recordings from 1900-1913, TESTAMENT SBT1323 (2012)


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by ibotarow | 2017-06-11 07:41 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(1)
2017年 05月 14日

SPレコードのデジタル化その4 ジュール・ブーシュリ

4回目は、Jules Boucherit(1877-1962)の1枚です。

Disque pour Gramophone 1906, Paris
237902 [5592o] Thais: Méditation (Massenet)
237903 [5599o] Menuet du Concert k219 (Mozart)

オリジナルはZonophoneですが、これはDisque pour Gramophoneレーベルです。
斯界の大御所M・Sさんの話では、ゾノフォンの方が音が太い、とのことです。

ジュール・ブーシュリ回想録[1]によると、フランス・ベルギー楽派のブーシュリは、同楽派の特徴について、
「情緒派と厳格派から等距離にある奏派である。」
と言っていますが、二つの派とはサラサーテとヨアヒムのことでしょうか?
彼はこうも言っています。
「私は物の見方に少々難があり、もちろん意図的ではないにせよ、一種の癖のようなものがある。それは、無意味で不要に思える細かい事象にのみ、深い感銘を受けるということだ。」
これらは、ブーシュリの芸風をよく伝えていると思います。

さて、回転数は、調べても徒労に終わるだろうと、何も考えず復刻CD[2]に合わせました。
その結果、両面とも76 rpmとなりました。もうちょっと速いかもしれません。

モーツァルトの音源を下記にアップしました。

1906, Paris
237903 [5599o] Menuet du Concert k219 (Mozart)
http://ibotarow.exblog.jp/9612716/

写真をクリックすると音が出るはずです。

レーベル写真の無い、裏面の音源の公開方法はどうしようかなあ、と思っているのですが、試みにタイスは、ダウンロードの手間はありますが容量に余裕のあるYahoo Boxにアップしてみました。

1906, Paris
237902 [5592o] Thais: Méditation (Massenet)
http://yahoo.jp/box/KphuSX

References
[1] マリア・ソリアノ, "ヴァイオリンの奥義 ジュール・ブーシュリ回想録 1877-1962", 桑原威夫訳, 音楽の友社 (2010)
[2] The Great Violinists, Vol. 23, Symposium 1349 (2007)
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by ibotarow | 2017-05-14 08:07 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 05月 07日

SPレコードのデジタル化その3 アルノルト・ロゼ

3回目は、アルノルト・ロゼ(1863–1946)の2枚です。

Arnold Rosé
G&T 1902, Vienna
47925 [910x] Spanischer Tanz Nr 8 Op 26 Nr 2 (Sarasate)

May 1909, Vienna
47975 [14682u] Romanze Nr 2 in F-Dur Op 50 (Beethoven)

畏兄エピクロスさんによれば、ロゼは、シュテファン・ゲオルゲなど当時のドイツ語圏に属する詩人たちに、ほとんどヴィブラートをかけない奏法が清潔で好まれたそうです。
たしかに、ロゼにとってみればクライスラーのヴィブラートは我慢のできない下品なものであったのかもしれませんが、ヘルメスベルガ―に言わせると、ロゼがコンサートマスターになってからウィーンフィルは堕落した、という話をクリストファー・N・野澤さんに聞きましたから、これは、時代の移り変わりというたぐいの話でしょうか。

さて、サラサーテのスペイン舞曲No.8は、エッジが欠けていて、最初のアナウンスとピアノ伴奏の出だしが聴けません。
そのうち、ワックスで補修しようと思っていましたが、適当な材料が手に入らず、今日に至りました。
しかたなく、ギリギリの溝に針を乗せて、ターンテーブルをスタートさせました。

回転数は手抜きをして、復刻CD[1]に合わせることにしました。
SYMPOSIUMだからちゃんと調べているだろうと思いましたが、結果は78 rpmとなりました。

次は、ベートーヴェンのロマンスNo.2です。
こちらは、Arbiterの復刻CD[2]に合わせた結果、75 rpmとなりました。

これらの音源を下記にアップしました。

1902, Vienna
47925 [910x] Spanischer Tanz Nr 8 Op 26 Nr 2 (Sarasate)
http://ibotarow.exblog.jp/3733231/

May 1909, Vienna
47975 [14682u] Romanze Nr 2 in F-Dur Op 50 (Beethoven)
http://ibotarow.exblog.jp/9997627/

いずれも写真をクリックすると音が出るはずです。


References
[1] The Great Violinists Vol 24 - Arnold Rosé (1902-1929), Symposium 1371 (2008)
[2] Arnold Rosé, First violin of Vienna - 1909-1936 recordings, Arbiter Records 148 (2006)



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by ibotarow | 2017-05-07 08:05 | ヴァイオリン_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 04月 23日

SPレコードのデジタル化その1 イレーネ・アーベントロート

このたび縁あって、さる先達にSPレコードを何枚か引き取っていただけることになりました。
ありがたいことです。これで地震、火事はもとよりカビの心配をしなくて済みます。
お渡しする前に、記念に音をデジタル化して残しておくことにしました。

最初、皆さんがあまり使われないような時代物プレーヤで再生しようと考え、デッカXMS+コラーロAC47を試してみました。
このカートリッジは、今ではセクハラだと言われそうな表現ですが「シコメの深情け」のように、演奏者の表情をえぐり出す点において、他の追随を許しません。
さっそくこれで試聴してみましたが、針圧24gでもトレースし切れなくて歪む箇所があります。
そこで、現代国産品のデノンDL102SP+コスモテクノDJ3500で同じレコードを再生してみると、針圧15gで歪みはなく、しかもデッカよりしっとりした音です。
でも、いささか没個性というかソツのない音ですが、これがかえって色付けのない複製になるのではと考え、こちらに決めました。


AD変換はコルグDS-DAC-10Rでphono入力、イコライザoff、録音フォーマットはDSD5.6MHzです。


最初にデジタル化するレコードは、Irene Abendroth (1871-1932)の2枚です。
G&T 1902 Dresden
43245 [(o)768½x-N1-2z] Mignon: Arie der Philine (Thomas)
43250 [(o)795x-N1-2z] Barbier von Sevilla: Arie der Rosina (Rossini)


回転数がわからなかったので、しかたなく復刻CD
“The Harold Wayne Collection Vol. 6”, SYMPOSIUM 1085 (1990)
に合わせることにしました。
その結果、
43245 75.0 rpm
43250 79.3 rpm
となりました。LEDタコメータで測ったので±0.2 rpm位のバラツキはあります。
さらに言えば、ボクの駄耳では1 rpm以下の差は判別できないので、小数点以下の数字は信用できません。
マトリクス番号が飛んでいるので、違う日の録音だと思われますが、2枚の回転数が大幅に異なります。
それにしても、79.3は1902年のG&Tにしては速すぎるような気がしますが、ハロルド・ウエインに敬意を表して、この値を採用することにしました。


しばらくやらないうちに、音源をアップロードする方法をすっかり忘れていましたが、なんとかDSDからMP3に変換した音源を下記にアップしました。

43245 [(o)768½x-N1-2z] Mignon: Arie der Philine (Thomas)
http://ibotarow.exblog.jp/4170592/

43250 [(o)795x-N1-2z] Barbier von Sevilla: Arie der Rosina (Rossini)
http://ibotarow.exblog.jp/10348842/

いずれも写真をクリックすれば音が出るはずです。


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by ibotarow | 2017-04-23 14:30 | 女声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 28日

レオ・スレザーク(1873-1946)のディスコグラフィーその1

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以前、「レオ・スレザークの素敵な世界」という素敵なホームページを運営しておられた盤 奇録さんには、2,3度お目にかかったことがありますが、残念ながら2014年10月に逝去され、そのホームページもいつしか閲覧できなくなりました。
その頃から、スレザークのディスコグラフィーを作りたいと思っていましたが、カルーソ以上に大量の録音があるので、なかなか手が付けられませんでした。
このたび、ずいぶん前にmr.hmvさんからいただいたRC誌のディスコグラフィー[1]をもとに、[2-27]の資料と照合、補完し、なんとかラッパ吹込みをリストアップすることができました。
謹んで盤 奇録さんに献呈いたします。

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References
[1] Thomas G. Kaufman, LEO SLEZAK discography, The Record Collector, Vol. 15, Nos. 9-10 (1963) 208-226.
[2] Leo Slezak 1: Gramophone/Zonophone/Pathé (Wien, 1901-1904), Truesound Transfers TT-2405 (2004)
[3] Leo Slezak 2: Gramophone (Wien, 1903), Truesound Transfers TT-2406 (2004)
[4] Leo Slezak 3: Gramophone (Wien, 1903-1905), Truesound Transfers TT-2407 (2004)
[5] Leo Slezak 4: Odeon/Columbia (Wien, 1904-1906), Truesound Transfers TT-2408 (2005)
[6] Leo Slezak 5: Gramophone (Wien, 1905), Truesound Transfers TT-2409 (2005)
[7] Leo Slezak 6: Gramophone (Wien, 1906-1907), Truesound Transfers TT-2410 (2006)
[8] Leo Slezak 7: Gramophone (Wien, 1907-1908), Truesound Transfers TT-2411 (2006)
[9] Leo Slezak 8: Gramophone (Wien, 1909), Truesound Transfers TT-2412 (2005)
[10] Leo Slezak 9: Edison cyl. (Berlin, 1909), Truesound Transfers TT-2413 (2006)
[11] Leo Slezak 10: Gramophone/Pathé (Paris, 1910/Berlin, 1912), Truesound Transfers TT-2414 (2005)
[12] Leo Slezak 11: Columbia/Odeon (New York/Berlin, 1912), Truesound Transfers TT-2415 (2005)
[13] Leo Slezak 12: Anker/Favorite (Berlin, 1913), Truesound Transfers TT-2416(2005)
[14] Leo Slezak 13: Favorite/Columbia (Berlin, 1913/Wien, 1917), Truesound Transfers TT-2417 (2005)
[15] Leo Slezak 14: Gramophone (Berlin, 1923) - German Lieder Recital, Truesound Transfers TT-2418 (2005)
[16] Leo Slezak 15: Gramophone (Berlin, 1923) - Operatic arias and Songs, Truesound Transfers TT-2419 (2005)
[17] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed a/b/c, recorded by Frederick William Gaisberg et al, 1900 to 1919, MAT102 (2002).
[18] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed g, h, i(j) (early use B, x, y), recorded by William Sinkler Darby, 1901-1909, MAT04 (2002)
[19] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed k, l, m (early use C, z, Hp), recorded by Franz Hampe (Hampe I), 1902-1919, MAT05 (2004)
[20] A. Kelly, Gramophone Company Matrix Series, suffixed t, u, v, corded by Charles Scheuplein, 1902-1920 and by Harry Fleming, 1920-1921, MAT08 (2006)
[21] V. Girard and H. M. Barnes, "Vertial-cut Cylinders and Discs", British Institute of Recorded Sound (1964)
[22] Christian Zwarg, ODEON Matrix Numbers — B/xB/xxB/xxxB (Berlin)
http://discography.phonomuseum.at/odeon/odmxB.pdf
[23] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, ODEON (incl. FONOTIPIA)
http://www.truesoundtransfers.de/odeon.zip
[24] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, EDISON (Phonographenwalzen)
http://www.truesoundtransfers.de/edisoncy.zip
[25] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, EDISON (Diamond Discs)
http://www.truesoundtransfers.de/edisondd.zip
[26] TRUESOUND ONLINE DISCOGRAPHIES, INTERNATIONAL ZON-O-PHONE
http://www.truesoundtransfers.de/zonoint.zip
[27] THE ONLINE DISCOGRAPHICAL PROJECT, Columbia A5000 - A5499 (1908 - 1913), a numerical listing
http://www.78discography.com/COLA5000.htm



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by ibotarow | 2017-02-28 08:24 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)
2015年 12月 15日

マッティア・バッティスティーニのディスコグラフィー

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先日、斯界の大御所、M.Sさんから忝くもイタリアンバリトンの雄、マッティア・バッティスティーニ(1856 - 1928)のラッパレーベル盤を2枚いただきました。
054107 Ernanni:O sommo Carlo (Verdi)
054390 Pagliacci:E allor perché (Leoncavallo)
で、いずれも第1次大戦後のドイツプレスです。
これを機会に、バッティスティーニのディスコグラフィーをまとめることにしました。

下敷きに、今年マーストンから出たコンプリートCD集[1]のトラックリストをコピーペーストし、
mr.hmvさんからいただいたRC誌の記事[2]と、ケリーのMAT102[3]と照合し、不足分を補いました。

なお、最近のマーストンの復刻技術の進歩は著しく、ボクらがその辺のオークションで入手した盤を、普通に再生しただけでは、絶対出ないような音が入っています。

ボクは今まで、蓄音機で再生した音をリファレンスにして、それにできるだけ近い音を電気再生で出すことを心がけて来ましたが、これを聴くと、そんな素人の努力は無駄であったと思わずにはいられません。
彼の方向は、100年前のレコードから、現代に録音されたようなリアリスティックな音を引き出すことのようで、それはある程度実現されています。

これを聴いて、ボクはもうSP盤を集めようという気が無くなりました。
同時に、蓄音機も手放す決心をしました。

ところで、2枚のラッパレーベル盤の感想はどうかって?
まだ聴かずに飾ってあります。SP盤は持っていることに価値があるのです。

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by ibotarow | 2015-12-15 10:07 | 男声_ラッパ吹き込み | Trackback | Comments(0)